入管法の改正と永住申請の厳格化

2018年(平成30年)12月8日入管法改正

2018年(平成30年)12月8日に在留資格「特定技能」を創設することをメインとした入管法の改正案が成立しました。

これにより、すでに在留資格特定技能の試験等が始まっていることは新聞やニュースで目にした方が多いと思います。

しかし今回の改正は配偶者ビザをお持ちの方にも大きな影響があると言われています。
改正法そのものには含まれていないものの、附帯決議において入管法22条2項の要件の適合性について厳格に審査を行う旨の決議がなされたためです。

これは近年日本における在留外国人が急激に増加していることについての危機感の表れだと言われています。
実のところこの「附帯決議」というものには法的拘束力そのものはないのですが、実務の運用において重視されることに違いはなく、実際に2019年(令和元年)5月31日にこの附帯決議の内容に沿う形に法務省の「永住許可に関するガイドライン」が改定されました。

そして2019年(令和元年)7月1日から永住申請についてはこの新ガイドラインに沿った形で入管法22条2項の要件の適合性判断について運用がなされています。

現在すでに所持しているあるいはこれから配偶者ビザを取得しようとしている方も、おそらくにはほとんどの方の最終目標は永住資格の取得だと思われますので今回のことで永住申請がどう変わるのかは注目しておく必要があるでしょう。

ガイドラインの従来からの変更点は

ガイドラインは上記ページで見られるので是非一度読んでいただきたいですが、具体的な変更ポイントは

その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること

この記載が

その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(税金,年金及び保険料の納付義務並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること

と変更されています

変更点のうちアの部分に関しては単に技能実習及び特定技能に関する記述が追加されたにすぎませんが、イの部分の変更がかなり大きいと言えます。
内容的には以前から記載のあった公的義務の履行についてより詳細かつ明確化されたといえます。
これにより永住申請時に必要となる書類も大幅に増加することになりました。

永住申請の必要書類はどう変わったのか

住民税の課税納税証明書の必要年数等に変化(配偶者ビザは一部対象外)

まず住民税の課税納税証明書が従来は3年分必要であったのが5年分必要となりました。
また、課税納税証明書だけでなく、「住民税を適正な時期に納めていること」の証明が必要となり、引き落としのあった通帳の写しや領収証書等が必要となりました。

なお、5年分必要となったのは就労系のビザからの永住申請の場合で配偶者ビザからの申請は従来通り3年分でOKですが、住民税を適正な時期に納めていることの証明の通帳の写しや領収証書等は必要になりました。

CAUTION

この通帳の写しや領収証書等が必要となったことには注意する必要があります。従来であれば課税納税証明書を準備すればよかったので、領収証書等についてはそれほどきちんと保管していない、ということがかなり考えられます。

国税の納付状況を証明する資料が必要になった

源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税に係る納税証明書(その3)を、管轄する税務署で取得することが必要になりました。

ちなみに帰化申請で使用する納税証明書は所得税納税証明書(その1、その2)で今回必要な証明書とは違いますので「帰化を検討して準備していたけど、永住で…」のような流用はできません。

過去2年間の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料が必要になった

全期間の年金記録情報が表示されている「ねんきん定期便」か、ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面及び国民年金保険料領収証書の写しを提出することが必要となりました。

ねんきん定期便の方が一つで済むので簡単そうですが、手元にない場合日本年金機構に交付申請をしてから届くまで2か月ほどかかるので、かなり早いうちから準備する必要がありそうです。

過去2年間の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料が必要になった

加入している健康保険により国民健康保険被保険者証(写し)か健康保険被保険者証(写し)が必要。
それに加えて国民健康保険に加入していた期間がある場合は国民健康保険料(税)納付証明書と国民健康保険料(税)領収証書(写し)が必要になります。

納付証明書があれば領収証書はいらないような気がするのですが、両方必要とのこと。なお、領収証書が手元になく、納付を口座引き落としにしている場合はその旨理由書に記載して通帳の写しを提出してもよいようです。

申請者が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合は

申請者が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合は直近2年間のうち当該事業所で事業主である期間について健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)か社会保険料納入確認(申請)書も必要になります。

いかがでしょうか。かなり必要な書類も手間も増えていることがわかると思います。
実際の審査自体が厳格化したと言えるのかはもう少し時間がたたないとわかりませんが、いずれここで報告したいとは思います。

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投稿者プロフィール

勝見 功一
勝見 功一申請取次行政書士
京都市上京区で申請取次行政書士をしています。
在留資格の情報を中心に、配偶者ビザ申請に役立つ情報の提供をしています。
よろしくお願いします。

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