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なぜ特定技能の上限は下方修正されたのか?政府発表「123万人受入れ案」の算出根拠と生産性向上の要請

就労ビザ

新年最初の記事は今後の外国人雇用に大きな影響を与えそうなこの内容からです。

速報:2028年度までの外国人材受入れ上限「123万人」案

政府は2025年12月23日の有識者会議において、新たな外国人材受入れ制度「育成就労」と既存の「特定技能」を合算した、2028年度末までの受入れ見込数(事実上の受入れ上限)を最大123万1,900人とする運用方針案を示しました。


受入れ見込数の内訳(政府案)

  • 育成就労:42万6,200人(制度開始の2027~2028年度の2年間)

  • 特定技能1号:80万5,700人(現行5か年計画の2024~2028年度が対象)

この数字は、企業の採用計画に直結する重要な指標です。特に特定技能の枠が、直近の試算(約82万人)から約1万5,000人規模で下方修正された背景には、政府の強い「省人化要請」があると考えられます。


「受入れ見込数=上限」の実務的意味

「受入れ見込数」という言葉はソフトに聞こえますが、実務上は「シーリング(上限枠)」として機能すると思われます。


超過した場合のペナルティ(COE交付停止)

分野別運用方針では、この見込数を「受入れの量的目安」と定義しており、超過が見込まれる場合、分野別運用方針の見直しや所管大臣(国交相や厚労相など)は法務大臣に対して、在留資格認定証明書(COE)の交付停止措置等を求めることができる仕組みになっています。

つまり、123万人という数字は「政府が目指す採用目標」というよりは、「これ以上は入れさせない防波堤」として理解するのが正しいでしょう。枠が埋まりそうな分野では、駆け込み申請や審査の厳格化が起きるリスクがあります。


下方修正の核心:算出式と「生産性向上」の強制

なぜ現在の日本では人手不足が加速しているにもかかわらず、特定技能の枠が82万人から約80.6万人に減らされたのでしょうか?その答えは、政府が用いている「受入れ見込数の算出式」にあると思われます。


政府の算出ロジック

受入れ見込数(外国人枠)=5年後の人手不足数−(生産性向上+国内人材確保)

政府は単に「足りない分を全て外国人で埋める」という考え方はしていないと思われます。
まずDXやロボット導入による「生産性向上(省人化)」と、賃上げや女性・高齢者の活用による「国内人材確保」で人手不足を補うことを優先し、それでも埋まらない残余部分だけを外国人受入れ枠として設定していると思われます。


下方修正のメッセージ

今回、特定技能の枠が減らされたことは、「企業努力(省人化・処遇改善)による穴埋め分を、前回試算よりも高く見積もった」ことを意味しているといえます。
つまり政府から業界に対し、「もっと機械化・効率化を進めて、外国人に頼る割合を減らせ」という強いメッセージが突きつけられた形といっても過言ではないと思われます。


分野別内訳と影響(押さえるべき数字)

主要分野における、新制度「育成就労」と「特定技能」の接続イメージ(案)は以下の通りです。


分野 育成就労
(2027-28)
特定技能1号
(2024-28)
合計受入れ枠
(案)
工業製品製造業 119,700人 199,500人 319,200人
建設 123,500人 76,000人 199,500人
飲食料品製造業 61,400人 133,500人 194,900人
介護 33,800人 126,900人 160,700人
農業 36,400人 41,600人 78,000人

※数値は政府提示案(2025/12/23時点)に基づく。

注目のポイント


  • 育成就労の規模感: 技能実習(現在約45万人)と比較すると、2年間で約42.6万人という枠は、現在の技能実習生の流入ペースを維持、あるいは微減させる程度の規模感です。「育成就労になれば爆発的に人数が増える」というわけではありません。

  • 分野による偏り: 工業製品製造や建設は「育成就労(育成期間)」の枠が大きく、飲食料品や介護は「特定技能(即戦力)」の枠が大きい構造になっています。

企業・支援側の実務チェックリスト

この発表を受けて、企業や監理団体(将来の監理支援機関)が今すぐ検討が望ましい事項です。


  1. 採用ルートの再設計
    自社業界の「育成就労」と「特定技能」の比率を確認してください。育成就労の枠が大きい分野は「未経験から育てる」ルートが主流となり、特定技能の枠が大きい分野は「試験合格者や他分野からの転職者」を狙うルートが太くなります。

  2. COE停止リスクへの備え
    過去、特定技能制度の初期には想定より申請が殺到し、分野によっては枠の消化率が急上昇した例もあります。採用計画人数が多い企業は、四半期ごとに公表される「受入れ人数の進捗」を必ずウォッチし、枠が埋まりそうな場合は申請時期を早めるなどの対策を検討することが望ましいでしょう。

  3. 「省人化」への投資説明
    今後、外国人を多数受け入れる企業に対しては、「省人化への取り組み状況」が入管審査や監査等の場面で間接的に問われる可能性もあるかもしれません。「外国人が安いから雇う」ではなく「機械化も進めているが、どうしても必要な工程を担ってもらう」というロジックの構築が重要となるかもしれません。

よくある質問(Q&A)

Q1:この123万人という数字は確定ですか?

A:まだ「案」の段階です。
2025年12月23日の有識者会議で示されたもので、今後、与党内の手続き等を経て、2026年初頭に閣議決定される見込みです。ただし、最近の外国人関連の動きを見ると、大きな枠組みや算出ロジックが覆る可能性は低いと思われます。


Q2:すでに働いている技能実習生はどうなりますか?

A:今回の枠とは別カウント扱いの経過措置があります。
2027年の育成就労制度開始後も、既存の技能実習生は在留期間満了まで実習を継続できます(経過措置)。今回示された42.6万人は、あくまで「新制度(育成就労)で新たに入ってくる人」の上限枠として議論されています。


Q3:特定技能の枠が一杯になったら、更新もできなくなりますか?

A:更新は原則対象外ですが、新規入国は止まります。
過去の運用方針では、受入れ上限に達して停止されるのは「在留資格認定証明書(COE)の交付」、つまり海外からの新規呼び寄せや、他ビザからの変更です。すでに特定技能として在留している人の「期間更新」まで止める運用は想定されていませんが、最新の運用方針が決定された際に必ず確認が必要です。


参考資料リンク

この記事を書いた行政書士は
勝見 功一

はじめまして。京都市上京区でビザ申請手続きのお手伝いをさせていただいております申請取次行政書士の勝見です。
まだまだ若輩者ですが、持ち前のフットワークの良さを活かして迅速かつ誠実に対応させていただきます。初回の相談は無料ですのでまずはお気軽にお問い合わせ下さい。
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