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夫(妻)が永住権を失った!配偶者と子供のビザはどうなる?「永住者の配偶者等」から「定住者」への変更手続と告示要件

永住権・永住ビザ

前回の記事では、永住者ご本人が再入国期限切れなどで在留資格を失った場合のリカバリー方法について解説しました。しかしこの問題には、「日本に残された(あるいは帯同している)家族のビザはどうなるのか?」という、さらに深刻な側面があります。

「夫(妻)が永住権を失うと、私と子供のビザも自動的に消えるの?」
「子供の学校はどうなる?」
「いつまでに何をすればいいの?」

結論から申し上げますと、家族のビザが直ちに無効になるわけではありませんが、次回の更新は確実に不許可となります。さらに、身分関係の変動(離婚・死別含む)から6か月以内に適切な在留資格(主に「定住者」など)へ変更しなければ、在留資格取消の対象となりえます 。

この記事では、永住者が在留資格を失った際に家族に及ぶ影響と、14日以内の届出義務6か月以内の変更申請という2つの重要な期限を含む、家族全員が日本で暮らし続けるための具体的な手続を解説します。


配偶者への影響:「永住者の配偶者等」は更新できなくなる

なぜ更新できないのか?

あなたが「永住者の配偶者等」という在留資格を持っている場合、その法的根拠は「永住者である配偶者との身分関係」にあります 。

ご主人(奥様)が永住者でなくなった瞬間、あなたは法的に「永住者の配偶者」ではなくなります


  • 直ちに在留資格が取り消されるわけではありません:現在持っている在留カードの期限までは基本的には在留可能です。

  • しかし、次回の更新申請は許可されません:更新審査の際、「配偶者が永住者であること」という必須要件を満たせなくなっているからです。

2つの重要な期限

永住者である配偶者が在留資格を失った場合、以下の手続きが義務付けられています。


① 14日以内:「配偶者に関する届出」(入管法19条の16)

配偶者の在留資格変動から14日以内に、住居地を管轄する地方出入国在留管理局に「配偶者に関する届出」を提出する必要があります 。

この届出を怠ると、在留資格変更の審査で不利になるだけでなく、罰則の対象となる可能性があります。


② 6か月以内:在留資格変更許可申請

配偶者との身分関係が消滅(または実質的に変動)してから6か月以内に、「定住者」等の別の在留資格への変更申請をしなければ、在留資格取消の対象となる可能性があります 。(あくまでも可能性であり、6カ月を過ぎれば必ず取り消されるということではありません)

重要:在留カードの有効期限が6か月以上先であっても、この6か月ルールは適用されます。「まだ更新期限が1年あるから大丈夫」という判断は危険です。なるべく早めに対策を検討するようにしましょう。


子供への影響:生まれた場所と在留資格によって異なる

お子様への影響は、お子様が「日本生まれ」か「海外生まれ」か、そして現在持っている在留資格によって異なります。


ケースA:日本生まれで「永住者の配偶者等」を持っている場合

要件の確認
「永住者の配偶者等」の「子」とは、「永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者」を指します 。

親が永住権を失った後の扱い
法務省の見解では、「出生時に父又は母が永住者であった事実」があれば、その後親が永住者の在留資格を失っても、形式的には「永住者の子として出生した者」に該当します (※)。

実務上の注意点
ただし、実務上は「扶養者(親)の在留状況の安定性」が審査で重視されます。親が永住権を失い「定住者」になった場合、子供も「定住者」に変更する方が、更新や将来の永住申請において安全かつ確実です。


※永住者の子として日本で生まれた場合、最初から永住者の資格を持っている場合もあり、この場合は自身が永住者であるため影響はありません。あくまでもここは「永住者の配偶者等」で在留している場合の話です。

ケースB:海外生まれで「定住者」を持っている場合

海外で生まれ、親の呼び寄せによって「定住者(告示6号イ等)」を取得している場合、その要件は「永住者の未成年で未婚の実子」であることです 。

親が永住者でなくなれば、形式的にはこの「永住者の実子」という該当性が失われます。

対応策
親が「定住者(1年以上)」になった場合、子供は「定住者の実子(告示6号ロ)」として在留資格変更が可能です 。


リカバリーの本筋:家族全員で「定住者」へ変更

では、具体的にどの在留資格へ変更すればよいのでしょうか?
最も一般的かつ現実的なのが、家族全員で「定住者」になるルートです。


手順①:まずは元永住者(主たる扶養者)が復帰する

前回の記事で解説した通り、元永住者ご本人が在外公館での手続きを経て、日本に「定住者」として復帰することが大前提となります。


手順②:配偶者は「定住者の配偶者(告示5号ロ)」へ変更

ご本人が「定住者(1年以上の在留期間)」の在留資格を得れば、その配偶者は「定住者の配偶者」(定住者告示5号ロ)として在留資格変更許可申請が可能です 。

要件


  • 本体(配偶者である定住者)が1年以上の在留期間を指定されていること

  • 日系2世・3世関係の定住者(3号・4号)は除く

  • 婚姻関係が継続していること

注意点
離婚した場合は該当性が失われます。ただし婚姻が3年以上継続し、一定の要件(独立生計、日本語能力等)を満たせば、「離婚定住」として別途定住者への変更が可能な場合もあるので慎重な検討が必要です 。


手順③:子供は「定住者の実子(告示6号ロ)」へ変更

ご本人が「定住者(1年以上)」となれば、そのお子様は「定住者の実子」(定住者告示6号ロ)に該当します 。

要件


  • 未成年かつ未婚であること

  • 扶養を受けて生活していること

  • 親が1年以上の在留期間の定住者であること(日系関係の3号・4号・5号ハを除く)

行政書士が教える「実務上の注意点」

審査のタイムラグに注意

元永住者ご本人が日本に戻り、在留カード(定住者)を手にするまでは、家族の変更申請はできません。

もし、ご本人の復帰手続き中に家族の在留期限が来てしまいそうな場合は、以下の対応を検討してください:


  • 就職できるならば就労系、学校に入れるのならば留学等への個別の在留資格変更対応

  • 入管への事前相談(絶対にオーバーステイにならないよう早めに動いてください)

独立生計要件の立証

「定住者」への変更審査では、独立して生計を営める資産や収入があるかが厳しく審査されます 。


  • 元永住者ご本人の収入証明(復帰後の雇用契約書、以前の課税証明書など)

  • 預貯金残高証明

  • 扶養実績(家族の生活費を賄える証明)

「永住権は失ったが、日本での生活基盤は盤石である」ことを立証するのが許可への近道です。


子供の年齢に注意

定住者告示6号の「実子」は未成年で未婚であることが要件です 。

お子様が成人(20歳または18歳)に近い場合、変更申請のタイミングが重要になります。成人後は「留学」や独自の就労資格への変更を検討する必要があります。


必要書類(ケース別)

配偶者:「定住者(告示5号ロ)」への変更

  • 在留資格変更許可申請書

  • 写真(縦4cm×横3cm、申請前3か月以内撮影)

  • パスポート、在留カード(提示)

  • 配偶者(定住者)の在留カード(写し)

  • 婚姻証明書(戸籍謄本または本国発行の婚姻証明書)

  • 扶養者(配偶者)の住民税課税証明書、納税証明書

  • 預貯金残高証明書

  • 理由書(なぜ定住者への変更が必要か)

子供:「定住者(告示6号ロ)」への変更

  • 在留資格変更許可申請書

  • 写真(縦4cm×横3cm)

  • パスポート、在留カード(提示)

  • 親(定住者)の在留カード(写し)

  • 出生証明書または親子関係証明書

  • 扶養者の住民税課税証明書、納税証明書

  • 扶養実績を示す資料(送金記録、同居証明等)

  • 在学証明書(学生の場合)

まとめ:家族一体で乗り越えるために

夫(妻)が永住権を失うことは家族にとっても青天の霹靂であり、大きなストレスとなります。しかし日本の入管制度には、家族が離散しないための救済措置(定住者への移行ルート)が用意されています 。

重要なのは、以下の3つです


  1. 14日以内に「配偶者に関する届出」を提出する

  2. 6か月以内に「定住者」等への在留資格変更申請を行う

  3. 隠さずに、放置せずに、専門家に相談する

ご本人の復帰手続きと並行して、家族の在留期限管理と変更申請の準備を進めれば、再び家族全員で日本での平穏な生活を取り戻すことは十分に可能です。

複雑なケースになりますので、ご不安な点はぜひお近くの申請取次行政書士にご相談ください。


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