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医療滞在ビザについて

日本で医療を受けるために

当事務所にも「日本の医療機関でないと難しい治療があるので(親族に)日本で治療を受けさせたい。」とのご相談はよく寄せられます。

日本の医療機関を受診するだけならば短期滞在でも可能ですが、短期滞在には90日の期限がありますのである程度腰を落ち着けて治療を受けるということは難しく、長期にわたって医療行為を受ける必要がある場合などは別の方法が必要となります。
そのような場合に利用されるのが今回説明する「医療滞在ビザ」です。

なお、似たような名前のビザに「医療ビザ」が存在しますが、こちらは医療を「受ける側」ではなく、「提供する側」である外国人の医師や看護師に必要なものです。また別の機会に説明します。名前がややこしいので注意してください。

「医療滞在ビザ」とは

医療滞在ビザとは,日本において治療等を受けることを目的として訪日する外国人患者等(人間ドックの受診者等を含む)及び同伴者に対し発給されるものです。

後述しますが、同伴者についても発給される点に特徴があります。

受入分野

対象となる医療の範囲は、医療機関における治療行為だけでなく、日本の医療機関の指示によるものであれば人間ドック・健康診断から温泉湯治などの療養まで全て対象になります
日本の医療機関については日本に所在する全ての病院や診療所を指し、規模や施設などに条件はありません。

滞在期間

この滞在期間と有効期限にこの医療滞在ビザの特徴がよく表れていると言えます。

外国人患者等の病態等を踏まえて15日、30日、90日、6ヶ月又は1年のいずれかになりますが、90日を超える日数となるのは入院を前提とします

なお、滞在期間が90日以内の場合は1回だけ滞在期間の更新が認められ、最長で180日の滞在が可能となります。

「なんだ90日以下しか出ないなら、通常の短期滞在と変わらないじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、それについては次の「数次ビザ」を見てください。

数次ビザ

数次ビザとは有効期間内であれば何度でも出入国が可能なビザ(査証)のことですが、滞在期間が90日以内の場合は必要に応じ、有効期間内であれば何度でも出入国が可能な数次ビザが発給されます。この点が単なる短期滞在との違いです。
治療のためのビザですから治療等のために来日し、治療が終了したら帰国、次の診療のときにまた来日・・・ということを繰り返し行うというのが考えられるからです。

数次有効ビザを申請する場合には医師による「治療予定表」の提出が必要となりますので身元保証機関を通じて入手する必要があります。

有効期限

必要に応じ3年とされています。
滞在期間が90日以内の場合で数次ビザが発給された場合はこの3年の間は何度でも出入国が可能ということです。
90日以内の場合で数次ビザが発給されなかった場合や、90日以上の期間の場合はあまり関係がありません。

該当する在留資格

実はこの「医療滞在ビザ」については90日以内の場合と長期の場合では在留資格が異なります
90日以内の場合は「短期滞在」、それ以上の場合は「特定活動」という在留資格になり、申請も変わります。

「特定活動」の場合はまず在留資格認定証明書交付申請を行う必要があります。

同伴者について

これがこのビザの最も特殊なところであると思われます。医療滞在ビザで来日する外国人患者は必要に応じて同伴者を同行させることができるのです(外国人患者等と同じビザが発給されます)。

同伴者については外国人患者等の親戚だけでなく、親戚以外の者であっても必要に応じ同伴者として同行が可能なのです。

当然ですが、外国人患者等の身の回りの世話をするための来日ですので就労活動はできません
また、同伴者の同行には日本の身元保証機関(医療コーディネーター,旅行会社等)との合意が必要です。

身元保証機関

医療滞在ビザ申請には日本の身元保証機関による身元保証が必要になります。

身元保証機関とは、経済産業省または観光庁がそれぞれ登録・管理する身元保証機関リストに掲載されている旅行会社、国際医療交流コーディネーターなどです。

医療滞在ビザ申請の必要書類

申請先は在外公館(在外日本大使館や領事館など)になります。

ア 旅券
イ 写真
ビザ申請書
医療機関による受診等予定証明書及び身元保証機関による身元保証書
オ 一定の経済力を有することを証明するもの(銀行残高証明書等)
カ 本人確認のための書類
キ 在留資格認定証明書
入院して医療を受けるため,90日を超えて滞在する必要がある場合のみ必要となります。)
ク 「治療予定表」(数次にわたり治療のために訪日する必要がある場合)

また、同伴者は上記中ア、イ、ウ、カのみ必要となります。

医療滞在ビザの注意点

医療滞在ビザの注意点としては健康保険が使えないことが挙げられます。
健康保険が使えず、日本での滞在費用も掛かることになるため、上記オの経済力を有することを証明する書類が必要になるのです。

医療滞在ビザの利用を考えている場合というのは難しい治療を必要とする場合が多く、健康保険が使えないことは想像よりもかなり経済的な負担感は大きいのです。

帰化や永住された方が両親に日本の医療を受けさせたい、とのことでよくご相談をいただきますが、それなりに所得のある方でも健康保険が使用できないということを聞いて諦める方はとても多いです。
基本的には日本の先進医療などを求める海外の富裕層向けのビザであると言えるでしょう。

この記事を書いた行政書士は
勝見 功一

はじめまして。京都市上京区でビザ申請手続きのお手伝いをさせていただいております申請取次行政書士の勝見です。
まだまだ若輩者ですが、持ち前のフットワークの良さを活かして迅速かつ誠実に対応させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせ下さい。

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