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知っておきたい配偶者ビザと就労の関係-制限はある?できる仕事は?-

国際結婚をして配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の取得を考えている方、あるいはすでに取得している方にとって、「日本での就労」は大きな関心事ではないでしょうか。実は配偶者ビザは、日本での就労において非常に恵まれた在留資格となっています。しかし、まったく制限がないわけではなく、知っておくべきルールや注意点も存在します。その権利と制限について正確に理解していないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。

本記事では、配偶者ビザでの就労に関する基本的な権利から具体的な制限、申請手続きまで、実務経験豊富な行政書士監修のもと、分かりやすく解説していきます。これから日本での就労を考えている方はもちろん、国際結婚をした方やそのパートナー、また外国人を雇用する企業の方々にとってすでに働いている方にとっても知っておくべき重要な情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

1. 配偶者ビザでの就労は可能?基本的な権利を解説

配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)は、日本人や日本に住む永住者と結婚した外国人に与えられる就労に関する活動制限がない包括的な在留資格です。これは、多くの外国人配偶者にとって大きな魅力となっています。基本的な労働権利は日本人とほぼ同等で、職種や勤務時間に関する制限もありません。

1-1. 配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の基本的な特徴

配偶者ビザの主な特徴は以下の通りです:
  • 在留期間は最長5年
  • 就労制限がなく、様々な職種で働ける
  • 複数の仕事を持つことが可能
  • 起業や自営業も可能
特に就労面では、専門的な資格や学歴を問わず、希望する職種で働くことができる点が大きな特徴です。フルタイムでの就労はもちろん、複数の仕事を掛け持ちすることも個人事業主となることも起業することも可能です。この包括的な就労許可は外国人配偶者に日本社会での経済的自立と社会参加の機会を広く提供するものですが、就労するにあたってこの在留資格の本旨である「日本人配偶者との生活の維持」を忘れてはいけません。

1-2. 家族滞在ビザとの違いと優位性

家族滞在ビザとの主な違いを表で比較してみましょう:
項目 配偶者ビザ 家族滞在ビザ
就労制限 なし 資格外活動許可が必要
労働時間 制限なし 週28時間以内
職種制限 制限なし(風俗営業などでの就労で
更新が難しくなる可能性はあり)
制限あり

1-3. 包括的な就労許可の意味するもの

包括的な就労許可があることで、以下のような活動が可能になります:
  • 正社員としての勤務
  • パート・アルバイト
  • フリーランス活動
  • 起業・会社経営
  • 複数の仕事の掛け持ち
ただし、この権利を維持するためには、配偶者としての実態を保持し続けることが重要です。形式的な婚姻関係だけでなく、実質的な婚姻生活を送っていることが求められます。詳細は次の項目で説明します
【注意点】
配偶者ビザでの就労は自由度が高い一方で、以下の点には注意が必要です:
– 婚姻関係の実態維持が必要
– 定期的な在留期間更新での審査

2. 配偶者ビザでの就労制限について詳しく解説

配偶者ビザでは基本的に就労の自由が認められています。日本人と同様に職種や業種の制限はないといえます。一般的な会社員やパート、アルバイトはもちろん、専門職や管理職、さらには起業や自営業も可能です。しかし在留資格の性質から実質的な制限事項といえるものも存在します。これらを理解することは、安定した在留資格の維持に不可欠です。

2-1. 就労可能な職種と業種

配偶者ビザで就労可能な主な職種・業種は以下の通りです:
  • 一般企業でのオフィスワーク
  • 専門職(IT、医療、教育など)
  • サービス業(小売、飲食など)
  • 製造業
  • 自営業・フリーランス
特筆すべきは、他の在留資格と異なり、職種変更時に入国管理局への届出が不要という点です。この高い自由度は外国人配偶者が自身のスキルや経験を活かし日本社会で活躍する機会を広げていると言えますが、この自由度の高さゆえに次に説明する在留資格の本来の目的を逸脱しないよう注意が必要です。
職種変更時に届出が不要なのは家族滞在ビザも同様です。このあたりは就労ビザではない身分関係のビザだからです。

2-2. 風俗営業等の実質的に制限される業種

よく、「配偶者ビザでも風俗営業で働くのは禁止されている」という誤解があります。
法律上は配偶者ビザで在留する外国人がこれらの業務に就いていたとしてもそれだけで在留資格の取り消しなどの法的な処分を受けることはありません(違法な仕事はもちろんだめですが)。

しかし配偶者ビザで在留する外国人がこれらの業務に従事していた場合、在留資格の更新が難しくなる可能性は否定できないのです。これは上記の在留資格の本旨によるものであり、単純に入国管理局がこれらの業種を問題視しているというわけではありません。

ではなぜこれらの業務に外国人配偶者の方が就いている場合に在留資格の更新が難しくなるかと言えば、上記の通りこの在留資格の本旨は「日本人配偶者との生活の維持」であるからです。
日本で夫婦として普通に生活していくのなら他にも仕事はあるはずなのになぜその仕事にわざわざ?という疑問を持たれ、出稼ぎのための偽装婚などの疑念を持たれやすくなる可能性があるということですね。

そのため家計の都合でどうしても外国人配偶者の方がそういった仕事に就く必要がある場合は更新時に入国管理局に理由書などで説明する必要が出てきます。

2-3. 労働時間や雇用形態の自由度

労働時間と雇用形態については、以下のような柔軟性があります。
最低賃金など法令は当然守られている必要はありますが、技術人文知識国際業務などのような就労ビザの制限よりはかなり自由度が高いと言えます。
項目 内容
労働時間 法定労働時間の範囲内で自由
雇用形態 正社員、パート、アルバイト、複数就労可
給与形態 月給、時給、年俸制など制限なし
就労することも自由ですが、就労しないことも自由なのが配偶者ビザです。就労ビザですと、該当する就労をしないと在留資格取り消しの対象となったりしますが、配偶者ビザではそのようなことはありません。

3. 配偶者ビザで就労する際の具体的な手続き

就労にあたっての手続きは比較的シンプルですが、いくつかの重要なステップがあります。ここでは、スムーズに就労を開始するための手続きを解説します。

3-1. 就労開始時に必要な手続き

配偶者ビザで就労を開始する際、特別な手続きは基本的に不要です。しかし雇用主に対して在留カードを提示し、雇用主は在留カードをきちんと確認し、就労資格があることを確認する必要があります。就職時に必要な一般的な手続きは以下の通りです。
  1. 在留カードの提示
  2. 雇用契約書の締結
  3. 源泉徴収関連書類の提出
  4. 社会保険・雇用保険の加入手続き
実務上のポイント:
在留カードのコピーは必ず表裏両面を取得し、在留期限を確認することが重要です。
雇用締結時に在留カードを外国人から取り上げる雇用主もまれにいるようですが、絶対にやってはいけません。

3-2. 雇用主側が準備すべき書類

雇用主が準備する必要がある主な書類:
  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 外国人雇用状況届出書(雇用保険の被保険者となるかで違いあり)
アルバイトなどの外国人雇用状況届出は、雇入れ翌月末日までに必ず提出する必要があります。

3-3. 在留カードの確認ポイント

在留カードの確認では、以下の点に特に注意が必要です:

✓ 在留期間の有効期限

✓ 在留資格が「日本人の配偶者等」であること

✓ 就労制限の有無

✓ 記載事項の最新性

在留期間満了の3ヶ月前からは更新手続きが可能です。更新手続き中も就労は継続可能ですが、会社側には更新申請中である旨を伝えておくことをお勧めします。

4. 配偶者ビザの就労に関する注意点とリスク

就労自体は自由度が高い配偶者ビザですが、在留資格の維持に関わる重要な注意点がいくつか存在します。安定した収入がない場合、更新が困難になる可能性があります。一方で就労に熱心なあまり配偶者との関係が疎かになると、これも更新の障害となる可能性があります。ここでは主なリスクと対策について解説します。

4-1. 在留期間更新時の就労状況の影響

在留期間更新時には、以下の点の審査がポイントとなる事が多いです。
確認項目 重要度 注意点
安定した収入 生活を維持できる程度の収入があること
納税状況 適切な確定申告と納税履歴
社会保険加入 該当する場合の加入義務

4-2. 離婚・死別時の就労権への影響


離婚や死別の場合、以下の対応が必要ですになります。

– 14日以内の地方出入国在留管理局への届出

– 生活実態に応じた在留資格変更の検討

– 就労継続のための法的対応

特に離婚後も日本での就労継続を希望する場合は、速やかな在留資格変更手続きが重要です。一定の条件を満たせているなら「定住者」への在留資格変更が認められる場合もあります。配偶者ビザと同様に近い就労自由度の「定住者」への在留資格変更が最も望ましいですが、要件を満たせない場合は就労ビザなどへの変更も検討する必要が出てきます。

4-3. 不法就労とみなされるケース

以下のような場合は不法就労とみなされる可能性があります。
  • 在留期限切れ後の就労継続
  • 偽装結婚による在留資格取得が発覚した場合

不法就労とみなされた場合、在留資格取り消しや退去強制の対象となる可能性があります。

5. 配偶者ビザでの就労に関するよくある質問

実務上よく寄せられる質問とその回答をQ&A形式でまとめました。これらの情報は、就労に関する一般的な疑問の解決に役立ちます。

5-1. アルバイトや副業は可能か


Q: 正社員として働きながら、副業することは可能ですか?

A: 可能です。配偶者ビザでは、複数の仕事を持つことに制限はありません。ただし、以下の点に注意が必要です:

– 主たる勤務先の副業規定の確認

– 適切な確定申告の実施

– 労働時間管理の徹底


5-2. 起業や自営業について


Q: 配偶者ビザで起業することは可能ですか?

A: 可能です。個人事業主としての開業や会社設立が認められています。以下の手続きが必要です:
  • 開業届の提出(税務署)
  • 必要に応じた許認可の取得
  • 確定申告の準備

起業時は、専門家への相談をお勧めします。特に会社設立の場合は、法的要件の確認が重要です。

5-3. 収入制限はあるのか

収入に関する主なポイントは以下の通りです:
項目 内容
上限規制 特に定めなし
下限目安 具体的基準はないが生活保護基準を上回る程度が目安とも言われる
更新時の考慮 安定した収入として評価
生活を維持できる程度の収入があることが、在留期間更新時の重要な判断材料となります。

6. 配偶者ビザの就労でトラブルを避けるために

就労に関するトラブルを未然に防ぐため、事前の確認と適切な対応が重要です。ここでは具体的な予防策を解説します。

6-1. 事前に確認すべきポイント

就労開始前の確認事項チェックリスト:

□ 雇用契約書の内容確認

□ 労働条件の詳細確認

□ 社会保険加入の要件確認

□ 給与支払い方法の確認

□ 在留カードの有効期限確認

□ 勤務先の就業規則の確認


特に雇用契約書は必ず書面で取り交わし、内容を十分に確認しましょう。

6-2. 専門家に相談すべきケース

以下のような場合は、専門家への相談をお勧めします。
  • 在留期間更新と就労の関係について
  • 起業・会社設立を検討する場合
  • 労働条件に不安がある場合
  • 在留資格の変更を検討する場合
  • 配偶者との関係に変化がある場合

6-3. 今後の在留資格変更の可能性

将来的なキャリアプランに応じて、以下の在留資格への変更も検討するとよいでしょう。
変更先の在留資格 主な要件 メリット
永住者 10年以上の在留等(就労ビザからの変更の場合。
配偶者ビザからの場合はもっと短くなる)
在留期限なし
技術・人文知識・国際業務 専門的職種での就労 配偶者関係によらない在留
将来的なキャリアプランに応じて、計画的な在留資格の検討が重要です。特に在留資格変更や永住権申請を考えている場合は、専門家に相談することをおすすめします。入管法は複雑で頻繁に改正されるため、最新の情報を把握している専門家のアドバイスが有用です。

まとめ

配偶者ビザでの就労は、多くの自由が認められている一方で、適切な手続きと注意点の理解が重要です。不安な点がある場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。本記事で解説した内容を参考に、適切な就労活動を行っていただければ幸いです。

この記事を書いた行政書士は
勝見 功一

はじめまして。京都市上京区でビザ申請手続きのお手伝いをさせていただいております申請取次行政書士の勝見です。
まだまだ若輩者ですが、持ち前のフットワークの良さを活かして迅速かつ誠実に対応させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせ下さい。

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