ビザ(在留資格)申請の理由書とは
主に外国人を雇用して就労系のビザ(在留資格)の申請を行う場合、雇用する側(会社)と雇用される側(申請者の外国人)双方の「理由書」と言われる書類を出すことが望ましいです。(配偶者ビザや定住ビザなどの身分系の在留資格でも理由書を出すことはあります)
カテゴリー2以上の比較的大きな会社の申請の場合理由書を添付しない場合も多いですが、例えば雇用された外国人の業務内容と大学などの専攻の関連性がやや弱く見える場合など大きな会社でも理由書を添付する場合もあり、やはり理由書の在留資格申請における重要性は小さくありません。
ここではその在留資格申請における理由書の重要性とどのような記載が望ましいかを説明していきます。
そもそも理由書とは何か
外国人の方が日本で就労するには出入国在留管理庁で「技術人文知識国際業務」などの就労を可能とする在留資格の許可を受ける必要があります。在留資格の許可を受けるためにはさまざまな書類を提出しますが、その一つが理由書です。どのような内容かと言えば名前そのもので、雇用する会社からはその外国人を雇用する理由を記載したもの、雇用される外国人からはその会社で働く理由を記載したものです。
出入国在留管理庁の「技術人文知識国際業務」のページを見ていただくとわかりますが、理由書は提出書類には記載されていない任意で提出する書類ということになります。
実際カテゴリー2以上の比較的大きな会社の申請の場合、理由書を添付しない場合も多くあります。
なぜ理由書を添付する必要があるのか
「それなら別に出さなくてもいいのでは?作るの面倒だし」と思う方も多いです。しかし最初に説明しておくべきなのは先述の出入国在留管理庁のページに記載されている必要書類はあくまでも「必要最低限」のものだということです。
出入国在留管理庁の在留資格申請は申請人や会社関係者に直接連絡を取る場合もありますが、原則は書面審査であり、提出した資料で許可かどうかが決まります。つまり出入国在留管理庁のページに記載されている必要書類をすべて提出したとしても、それだけでは許可を出すのに不十分と出入国在留管理庁の審査官に判断されれば追加資料を求められたり、最悪許可されないということも十分に考えられるのです。
つまり添付資料では説明不足であることが考えられる場合にその部分の説明不足をあらかじめ補っておくのが理由書と言えます。
理由書には何を記載するのか
まず最初に注意しないといけないのは理由書に記載すべきなのは出入国在留管理庁の審査官が審査する上で知りたいことであり、会社側が言いたいことではないということです。そのため雇用する外国人の人柄などについて延々と記載するのはプラスアルファになることはありえるとしても、理由書に記載すべきメインの記載ではないということです。
会社サイドの作成する理由書に記載する内容として、「技術人文知識国際業務」などの就労を可能とする在留資格の許可において重要なのはまず申請する外国人の行う業務内容が申請する在留資格(ビザ)にきちんと該当しているかです。
日本の就労系の在留資格は原則として専門性のある仕事に就く外国人を対象にしており、業務内容が単純労働と思われるものでは許可はされません。申請書にも担当する業務を記載する欄がありますが、2行程度の内容では足りるとはなかなかいいがたいです。
担当する業務内容の詳細を説明し、単純労働でないことはもちろん専門性が高くそれにふさわしい人材が必要(申請人でなくてもいいわけではない)な事を説明することが望ましいと言えます。
それでは専門性が高い仕事であることを説明すればそれだけでいいかというと、そういうわけではありません。その人材が必要ということは、十分な仕事量があるということです。例えば通訳が必要であるというならば、通訳の業務がこれだけあるということを説明する必要があります(会社業務の性質上、ある程度仕事量があるのは当然と考えられるような場合は不要なこともあり得ます)。
新規事業の場合などで今はそれほど業務はないが、これから増えていく場合はもちろんそれについても説明する必要があります。
なぜ申請人の雇用なのかの記載
担当する業務について、まずなぜその業務において外国人社員を募集する必要があったのか説明します。そして次になぜ申請人を雇用することに決定したかの理由について説明することになります。上記の通り「人柄がよい」などの理由では理由になっているとは言えません。あくまでも学歴や職歴、語学能力、出身の国や地域などといった背景などのものと担当する業務との関係性からその会社の業務に貢献できると判断したといえる説得力のある内容でないと、理由書の記載として効果があると言えるか難しくなります。
業務内容と専攻の関連性についての記載
業務内容と専攻の関連性の要件は全体的には緩和傾向ですが、もちろん不要になったわけではありません。一見して専攻と業務内容の関連性がわかるような場合はいいのですが(それでも申請人の紹介部分に専攻について触れておくくらいはした方が良いでしょうが)、関連性が薄く見える場合はどのように申請人の専攻してきた内容と業務が関連すると言えるのかの説明を記載することになります。その他の記載が必要となる事も
ここまではあくまでも一般的な場合についての外国人を雇用する場合の理由書に記載することについての説明と言えます。最初に説明した通り、理由書に記載するのは審査官にとって添付資料では不十分と思われる部分の説明であり、上記以外にも添付資料では不足していると思われる(そのままでは審査官から説明を求められたり、追加資料の提出を求められたりする)内容があれば理由書であらかじめ説明しておくのが望ましいと言えます。
よくあるのが決算が赤字であったり、債務超過である場合です。カテゴリー2以上の会社では必要ありませんが、カテゴリー3などの会社では必要な資料に決算報告書の写しがあり、赤字決算や債務超過は当然に審査官の知るところになります。
このような場合、やはり理由書にそれについての記載が望ましいということになります。
結局のところ添付資料だけでは審査官から指摘のありそうな部分については先に理由書において説明をしておくのがスムーズな申請につながると言えます。
こういった要因があるのに理由書を出さなかった場合、何度も審査官から説明を求められたり、追加資料の提出を求められたりして申請が長引く可能性があるので、結局のところ面倒でも理由書をきちんと最初から作成しておく方が望ましいと言えるのです。
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