検索候補に「配偶者ビザ 許可率」
例えば検索エンジンに「配偶者ビザ」と入れると、候補に「配偶者ビザ 許可率」「配偶者ビザ 不許可 確率」などが結構出てきます。我々のように業務で日常的に入管に申請を行っているわけではない一般の方にとって、どのくらい許可率や不許可率があるのかは気になるのも仕方ない事かもしれません。
しかし許可率や不許可率という数字には基本的にはあまり意味はないと考えています。
ここでは許可率や不許可率についての話を題材に、入管への申請とはどういうものかについて改めてみていきたいと思います。
初めての入管への申請
ほとんどの方は入管への申請は初めてです。中には「入管って何?」という方も実は少なくないかもしれません。日常的に外国人の方と関わる環境にいるのでなければそのような感じが普通でしょう。そんな中、会社で外国人の方を雇うことになった、あるいは外国人の方とお付き合いして結婚することになった…などで急に入管との接点ができます。
全然知らない役所にやったこともない申請、とりあえずいろんな事をネットで調べてみると、なにやら難しそうなことばかり書かれていて、入管の申請は他の役所への申請とは違うとの記載もある…
で、とりあえずどのくらい許可される可能性があるんだろう…となるのは自然なことでしょう。
中には近年起きているいろいろな事件の報道から、入管について怖い役所なのでは、というように思われている方もいるようです。
事件の内容についてはともかく、通常の申請について取り立てて身構える必要はないでしょう。
入管への申請
入管への申請は『在留資格該当性』と『上陸許可基準適合性』という要件(上陸許可基準適合性がない在留資格もあります)を満たしているかが主に審査されます。そして審査される要件を満たしていることを証明する資料を提出していくことになります。何か難しそうな言葉ですが、『在留資格該当性』というのはその在留資格(ビザ)に該当することを日本でするために日本に来るのかということ、配偶者ビザならば配偶者と日本で暮らすために来る、就労ビザならば日本で働くために来るのかを調べるということです。
「当り前じゃないか」というツッコミが入りそうですが、在留資格を隠れ蓑にした別の目的のための入国も後を絶ちません。特に配偶者ビザを取得しておいて実は日本への出稼ぎ目的の偽装婚がかなりみられました。配偶者ビザの申請において「真正の夫婦か」という在留資格に該当しているかが厳しく審査されるのはそういう理由なのです。
次に『上陸許可基準適合性』ですが、これは配偶者ビザには関係なく技術人文国際などの就労ビザ(芸術などないものもあり)などで必要とされることが多い要件です。
単に日本での活動目的が在留資格の内容とあっているというだけでは足りず、一定の基準を満たした外国人にのみその在留資格を許可するための基準、といったところでしょうか。
就労の場合、実務経験や学歴等を必要とする要件といったところです。
申請の許可率を調べても意味がない?
さて入管への申請は上記の通りですが、同じ配偶者ビザの申請一つとっても要件の証明が容易なものもあれば難しいものも存在します。まさしくケースバイケースなのです。仮に許可率の数字がいくらか出ていたとしても、要件の証明が容易なもので、特に問題もない申請であれば法務省の指示する最低限の資料を添付するだけでも許可率関係なく許可の可能性は高いでしょうし、逆に要件の証明が難しい、あるいは何かマイナスの要素がある場合はこれまた許可率と関係なく許可の可能性は低くなってしまうかもしれません。
申請において心がけたいことは
まず入管への申請を過度に怖れず、適切に怖れるということです。入管への申請は他の役所への許認可の申請とはやや性質が違う申請であることは事実ですが、それでも必要以上に気にする必要があるわけではありません。
一方で、マイナスの要素がある場合は法務省のホームページで指示されている申請資料だけでなく他の資料や説明などでマイナス要素のフォローを行うよう努めるべきです。
こうしたことをしっかり行っていくことこそが実際の申請での許可の可能性を上げるために必要なことと言えます。
別のところにも書きましたが、入管に限らず役所は申請者のことを全く知りません。知り合いや親族ならば通用する程度の説明や資料では通用しないことが多いのです。
許可率不許可率が意味があると思える場合とは
許可率不許可率が意味があると思えるのは永住における2017年のガイドライン改正など、制度が大きく変わった場合などです。このガイドライン改正で永住申請に必要となる書類が大幅に増え、審査自体も厳しくなったと言われており、実際にそれまでと2017年以降の許可率とではかなりはっきりと低下傾向が見られます。
上記の通り申請は要件について証明する資料をきちんと整えて、マイナスになりそうなところはフォローをしっかり行うということには変わり有りませんが、審査が厳しくなったことが明白な場合はより慎重な準備が必要になる事もまた事実だからです。
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