当事務所に相談に来られる相談者の方には配偶者と離婚したり、会社を退職したという方も結構おられます。
今の世の中で離婚や退職自体は特に珍しい事ではありません。
ただこの場合問題なのは、日本の在留資格制度に詳しくないせいか、自分の置かれた状況に対して危機感をほとんど持っていない方が多くみられることです。
今回は離婚・退職した外国人の方に注意していただきたい在留資格取消制度(主に法22条の4第1項6号及び7号)についての説明です。
在留資格取消制度とは
在留資格取消制度は平成16年の改正から導入されました。基本的には虚偽の文書提出などの不正手段により上陸を許可され、在留資格を付与されている場合など、不正に得た在留資格(ビザ)を対象としており、適法に在留資格(ビザ)を得た方には関係なさそうに思えるのですが、この在留取消制度は付与された在留資格の活動を正当な理由がないにもかかわらず、継続して(就労系は3月、配偶者は6月以上)行わない場合にも適用されるのです。
上記事由や住居地の届けを怠るなどが判明した場合は、法務大臣は在留資格を取り消すことができます。
ポイントとしては取り消すことが「できる」であり、「取り消す」とはなっていないことです。
つまり該当していたら必ず取り消されるというわけではないということです。
また、在留資格の活動を継続して行わない場合の取消には「正当な理由がないこと」が必要であり、「正当な理由がないこと」は法務大臣側に立証責任があるとする見解もあります。
離婚・退職後は甘く見ず、きちんと対応を
上記の在留資格取消制度ですが、実際の取消件数はさほど多くないといわれています。特に活動を継続して行わない場合の取消は、制度導入後しばらくはほとんど見られなかったようです。しかし近年在留資格取消は着実に増え、活動を継続して行わない場合の取消の例も以前よりも格段にみられるようになってきたようです。
であるにもかかわらず、制度の存在を知らず、「在留期間がまだだいぶあるんだから問題ないんじゃないの?」と考えている方が多いようです。退職後や離婚後のことを相談される方に「(離婚や退職の)時期はいつですか?」とお尋ねすると、急いで対処してほしい方がかなりおられますが、ご本人にその認識は全くない場合が多いのです。
確かに在留資格取消は、活動を継続して行わない場合に必ずなされるというわけではありません。
しかし法律上「正当な理由がないこと」を要件とはしていますが、要件に該当しているならば制度の対象となって取り消されたとしても、不思議はないのです。そしてその場合、想像しなかった重大な結果もあり得るのです。
また、離婚・退職後の時間経過など、実際はあっという間です。
そうならないためにも残りの在留期間の長短に関わらず、後の対応を迅速に行うようにしてください。
また、在留資格が将来取消される心配がある方、入国管理局から在留資格取消の通知を受けた方は早めにご相談ください。
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