京都・大阪・滋賀でビザ申請をサポート お問い合わせは

配偶者ビザ更新で落ちる理由を法務省資料から逆算—更新審査は「婚姻の継続性」と「素行」

配偶者(結婚)ビザ

まず最初に結論として、配偶者ビザの更新審査は認定・変更時と異なり「書類は簡素だが、実態チェックが厳しい」という構造になっています。

更新申請では、新規申請時に提出した「質問書(出会いの経緯などを書く書類)」が原則不要になります。提出書類は基本的には申請書・写真・戸籍謄本・滞在費用証明・身元保証書・住民票の6点のみと最小限です(ケースにより必要となるものは異なる事には注意)。
しかし法務省が公表する不許可事例を見ると、更新時に不許可になるのは単に「書類不備」ということではなく、「婚姻の継続性に疑義」「犯罪歴・素行不良」「過去申請での虚偽判明」という”実態面”がより重要であることが見えてきます。


配偶者ビザ更新審査の本質(何を見ているのか)

結論:配偶者ビザの更新は「この外国人に、引き続き日本人(永住者)の配偶者として在留させて問題ないか」という総合判断で、判定軸は認定・変更時と異なるところがあるといえます。

入管法上更新の許可基準は、「法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由」があるかどうかです。
つまり、「婚姻が法的に成立しているか」よりも、以下の実質面がより重視して審査されます。


  1. 婚姻の実体が継続しているか(形式的な離婚届未提出ではなく、夫婦としての共同生活があるか)

  2. 日本社会への定着性・素行(犯罪歴がないか、納税義務を果たしているか)

  3. 経済的基盤の安定(生活保護等に頼らず生活できているか)

当然ですが、「婚姻が法的に成立しているか」も引き続き重要であることに変わり有りません。以前に比べて更新時も偽装婚について注意深く見ているとも言われるからです(最初の申請では見抜けないレベルの偽装婚であっても更新時にボロがでていることもあるため)。
しかしやはりすでに配偶者として日本で生活しているという事実があるため、審査の比重としてはこの辺りがより重要になってくるというわけです。

提出書類が示す「審査の狙い」

結論:更新用の提出書類一覧はシンプルですが、各書類が「婚姻継続」と「生活実態」の確認に特化しているといえます。


書類名 審査の意図(ここを見ている)
戸籍謄本(全部事項証明書) 離婚していないか、日本人配偶者が死亡していないかの確認。
住民票(世帯全員記載) 同居の実態確認。別世帯になっていないか、住所が一致しているか。※これがかなり重要
課税・納税証明書 収入の安定性と、公的義務(納税)の履行状況の確認。
身元保証書 日本人配偶者が引き続き身元保証の意思があるか(=離婚意思がないか)の確認。

不許可になる典型パターン(法務省事例分析)

結論:法務省公表の不許可事例から、更新で落ちる典型は「犯罪歴」「虚偽申請」「離婚後の変更申請」の3パターンです。


  • パターン1:犯罪歴・素行不良


    • 事例:執行猶予付きの判決を受けた場合など。配偶者ビザは就労系でない配偶者という身分に基づく在留資格であるため素行審査は比較的緩やかですが、重大な法令違反は「在留状況に問題あり」として更新不許可になる可能性が高くなります。

  • パターン2:虚偽申請の発覚(住所偽装)


    • 事例:初回申請時の住所と、更新時に出した源泉徴収票の住所が食い違っているケースなど。「実は最初から別居していた」「偽装結婚だった」と判断され、不許可だけでなく在留資格取消しの対象になりえます。

  • パターン3:離婚後の変更申請


    • 事例:離婚後すぐに「定住者」などへの変更を希望したが、婚姻期間が短く(3年未満など)、日本への定着性が認められずに不許可になるなど。離婚後は速やかに適切な資格へ変更するか、帰国する必要があります。

日本人ないし永住者の配偶者ビザから就労ビザへの変更|離婚後の要件・手続きと「14日以内」の注意点

在留期間の伸ばし方(1年→3年→5年の壁)

結論:在留期間が伸びる基準は、「婚姻の安定性」と「公的義務の履行」が鍵です。


  • 1年→3年の目安


    • 同居して婚姻生活が継続していること。今後も継続すると見込まれること

    • 日本人配偶者(または申請人)が納税義務など公的義務を履行していること(未納・滞納がない)。

    • ※初回は様子見で「1年」になることが多く、順調なら次またはその次で「3年」が出ることが多いです。

  • 3年→5年の目安


    • 婚姻後の同居が3年以上であること。

    • 婚姻生活が長期間(目安5年以上など)安定していること。今後も安定が見込まれること

    • 公的義務(納税・年金・保険)の履行に問題がないこと。

    • 申請人が入管法上の届出義務(住居地の届出、住居地変更の届出、所属機関変更の届出等)を履行していること
実際のところ、3年の在留期間が出次第永住の申請準備にかかる方の方が圧倒的多数なので、5年の在留期間はかなりレアであるといえます。
5年の在留期間については小学校・中学校に通う子供をちゃんと通学させていることが要件として挙げられていますが、家族構成にもよるので子供がいない場合などでこの要件を満たしていなくても5年が出る場合も確認されています。

Q&A:更新でよくある疑問

Q1:別居していても更新できますか?

A:正当な理由があれば可能ですが、説明責任が生じます。
住民票で「別居」や「世帯分離」が判明するため、単身赴任や親の介護など「正当な理由」があることを理由書で説明し、通話記録や送金記録で「夫婦としての交流」を証明する必要があります。理由なき別居や不仲による別居は、不許可リスクが極めて高いです。


Q2:日本人配偶者の収入が低い場合、更新できますか?

A:直ちに不許可にはなるとは限りませんが、世帯全体の収入証明等が重要です。
日本人配偶者が無職でも、外国人配偶者に収入がある、あるいは預貯金がある場合は許可されえます。重要なのは「世帯として生活が成り立つか」です。両方無収入でも日本人配偶者の親族などからの支援が十分であり、共に安定した生活を送ることが可能と証明できる場合などは許可される可能性が高くなります。永住ほどには収入基準は高くないので世帯として生活できるようにできるようにすることが重要です。

無職でも配偶者ビザ更新できる?不許可?審査ポイントと対処法
Q3:1年ビザのままなかなか3年になりません。なぜですか?

A:納税の遅れや、過去の申請内容への疑義が原因かもしれません。
住民税の納期遅れ(未納でなくても遅延)や、国民年金の未納などはマイナス評価され、「3年」が出にくくなります。また、別居期間があったり、入管への届出(住所変更等)を怠っていたりする場合も、慎重審査として「1年」が続く原因になります。


まとめ

配偶者ビザの更新審査は、「書類の形式」だけではなく「婚姻・生活の実態」と「素行」で判定されます。

「同居の実態があり、素行に問題がなく、生活基盤が安定している」ことが証明できれば、更新は恐れる必要はありません。
逆に別居中や納税未納がある場合は、隠してもバレる可能性がかなり高いですし、バレた時の不利益は計り知れないものになります。理由書を添えて事情を説明するか、未納を解消してから申請するなど、誠実な対応こそが許可への近道です。絶対に虚偽の申請は行わないようにしましょう。


参考リンク集(法務省・出入国在留管理庁)

在留資格「日本人の配偶者等」(外国人(申請人)の方が日本人の配偶者(夫又は妻)である場合)
更新許可申請提出書類のチェックシートはこちら

この記事を書いた行政書士は
勝見 功一

はじめまして。京都市上京区でビザ申請手続きのお手伝いをさせていただいております申請取次行政書士の勝見です。
まだまだ若輩者ですが、持ち前のフットワークの良さを活かして迅速かつ誠実に対応させていただきます。初回の相談は無料ですのでまずはお気軽にお問い合わせ下さい。
当事務所の無料相談についてはこちら

勝見 功一をフォローする
無料相談のお問い合わせはこちら

お電話でのお問い合わせは
☎ : 075-441-3307

受付時間 9:00〜17:00
休業日 土日祝(対応あり)

対応地域 京都・大阪・滋賀などの関西全域
書類作成サポートは全国対応

配偶者(結婚)ビザ
勝見 功一をフォローする

コメント