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外国人と労働保険

外国人労働者と労働保険

就労ビザを取得し、外国人を雇用する上で守るべきルールとして労働保険の関係があります。

労働保険とは、業務上の災害や通勤途中の災害による傷病等を補償する労災保険と失業や雇用継続などのために給付金を支給する雇用保険のことをまとめてそう呼びます。

保険給付についてはそれぞれの保険制度で別個に行われますが、保険料の納付等については一体のものとして取り扱われています。

これらの労働保険は「保険年度」といわれる毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を単位として計算されることになっています。

基本的に労働保険適用は国籍を問わない(というより保険適用は個人単位ではなく事業所ごと。さらにいえば1企業に複数の事業所があり、独立性があればそれぞれの事業所ごとになる)ため、企業に雇用されている外国人労働者は適用除外条件にあてはまらない限りはこの労働保険に加入する必要があります。

外国人と労働保険についてはこちらの厚生労働省ホームページをご覧ください。

就労系のビザ(技術人文国際、技能、経営管理等)については上記が当てはまりますが、技能実習については労災保険の適用はあるものの、雇用保険の適用はありません。資格外活動許可で就労する留学生についても同様です。
また、労災保険については不法就労や未加入であっても適用はされます。

それぞれの保険の内容は以下のようになっています。

労災保険

労災保険(労働者災害補償保険)は業務上の負傷・疾病といった「業務災害」と、通勤に通常伴う危険による「通勤災害」について対応するために保険料をあらかじめ納付し、治療その他の補償を国が代わって保険給付する制度です。

加入の必要な事業者

上記のように労災保険への加入は個人単位ではなく、事業所ごとに行います。

そして加入が必要となる事業所(企業)とは「一人でも使用者(従業員)がいる事業所」であり、日本法人外国法人を問わず、日本に事業所が存在し、一人でも従業員がいれば加入が必要となります。

例外的に加入の必要がない任意適用事業所としては個人事業の一部業種(農林水産業等)がありますが、加入することもできます。

労災保険適用となる労働者の範囲

労災保険では一人でも従業員がいれば加入が必要となり、逆にいえば一人でも従業員がいる事業所についてはそこで働く労働者は外国人であるかを問わず、また常勤・非常勤であるか、短時間で働くパート・アルバイトであるかなどを問わず、全ての労働者に適用されます(技能実習生や留学生アルバイト、不法就労であっても適用されるのは上述の通り)。
この点は後述の雇用保険と異なります。

労災保険は労働者のための保険制度ですので、事業主である社長や役員は加入できませんが、「特別加入制度」というものも存在します。

労災保険加入手続き

従業員を初めて雇った日から10日以内に「労働保険保険関係成立届」を労働基準監督署に提出して加入します。
事業所ごとの加入ですので、従業員が増えるごとに手続きをするわけではありません。
保険料は事業主の全額負担であり、労働者が負担する必要はありません。

雇用保険

雇用保険は失業した場合の「求職者給付」や再就職を援助する「就職促進給付」、雇用者側が労働者の雇用を継続しがたい事由が生じたときの「雇用継続給付」などがあり、中心となるのは失業時の求職者給付です。

加入の必要な企業

加入が必要となる事業所(企業)は労災保険と同様に「一人でも使用者(従業員)がいる事業所」であり、日本法人外国法人を問わず、日本に事業所が存在し、一人でも従業員がいれば加入が必要となります。

労災保険と同様に加入の必要のない事業所も一部あります。

雇用保険適用となる労働者の範囲

こちらは労災保険とは適用となる労働者の範囲に違いがあります。
労災保険は災害の保障を目的としているため、なるべく幅広い労働者を保護する必要性があるためだと思われます。

一人でも従業員がいれば加入が必要となることは同様ですが、雇用保険が適用されるためには長期雇用の見込みと一定の時間以上の労働時間が必要であり、短期間の雇用や労働時間の短いパートの仕事についてはそこを離れたとしても「失業した」とは判断されないのです。

そのため、31日以上雇用が見込まれていない場合や週の所定労働時間が20時間未満であるなどの労働者については適用除外となるのです。

雇用保険加入手続き

適用対象となる人を雇い入れた場合は、労災保険の保険関係成立届を提出した後、ハローワークに「事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出して加入します。

労災保険と違い、こちらは従業員を雇い入れるごとに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出して加入手続きをすることになります。

外国人労働者の加入手続きの場合は、「雇用保険被保険者資格取得届」の備考欄に在留資格や在留期間などを記載する必要があります。

外国人の雇用状況の届出

平成19年10月1日から、すべての事業主のに外国人労働者(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」の者を除く)の雇入れまたは離職の際に、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等について確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることが義務付けられました。

詳細はこちらのページをご確認ください。

この記事を書いた行政書士は
勝見 功一

はじめまして。京都市上京区でビザ申請手続きのお手伝いをさせていただいております申請取次行政書士の勝見です。
まだまだ若輩者ですが、持ち前のフットワークの良さを活かして迅速かつ誠実に対応させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせ下さい。

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