日本で高度専門職ビザを取得し、キャリアを築こうと考えている皆さん、そして優秀な外国人材の採用を検討している企業の担当者様。素晴らしいキャリアの実現とともに、大切な家族と日本で一緒に暮らしたい、あるいは安心して働ける環境を整えたいと考えるのは自然なことです。しかし、「配偶者や子供はどのビザで呼べるの?」「親を呼び寄せることはできる?」「家族も日本で働けるの?」といった疑問や不安を抱えていませんか? 高度専門職ビザ保持者の家族滞在には、実は複数の選択肢があり、それぞれに特徴や条件、メリット・デメリットが存在します。一般的な「家族滞在」ビザだけでなく、配偶者のフルタイム就労を可能にする「特定活動(33号)」や、一定条件下で親の帯同を認める「特定活動(34号)」など、高度専門職ならではの優遇措置があるのです。この記事では、法務省や出入国在留管理庁の最新情報に基づき、高度専門職ビザを持つ方が利用できる家族滞在関連の在留資格を徹底比較・解説します。それぞれの条件や手続き、注意点を分かりやすくお伝えし、あなたや貴社にとって最適な選択ができるようサポートします。この記事を読めば、家族との日本での生活設計や、外国人従業員の受け入れ体制構築に向けた具体的な道筋が見えてくるはずです。
高度専門職ビザと家族滞在の基本
高度専門職ビザは、日本の産業や学術研究に貢献する高い専門性を持つ外国人材を積極的に受け入れるための制度です。学歴、職歴、年収などをポイントで評価し、合計70点以上を獲得することで取得できます。さらに80点以上を獲得すると、永住許可申請に必要な在留期間の短縮など、さらなる優遇措置が受けられるのもポイントです。このビザの大きなメリットの一つが、家族滞在に関する優遇措置が充実している点です。一般的な就労ビザでは難しい親の帯同や、配偶者の就労制限緩和などが認められており、優秀な人材が家族と共に日本で安心して長期的に活躍できる環境を提供することを目的としています。これにより、高度専門職人材はキャリアと家庭生活の両立を図りやすくなります。本稿では、この家族滞在に関する具体的な選択肢として、「家族滞在」ビザ、配偶者向けの「特定活動(33号)」、親向けの「特定活動(34号)」、そして家事使用人の帯同について詳しく解説します。
なぜ高度専門職は家族滞在で優遇されるのか?
高度専門職制度が家族滞在において手厚い優遇措置を設けている背景には、日本の国益に資する高度な能力を持つ外国人材を惹きつけ、長期的に日本で活躍してもらうという明確な政策目的があります。優秀な人材が能力を最大限に発揮するためには、仕事に集中できる環境だけでなく、家族と共に安定した生活を送れる基盤が不可欠です。もし家族の帯同や生活に大きな制約があれば、どんなに魅力的な仕事でも日本で働くことを躊躇してしまう可能性があります。
そこで、高度専門職ビザ保持者に対しては、以下のような家族滞在関連の優遇措置が設けられています。
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配偶者の就労: 「家族滞在」ビザでも資格外活動許可で週28時間まで働けますが、さらに条件を満たし「特定活動(33号)」を選択すればフルタイム就労が可能になります。これにより、配偶者自身のキャリア継続や世帯収入の増加が実現しやすくなります。
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親の帯同: 通常は認められない親の帯同が、3ヶ月以上の7歳未満の子の養育や妊娠中の支援といった特定の条件下で「特定活動(34号)」として可能になります。これにより、育児や家事のサポートを得やすくなります。
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家事使用人の帯同: 一定の条件下で、家事の負担を軽減するための家事使用人を雇用し、帯同させることが認められています。
これらの措置は、高度専門職人材が公私ともに充実した生活を送り、日本社会への定着と貢献を促進するための重要なインセンティブとなっているのです。
呼び寄せられる家族の範囲(配偶者・子・親・家事使用人)
高度専門職ビザを持つ方が日本に呼び寄せることができる家族や関係者の範囲は、他の一般的な就労ビザと比較して広範です。具体的には以下の人々が対象となり得ます。
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配偶者: 法律上の婚姻関係にある相手。後述する「家族滞在」または「特定活動(告示33号)」の在留資格が該当します。
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子: 実子および養子が含まれます。配偶者と同様に、「家族滞在」の在留資格が主に該当します。未成年で未婚であることが一般的ですが、個別の状況により判断されます。
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親: 高度専門職人材本人またはその配偶者の親(養親を含む)。ただし、無条件に呼び寄せられるわけではなく、「特定活動(告示34号)」の対象となる厳格な条件(3ヶ月以上7歳未満の子の養育支援、妊娠中の本人または配偶者の介助、世帯年収800万円以上など)を満たす必要があります。高度専門職ならではの特例措置です。
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家事使用人: 高度専門職人材が一定の条件(世帯年収1,000万円以上、13歳未満の子がいる、または配偶者が就労や病気等で家事ができないなどの家庭事情、あるいは入国帯同型など)を満たす場合に、外国から家事使用人を呼び寄せたり、既に日本にいる外国人を家事使用人として雇用したりすることが認められています。これも他の在留資格にはない優遇措置の一つです。
これらの対象者について、それぞれ異なる在留資格や申請要件が定められています。どの家族をどのような目的で呼び寄せたいかによって、選択すべき在留資格や準備する書類が変わってきます。
配偶者・子のための「家族滞在」ビザ
高度専門職ビザを持つ方の配偶者や子供が日本で一緒に生活するための最も基本的な在留資格が「家族滞在」ビザです。これは、高度専門職人材本人(扶養者)の扶養を受けて生活する家族のためのものです。申請にあたっては、扶養者との法的な家族関係(婚姻・親子)と、扶養者が家族全員を経済的に支える能力があることを証明する必要があります。在留期間は扶養者の在留期間に応じて決定され、通常は同じ期間が付与されます。「家族滞在」ビザは、多くの高度専門職のご家族にとって、日本での生活を始めるための最初のステップとなるでしょう。ただし、就労には制限がある点に注意が必要です。
「家族滞在」ビザの対象者と申請条件
「家族滞在」ビザの対象となるのは、高度専門職ビザを含む特定の在留資格を持つ外国人(扶養者)から扶養を受ける配偶者または子(実子・養子)です。内縁関係のパートナーや、独立して生計を立てている子は対象となりません。申請にあたって満たすべき主な条件は以下の通りです。
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扶養者との関係: 扶養者の法律上の配偶者であること、または扶養者の子(実子・養子)であることを公的な書類で証明できること。
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必要書類例: 婚姻証明書、出生証明書、養子縁組証明書など(発行国の公的機関が発行したもの。日本語訳が必要な場合あり)。
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扶養の事実: 扶養者から経済的な支援を受けて生活すること。申請者自身に収入がある場合でも、主として扶養者の収入によって生活することが前提となります。
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扶養者の扶養能力: 扶養者(高度専門職人材)に、申請者を含む家族全員が日本で安定した生活を送れるだけの経済力があること。
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証明書類例: 扶養者の住民税の課税証明書・納税証明書、預貯金残高証明書、在職証明書、給与明細など。明確な年収基準はありませんが、家族構成や生活地域を考慮して審査されます。
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同居: 原則として、日本において扶養者と同居すること。
これらの条件を満たしていることを申請時に提出する書類によって具体的に立証する必要があります。特に、海外で発行された証明書類は、取得に時間がかかる場合もあるため、早めに準備を始めることが大切です。
「家族滞在」ビザでの就労:資格外活動許可とは?
「家族滞在」ビザはあくまでも扶養を受けて日本で生活するための在留資格であり、本来就労活動を行うことは認められていません。しかし、生計を補助するためなどにアルバイトやパートタイムで働きたいというニーズがあることから、「資格外活動許可」という制度が設けられています。この許可を得ることで、一定の制限内で就労することが可能になります。
【資格外活動許可のポイント】
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申請が必要: 自動的に許可されるわけではなく、地方出入国在留管理局に別途「資格外活動許可申請」を行い、許可を得る必要があります。新規入国時に空港で申請することも可能です。
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就労時間の制限: 許可される活動時間は、原則として週28時間以内です。これは、1週間の合計時間であり、複数の勤務先がある場合は合算して計算されます。
注意! 週28時間を超えて働くと、不法就労となり、在留資格の取消しや退去強制の対象となる可能性があります。
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活動内容の制限: いわゆる風俗営業や性風俗関連特殊営業、その他公序良俗に反する業務に従事することは固く禁じられています。
- 許可の範囲: 許可された活動は、あくまでも本来の在留資格(家族滞在)の活動を阻害しない範囲で行われることが前提です。収入が扶養者の収入を大幅に上回るような場合は、在留資格の変更を検討すべき場合もあります。
資格外活動許可は、「家族滞在」ビザを持つ方が社会と関わり、家計を助けるための一つの手段ですが、ルールを厳守することが極めて重要です。
配偶者の選択肢「特定活動(33号)」での家族滞在
高度専門職ビザを持つ方の配偶者には「家族滞在」ビザの他に、より積極的に働きたい場合に有利な選択肢があります。それが「特定活動(告示33号)」と呼ばれる在留資格です。これは高度専門職(1号)の配偶者に特有の制度で、最大のメリットはフルタイムでの就労が可能になることです。「家族滞在」ビザの資格外活動許可のような週28時間という就労制限がありません。共働きで世帯収入を増やしたい、配偶者自身のキャリアを日本でも継続・発展させたい、という場合に非常に有効な選択肢となります。ただし、「家族滞在」とは異なる申請条件や注意点があります。
「特定活動(33号)」とは?フルタイム就労の可能性
「特定活動(告示第33号)」は、高度専門職(1号イ・ロ・ハのいずれか)の在留資格をもって在留する外国人と法律上の婚姻関係にある配偶者のための在留資格です。この在留資格の最大の特徴でありメリットは、就労活動に関する制限が家族滞在や一般的な就労ビザと比較してかなり緩やかなことです。「家族滞在」ビザ+資格外活動許可のような「週28時間以内」という就労時間の制約がないことはもちろん、ほかの就労ビザでは本来必要とされる学歴や職歴の要件を満たさなくても就労が可能で正社員や契約社員としてフルタイムで働くことができます。
就労できる内容としても「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」又は「興行」に該当する活動となっていますので制限がまったくないわけではありませんが、いわゆる単純労働を除いてはかなり幅広い分野が網羅されていると言えるからです。
【「特定活動(33号)」の就労面のメリット】
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フルタイム就労が可能: 「家族滞在」ビザ+資格外活動許可のような「週28時間以内」という時間的制約がありません。正社員や契約社員としてフルタイムで働くことができます。
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職種の制限が少なく、学歴・職歴要件が緩和されている: 「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」又は「興行」に該当する活動を行えるということは、法律で禁止されている活動(例:単純労働の一部とされるものや公序良俗に反するもの)を除き、従事できる職種の制限がかなり少ないということです。例えば、大学教授、エンジニア、通訳、デザイナー、会社経営など、幅広い分野での活動が可能です。これは「技術・人文知識・国際業務」などの一般的な就労ビザよりも明らかに活動範囲が広いと言えます。何より「技術・人文知識・国際業務」などで必要となる学歴・職歴要件を満たしていなくても同様の就労が可能なのはかなり大きいと言えます。
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配偶者のキャリア継続: 母国でのキャリアや専門性を活かして日本でも同様の職務に就くことが可能です。キャリアの中断を防ぎ、自己実現を図ることができます。
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世帯収入の向上: 配偶者がフルタイムで働くことで世帯全体の収入を大幅に増やすことができ、より安定した生活基盤を築けます。
このように、「特定活動(33号)」は、高度専門職人材の配偶者が日本で主体的に経済活動を行い、自身の能力を発揮するための非常に有利な在留資格と言えます。
「特定活動(33号)」の申請条件とメリット・デメリット
高度専門職(1号)の配偶者が「特定活動(告示33号)」を取得するための主な条件と、この在留資格を選択する際のメリット・デメリットを整理します。
【申請条件】
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配偶者: 高度専門職(1号イ・ロ・ハ)の在留資格を持つ者の法律上の配偶者であること。
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同居: 高度専門職人材本人と日本で同居していること(別居した場合は就労活動を行うことができなくなる可能性があることに注意)。
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日本人と同等額以上の報酬を受けること: 日本人と同等額以上の報酬を受けることが他の就労系のビザと同様必要です。
【メリット・デメリット比較表】
項目 | メリット | デメリット |
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就労 | フルタイム可能、多様な職種可能 | なし |
キャリア | キャリア継続・発展が可能 | なし |
収入 | 世帯収入の大幅な向上が期待できる | なし |
扶養 | – | 収入によっては税法上・社会保険上の扶養から外れる可能性がある |
手続き | – | 「家族滞在」からの変更申請が必要な場合がある |
在留期間 | 扶養者(高度専門職)の在留期間と同じ期間が付与されることが多い | – |
永住申請 | 単独での永住申請は通常不可(高度専門職と共に申請が基本) | – |
【注意点】
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扶養控除・社会保険: 配偶者の年収が増えると、高度専門職人材本人の税法上の配偶者控除が受けられなくなったり、配偶者自身が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要が出てきたりします。手取り額だけでなく、税金や社会保険料の負担増も考慮する必要があります。
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在留資格の選択: 「家族滞在」から「特定活動(33号)」へ、またはその逆への変更も可能ですが、手続きが必要です。ライフプランに合わせて選択・変更を検討しましょう。
どちらの在留資格が最適かは、配偶者の就労意欲、キャリアプラン、世帯収入の目標、税金・社会保険の影響などを総合的に考慮して判断することが重要です。
親の呼び寄せ「特定活動(34号)」を活用した家族滞在
通常、日本の在留資格制度では就労ビザにとどまらず永住権を持っていたとしても外国人が自身の親を呼び寄せて一緒に暮らすことは非常に困難です。しかし、高度専門職ビザ保持者には、例外的に親(または配偶者の親)の帯同を認める「特定活動(告示34号)」という特別な制度が用意されています。これは、高度専門職人材が日本で安心して子育てや出産に臨めるよう、親からのサポートを受けやすくするための優遇措置です。ただし、この制度を利用するには、世帯年収や子の年齢、呼び寄せの目的など、非常に厳格な条件が定められており、誰でも利用できるわけではありません。家族滞在の選択肢の中でも、特に条件が厳しい点に注意が必要です。
親を呼び寄せられる具体的な条件
高度専門職ビザ保持者が「特定活動(告示34号)」を利用して親(または配偶者の親)を日本に呼び寄せるためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。一つでも欠けると許可されません。
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目的要件: 以下のいずれかの目的のために親を呼び寄せること。
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7歳未満の子の養育: 高度専門職人材本人またはその配偶者の7歳未満の子(実子・養子)を日本で養育する目的であること。子が7歳に達すると、原則としてこの目的での滞在は認められなくなります。
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妊娠中の介助等: 高度専門職人材本人またはその配偶者が妊娠中である場合に、その者の介助、家事その他の必要な支援を行う目的であること。出産後も、一定期間(通常は上記の7歳未満の子の養育に移行)は滞在が認められる可能性があります。
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世帯年収要件: 高度専門職人材本人とその配偶者の日本における世帯年収の合計が800万円以上であること。これは、親を呼び寄せても経済的に安定した生活が維持できることを示すための基準です。年収は、直近の課税証明書などで証明します。
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同居要件: 日本において、高度専門職人材本人(またはその配偶者)と同居すること。別居は認められません。
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対象者の限定: 呼び寄せることができるのは、高度専門職人材本人の親(父または母、あるいは両方)か、その配偶者の親(父または母、あるいは両方)のいずれか一方に限られます。つまり、本人側の親と配偶者側の親を同時に「特定活動(34号)」で呼び寄せることはできません。
これらの条件は出入国在留管理庁のウェブサイト等でも確認できますが、非常に厳格に運用されています。申請時には、これらの要件を満たすことを客観的な資料(子の出生証明書、母子手帳、年収証明書、住民票など)で詳細に立証する必要があります。
親の呼び寄せに関する注意点
高度専門職ビザの特典である親の呼び寄せ(特定活動34号)は魅力的な制度ですが、利用にあたっては以下の点に十分注意する必要があります。
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条件の厳格性と一時性: 前述の通り、利用条件は非常に厳格です。特に「7歳未満の子の養育」または「妊娠中の支援」という目的が明確に存在し、それが継続している間のみ認められる一時的な滞在です。子が7歳になったり、妊娠・出産に関する支援が不要になったりした場合は、原則として在留資格の更新は認められません。親の永住を目的とした呼び寄せはできません。
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どちらか一方の親のみ: 本人側の親と配偶者側の親を同時にこの制度で呼び寄せることはできません。「今回は夫側の母親、次回は妻側の父親」といった交代も原則認められません。どちらの親を呼ぶかは、家族で慎重に決定する必要があります。
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就労は不可: 「特定活動(34号)」で滞在する親は、就労することは認められていません。資格外活動許可の対象にもなりません。あくまでも、孫の養育や娘(または義理の娘)の介助といった、告示で定められた活動に専念する必要があります。
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社会保障: 日本の健康保険制度への加入は可能ですが、年金制度などについては制限があります。滞在中の医療費負担なども考慮しておく必要があります。
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申請書類の複雑さ: 年収証明、家族関係証明、養育や介助の必要性を具体的に説明する書類など、準備すべき書類が多く、内容も詳細にわたるため、申請準備には時間と労力がかかります。
警告! 条件を満たさないにも関わらず虚偽の申請を行った場合、在留資格が取り消されるだけでなく、今後のビザ申請にも重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
親の呼び寄せは、高度専門職人材の日本での活躍を支える重要な制度ですが、その利用条件と制限を正しく理解し、慎重に検討することが不可欠です。不明な点があれば、専門家への相談をお勧めします。
特例:家事使用人の帯同という選択肢
高度専門職ビザのもう一つの特例的な優遇措置として、一定の条件下で外国人の家事使用人を雇用し、日本に帯同させることが認められています。これは、多忙な高度専門職人材が、家事や育児のアウトソーシングによって仕事と生活のバランスを取りやすくし、より研究や業務に専念できる環境を整えることを目的とした制度です。一般的な就労ビザでは家事使用人の帯同は認められていないため、これも高度専門職ならではのメリットと言えます。ただし、利用するには世帯年収や家庭の事情、雇用する家事使用人自身に関する要件など、複数の条件を満たす必要があり、手続きも煩雑です。家族滞在とは異なりますが、家族の生活を支える選択肢の一つとして知っておくと良いでしょう。
家事使用人を帯同できる主な条件
高度専門職人材が外国人の家事使用人を雇用し、帯同するための条件は、主に以下の2つのケース(類型)によって異なります。
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入国帯同型: 高度専門職人材が日本に入国する前から継続して雇用しており、一緒に日本に入国する場合。
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雇用主の要件: 高度専門職ビザを取得(または見込み)であること。
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家事使用人の主な要件:
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18歳以上であること。
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月額20万円以上の報酬を受けること。
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出国(日本へ)前に1年以上、雇用主(高度専門職人材)に雇用されていたこと。
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雇用主と共に日本へ入国し、雇用主が日本から出国する場合は共に出国することが予定されていること(一時的な里帰りなどは除く)。
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家庭事情要件: 13歳未満の子がいる、または配偶者が病気等で家事ができないという家庭事情は不要です。独身の高度専門職人材でも利用可能です。
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家庭事情型: 日本に入国後、家庭の事情により新たに家事使用人を雇用する場合。
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雇用主の要件: 高度専門職ビザを保持していること。
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世帯年収要件: 世帯年収が1,000万円以上であること(入国帯同型でも必要)。
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家庭事情要件: 以下のいずれかの事情があること。
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申請時に13歳未満の子がいること。
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配偶者が病気、けが、あるいはフルタイム就労などにより、日常の家事に従事できないこと。
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家事使用人の要件:
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18歳以上であること。
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月額20万円以上の報酬を受けること。
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雇用主である高度専門職外国人が使用する言語により日常の会話を行うことができること。
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加えて、2021年に新設された「金融分野の高度専門職(金融人材)」については、家事使用人の帯同がより優遇されています。
家事使用人帯同の手続き概要と注意点
外国人家事使用人を高度専門職人材が雇用するための手続きは、他の在留資格と同様、原則として日本国内で「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請を行うことから始まります。
【手続き概要】
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雇用契約の締結: 雇用主(高度専門職人材)と家事使用人との間で、労働時間、業務内容、報酬(月額20万円以上)、休暇、雇用期間などを明記した雇用契約書を作成します(日本語および家事使用人の母国語が望ましい)。
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在留資格認定証明書申請: 雇用主が、自身の住所地を管轄する地方出入国在留管理局に、家事使用人のための在留資格「特定活動」の認定証明書交付申請を行います。申請時には、雇用契約書、雇用主の年収証明、家庭事情を説明する書類、家事使用人の経歴書やパスポートコピーなど、多数の書類が必要です。
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審査・交付: 書類審査、場合によっては面談などを経て、許可されれば在留資格認定証明書が交付されます。
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ビザ申請・来日: 在留資格認定証明書を家事使用人に送付し、本人が自国の日本大使館・領事館でビザを申請。ビザ取得後、在留資格認定証明書(交付後3ヶ月以内)とパスポートを持って来日します。
【注意点】
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条件の厳格な確認: 自身の状況が上記の条件(年収、家庭事情など)を満たしているか、最新情報を入管庁サイト等で必ず確認してください。
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雇用主としての責任: 家事使用人を雇用するにあたり、日本の労働基準法や最低賃金法などの労働関連法規を遵守する必要があります。適切な労働時間管理、社会保険(条件による)への加入、安全な労働環境の提供などが求められます。
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住居: 原則として、雇用主と同居する必要があります。
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申請書類の煩雑さ: 必要書類が多く、内容も詳細にわたるため、準備には時間と労力がかかります。
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更新時の審査: 在留資格の更新時には、雇用関係が継続しているか、条件を満たし続けているかなどが改めて審査されます。
家事使用人の雇用は、手続きが複雑であり、雇用主としての責任も伴います。申請取次行政書士などの専門家に相談しながら進めることを強くお勧めします。
家族滞在のための申請手続きと専門家への相談
高度専門職ビザを持つ方が家族を日本に呼び寄せ、共に滞在するためには、適切な在留資格の申請手続きが必要です。海外にいる家族を呼び寄せる場合、通常は日本国内の出入国在留管理局で「在留資格認定証明書(COE: Certificate of Eligibility)」を取得し、それを家族に送付、現地の日本大使館・領事館でビザ申請、という流れになります。申請する在留資格(家族滞在、特定活動33号、特定活動34号、家事使用人)によって、必要書類や審査のポイント、難易度が大きく異なります。特に高度専門職関連の特例措置(親の呼び寄せ、家事使用人帯同など)は条件が複雑なため、正確な情報収集と慎重な準備が不可欠です。
専門家(申請取次書士など)への相談が望ましいケース
高度専門職ビザに関連する家族滞在の申請は一般的なケースであっても書類準備が煩雑な上、特に特例措置を利用する場合は条件の解釈や立証が複雑になることがあります。以下のような場合は、在留資格申請を専門とする行政書士などの専門家への相談を積極的に検討することをおすすめします。
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どの在留資格が最適か判断に迷う場合:
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配偶者がフルタイムで働きたいが、「家族滞在+資格外活動」と「特定活動(33号)」のどちらが良いか、メリット・デメリットを具体的に比較したい。
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親の呼び寄せ(特定活動34号)の条件を満たせるか微妙で、専門的な見解を聞きたい。
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必要書類の収集・作成に不安がある場合:
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海外で発行される証明書の取得方法がわからない、または時間がかかりそう。
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申請理由書など、審査官に状況を的確に伝えるための書類作成が難しい。
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手続きに時間を割けない、または早く結果を知りたい場合:
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高度専門職としての仕事が多忙で、書類準備や入管への申請手続きに時間を取れない。
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専門家に依頼することで、書類不備による遅延リスクを減らし、スムーズな手続きを期待したい。
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申請に懸念事項がある場合:
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過去にビザ申請で不許可になった経験がある。
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扶養者の収入が安定しない、または転職直後である。
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家族関係の証明が複雑(例:養子縁組、離婚・再婚歴など)。
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親の呼び寄せや家事使用人の帯同など、特に複雑な申請を行う場合:
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条件の立証が難しく、専門的なノウハウが必要とされる。
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申請取次行政書士は最新の入管法や審査の動向を把握しており、個別の状況に応じた最適なアドバイスや、煩雑な書類作成・申請代行を行ってくれます。相談料や依頼費用はかかりますが、時間と労力の節約、そして許可の可能性を高めるための投資と考えることもできます。初回相談は無料や低価格で設定している事務所も多いので、まずは気軽に問い合わせてみるのが良いでしょう。
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