日本での就労を希望する外国人が「高度専門職ビザ」を申請する際、学歴による加点ポイントが重要な役割を果たします。しかし、「自分の学歴が加算対象となるのか」「複数の学歴が重複して加算されるのか」といった疑問を抱える方も多いでしょう。本記事では、法務省や出入国在留管理庁の最新情報を基に、高度専門職ビザのポイント制度や加点対象大学について詳しく解説します。さらに、企業側が知っておくべき外国人雇用に関する情報も網羅し、専門家に相談すべきケースについても触れます。高度専門職ビザ取得を目指す方や外国人との契約を検討している企業にとって、この記事はガイドとなるでしょう。ぜひ最後までお読みいただき、ポイント制度を活用した円滑なビザ申請を目指してください。
高度専門職ビザとは?その魅力と仕組み
高度専門職ビザは、日本で高度な知識や技術を持つ外国人材を受け入れるために設けられた特別な在留資格です。このビザは、ポイント制による評価で一定基準を満たした外国人に付与されます。取得者には以下のような魅力的な優遇措置があります。
-
在留期間が「5年」または無期限(高度専門職2号の場合)
-
配偶者の就労許可や親・家事使用人の帯同
-
永住許可要件の緩和
これらの特典により、高度専門職ビザは日本で長期的に働きたい外国人材にとって非常に有利な制度です。
高度専門職ビザの概要と特典
高度専門職ビザには「1号」と「2号」の2種類があります。「1号」は特定分野で活動する外国人材向けで、5年間の在留期間が付与されます。一方、「2号」は「1号」で3年以上活動した方が対象で、在留期間が無期限となります。さらに配偶者や、条件はありますが親も帯同可能であり、家族全体で日本で生活することが可能です。また、永住許可要件が緩和されるため、日本でのキャリア形成や生活基盤構築が容易になります。これらの特典は、日本国内で安定した就労環境を求める外国人材に大きな魅力として映ります。
ポイント制度の基本構造
高度専門職ビザのポイント制度は、申請者の能力や実績を客観的に評価するシステムです。70点以上のポイントを獲得することで高度専門職ビザの取得資格が得られます。評価項目は主に以下の5つに分類されます:
-
学歴(最大30点)
-
博士号:30点
-
修士号:20点
-
学士号:10点
-
-
職歴(最大25点)
-
10年以上:25点
-
7年以上10年未満:20点
-
5年以上7年未満:15点
-
3年以上5年未満:10点
-
-
年収(最大40点)
-
1,000万円以上:40点
-
900万円以上1,000万円未満:35点
-
800万円以上900万円未満:30点
-
以下、段階的に減少
-
-
年齢(最大15点)
-
30歳未満:15点
-
30歳以上35歳未満:10点
-
35歳以上40歳未満:5点
-
-
特別加算項目(最大25点)
-
加点対象大学卒業:10点
-
日本語能力:10〜15点
-
イノベーション実績:10点
-
これらの項目を組み合わせて総合的に評価され、70点以上で高度専門職ビザの申請資格を得られます。詳細は出入国在留管理庁のポイント計算表で確認できます。
学歴ポイントとは?加点対象大学の条件
学歴ポイントは、高度専門職ビザ申請時に重要な評価項目です。大学卒業者には基本ポイントが付与され、さらに特定条件を満たす場合には特別加算ポイントが追加されます。例えば、日本国内外の加点対象大学を卒業している場合、10点が加算されます。これらの条件は法務省によって規定されており、世界大学ランキングやスーパーグローバル大学創成支援事業校などが基準となります。
学歴ポイント計算方法
学歴ポイントは以下のように計算されます:
-
基本ポイント: 学士(10点)、修士(20点)、博士(30点)
-
特別加算: 加点対象大学卒業(10点)
例えば、日本国内のスーパーグローバル大学卒業者は基本ポイントに加え、特別加算として10点が付与されます。また、日本語能力試験N1合格者も追加ポイントを得られるため、高度専門職ビザ取得に近づくことができます。
加点対象大学の基準
加点対象大学は以下の基準で選定されています:
-
世界大学ランキング上位300校(QSランキングなど)
-
日本国内ではスーパーグローバル大学創成支援事業校
具体的には東京大学や京都大学など、日本国内外で認知度の高い大学が含まれています。このリストは法務省によって随時更新されているため、最新情報を確認することが重要です。
加点対象大学リストとその特徴
法務省による最新リストでは、日本国内外から多くの大学が加点対象として認定されています。例えば、東京大学や慶應義塾大学など日本国内トップ校だけでなく、海外ではハーバード大学やオックスフォード大学なども含まれています。これらの大学卒業者は、高度専門職ビザ申請時に有利な特典を受けることができます。
日本国内の加点対象大学一覧
日本国内では約100校以上が加点対象となっています。その中には以下のような主要校があります:
大学名 | 特徴 |
---|---|
東京大学 | 世界的評価が高い研究機関 |
京都大学 | スーパーグローバル大学 |
慶應義塾大学 | 国際的ネットワーク |
これら以外にも地方国公立大学や医科系大学も含まれており、多様な選択肢があります。
世界ランキングに基づく外国大学一覧
高度専門職ビザの学歴加点ポイントにおいて、外国大学の卒業者が対象となる場合、世界大学ランキングに基づく評価が重要です。具体的には、QS世界大学ランキング、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)ランキング、上海ランキングのいずれかで上位300位以内にランクインしている大学が加点対象となります。この制度は、日本政府が優秀な人材を積極的に受け入れるために設けられたものであり、対象となる大学のリストは毎年更新されます。つまり毎年ランキングを確認して加算が受けられるかどうかを確認していくことが望ましいというわけです。
以下は、主要な加点対象外国大学の一部を地域別にまとめた表です。
主要な加点対象外国大学一覧
国・地域名 | 大学名 (英語) | 大学名 (日本語) |
---|---|---|
アメリカ | Harvard University | ハーバード大学 |
アメリカ | Massachusetts Institute of Technology (MIT) | マサチューセッツ工科大学 |
イギリス | University of Oxford | オックスフォード大学 |
イギリス | University of Cambridge | ケンブリッジ大学 |
カナダ | University of Toronto | トロント大学 |
スウェーデン | KTH Royal Institute of Technology | スウェーデン王立工科大学 |
オーストラリア | Australian National University | オーストラリア国立大学 |
ドイツ | LMU München | ミュンヘン大学 |
中国 | Tsinghua University | 清華大学 |
中国 | Peking University | 北京大学 |
これらの大学を卒業している場合、高度専門職ビザ申請時に10点の特別加算を受けることができます。ただし、最新情報は法務省や出入国在留管理庁の公式サイトで確認する必要があります。
高度専門職ビザ申請時の注意点
高度専門職ビザ申請では、学歴を含めポイントを正確に計算することが重要です。不正確な申請や書類不備は審査遅延や不許可の原因となるため、注意が必要です。また、ポイント計算には複数の条件が絡むため、慎重に対処することをおすすめします。
主要な必要書類と証明方法
高度専門職ビザ申請時には以下の書類等が必要です:
-
卒業証明書・学位証明書:加点対象大学卒業を証明するもの。
-
対象大学であることを疎明する資料:法務省ホームページ写しの該当部分等。
-
在職証明書:雇用先企業から発行されるもの。
これらの書類は原本または認証済みコピーを提出する必要があります。また、日本語以外で発行された書類には公式な翻訳文も添付する必要があります。
重複加算防止と正確な申請方法
高度専門職ビザでは、複数の学歴や資格による重複加算は認められていません。そのため、自分の条件に基づいて正確にポイントを計算し、不必要な書類提出や誤解を避けることが重要です。また、法改正や最新情報にも注意し、不明点がある場合は入管に問い合わせたり、申請取次行政書士など専門家に相談することでスムーズな申請手続きが可能になります。
外国人就労者と企業が知っておきたい情報
高度専門職ビザは外国人就労者だけでなく、雇用する企業側にとっても大きなメリットがあります。このビザを持つ外国人材は高度な専門性を持ち、企業の国際競争力向上に貢献できます。また、在留期間が長く設定されているため、長期的な人材育成や事業計画が立てやすくなります。企業側は高度専門職ビザ取得をサポートすることで、優秀な人材の確保と定着に繋げることができるでしょう。
外国人が高度専門職ビザを取得するメリット
高度専門職ビザを取得する外国人にとっての主なメリットは以下の通りです:
-
長期的な就労計画が可能
-
5年間の長期在留期間が認められる
-
高度専門職2号へ移行すれば無期限の在留が可能
-
-
家族の帯同が容易
-
配偶者の就労制限が緩和される
-
一定条件下で親の帯同や家事使用人の雇用が認められる
-
-
キャリア形成の自由度が高い
-
複数の事業所での就労が可能
-
本来の活動を妨げない範囲で副業も認められうる
-
-
永住権取得への近道
-
通常10年必要な永住権取得要件が3年に短縮
-
高度専門職1号(80点)で1年以上活動した場合は、最短で永住権申請が可能
-
これらの特典により、日本でのキャリア形成と生活基盤の構築が容易になり、長期的な視点での就労が可能となります。
まとめ
本記事では、高度専門職ビザ取得における学歴ポイント制度と加点対象となる外国・国内の主要大学について詳しく解説しました。最新情報を確認しながら適切な準備を進めれば、高度専門職ビザ取得への道が開けます。不安や疑問がある場合は、ぜひ専門家へ相談し、安全かつ効率的な申請手続きを目指してください。
コメント