配偶者ビザと再入国(一時帰国)
配偶者ビザと再入国(一時帰国)
無事配偶者ビザを取得して日本で暮らしていても、一時的に本国に帰国する必要がある、あるいは事情があって本国と往復する必要があったり、しばらく夫婦で海外で生活する必要がある、といったことはよくあることです。
それでは一旦帰国するとなると、せっかく取得した配偶者ビザはどうなるのでしょうか。
原則として、外国人が日本を出国すると在留資格(ビザ)は消滅するとされています。
しかしこうして出国するたびに在留資格(ビザ)を取り直さないといけないとするのは現実的ではありません。
そこで「再入国許可」という制度があります。というかこの制度を利用するのが基本といえます。
ちなみに日本人ですと、日本に帰ってくることは「帰国」になりますが、外国人の場合は「再入国」となります。
配偶者ビザの在留期間が6カ月、1年、3年、5年であることは「配偶者ビザの在留期間」で説明しましたが、事前に再入国許可を得ておいたうえできちんと再入国許可の範囲内かつ在留期間が満了になる前に日本に再入国すれば配偶者ビザを失うことはありません。
「一時的に出国するだけなのに、いちいち許可を取らないといけないのか・・・」と思う方が多いのではと思われますし、既に生活の本拠を日本においている方からすると、なぜごく短期の出国ですらそんな手続きを行う必要があるのかというところでしょう。
しかし再入国であっても日本に入るためには原則としてビザ(査証)が必要とされるところ、再入国許可を取得していればそれが免除され、在留資格の内容についても出国前の内容が維持されますので仕方がないところです。
もし再入国許可を取らずに出国すると、例え配偶者ビザから永住ビザになっていたとしても在留資格を失うことになり、日本に入国するにはまたビザを取り直す・・・ということになってしまいます。
ただ手続き的に面倒であり、簡略化を求める声が大きかったことも事実で、平成24年の改正法から短期間の出国について「みなし再入国許可」という制度が出来ました。
もうじき海外旅行に行くんだっけ?楽しそうだね。
そうなの。今から楽しみで♪
でも旦那さん、外国人でしょ?手続き面倒なんじゃないの?
それが今は簡単な制度があるみたいなのよ。
再入国許可とみなし再入国許可
現在再入国許可に関する手続きは、従来通りの「再入国許可」と「みなし再入国許可」の二通りの方法があります。
それではまず、従来からの「再入国許可」から説明します。
「再入国許可」
再入国許可の対象者
在留資格を持つ外国人で、在留期間内(在留期間の定めのない者にあっては,我が国に在留し得る期間)に日本国外へ一時的に出国するが、再び入国する意図をもっている方が対象ですが、みなし再入国許可制度ができたことにより、実質的には1年以上の出国予定がある外国人の方が対象となっているといえます。
1年以上の出国予定がある場合はこちらの従来からある制度を利用して「再入国許可」を取得しておく必要があります。
再入国許可には1回限り有効のもの(Single)と、有効期限内であれば何度でも出入国できる数次有効のもの(Multiple)の2種類があります。
再入国許可の有効期間
再入国許可の有効期間(海外に滞在できる期間)は、最長5年(特別永住者は6年)までとされています。
ただし、現在の在留期間の範囲内になりますので在留期間が3年の方はそれが限度、ということになります。
また、在留期間の残りが少なくなっていて、その期間内に再入国できない場合はどうするかというと、先に在留資格更新許可申請を行なってから再入国許可を申請する、ということになります。
有効期間の延長
再入国許可を取得して出国した外国人が出国先で病気、天災等やむをえない事情で有効期間内に日本へ再入国できない場合には、出国先の在外公館(日本大使館や総領事館)で有効期間を延長することができます。
延長できる期間は、1年を超えず、かつその再入国許可が効力を生じた日から6年(特別永住者の場合は7年)を超えない範囲とされています。ただし、当然のことながら在留資格の期限を超えた延長はできません。
再入国許可の申請方法
申請場所
申請人の居住地を管轄する地方入国管理局・支局・出張所
申請できる人
- 本人
- 地方入国管理局長から申請取次の承認を受けている勤務先の職員
- 行政書士などの有資格者
- 法定代理人
- 本人の親族又は同居者若しくはこれに準ずる者で地方入国管理局長が適当と認めるもの
必要書類
- 再入国許可申請書
- 旅券(パスポート)、在留カードの提示
手数料
申請手数料は以下のとおりです。
- Single 3,000円
- Multiple 6,000円
申請期間
申請日当日に許可が出ます。
「みなし再入国許可」
みなし再入国許可の対象者
みなし再入国許可の対象となるのは、在留資格をもって在留する外国人の方で有効な旅券を所持している方のうち,「3月」以下の在留期間を決定された方及び「短期滞在」の在留資格をもって在留する方以外の方です。
要するに日本に住民票のある外国人の方はほぼ対象になっている(一部例外があることに注意)ということです。
みなし再入国許可の有効期間
みなし再入国許可の有効期間は、出国した日から1年 (その方の在留期間が1年に満たない場合は、在留期間の満了の日まで)となります。
みなし再入国許可の有効期間の延長
みなし再入国許可の有効期間の延長は、一切認められません。
これはどのような理由があろうと例外はありません。
ここが通常の再入国許可との最大の違いです。
みなし再入国許可で1年以上再入国できない場合は例外なく在留資格・ビザの申請をやり直さなければならないということです。
みなし再入国許可の申請方法
みなし再入国許可の申請方法は極めて簡単です。
日本から出国する際、空港や港で提出する「再入国出国記録(EDカード)」という紙の
- 出国予定が1年以内である
- 一時的な出国であり、再入国する予定である
の二つにチェックを入れ、署名すればいいだけです。
申請の簡単さにおいては再入国許可と比較にならないレベルです。
再入国許可とみなし再入国許可をどう使い分けるべきか
みなし再入国許可は利用者にとっても行政にとっても簡便さを追求したような制度です。利用がしやすく無料であることと引き換えに、行政に対し救済を求めることもできません。
一方再入国許可は面倒で費用も掛かりますが、万が一の場合には延長も可能であるところに安心感があります。
過去みなし再入国許可で出国した方の失敗で結構聞くのが、本国に数カ月の予定で里帰りしたが、自分ないし親族のけがや病気で再入国できないまま1年を経過してしまったというものです。
このようなことから短期の海外旅行や里帰り、あるいは1、2カ月程度の海外出張であるならば簡便なみなし再入国許可を利用し、ある程度長期にわたり、1年で再入国できるかに何らかのリスクを感じる時は再入国許可を申請しておくのが望ましいと思われます。
投稿者プロフィール
- 京都市上京区で申請取次行政書士をしています。
在留資格の情報を中心に、配偶者ビザ申請に役立つ情報の提供をしています。
よろしくお願いします。
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