在留特別許可について

在留特別許可

前回は国際結婚した相手が上陸拒否に該当していた場合について説明しましたが、今回はすでに日本にいるけれど、退去強制事由に該当してしまっていわゆる強制送還されそうな場合にどうするか、になります。

在留特別許可とは

在留特別許可とは入管法24条各号で規定されている退去強制事由に該当する外国人について、在留を特別に許可すべき事情があると法務大臣が認めた場合に日本での在留を認める制度です。
「法務大臣が例外的に認めた場合に」であり、法務大臣の自由裁量によって与えられるものです。

なお、在留特別許可申請という名前の申請があるわけではなく、退去強制手続きの中で行うものです。

ではまず、国際結婚している相手がどのような場合に入管法24条各号で規定されている退去強制事由に該当してしまうのかを簡単に説明しておきます。

このうち国際結婚した方と実際に関係する可能性がある程度考えられるであろう事由について説明していきます。

おさえておくべき退去強制事由該当例

在留資格の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に在留するもの、に該当する場合です。いわゆるオーバーステイですね。

いろいろパターンはありますが、やはり単純に更新をし忘れてなんとなく「まあいいか、結婚してるんだし…」とそのまま過ごしていってしまった…などということも意外とあるようです。

このパターンには配偶者ビザ取得後に更新を忘れるケースもありますし、結婚前から就労ビザなどで既に日本に在留していて結婚した後もそのまま就労ビザから変更せず、更新し忘れたり退職したりしてそもそも更新できないにもかかわらず配偶者ビザに変更しないで放置しているような場合も考えられます。

特殊な例ですと、短期滞在で来日してからかなりの長期間オーバーステイしていた、などというものもあるようです。
(この場合基本的に法律婚は考えにくいので内縁等の事実婚であると思われます)

今後増える可能性のある退去強制事由

在留資格を取り消された場合です。在留資格取り消し制度についてはここでは詳しい説明は省きますが、今後はこのケースも増えるかも知れません。

CAUTION

例外的だとは思いますが、本国の親族や知人に頼みこまれて不法入国ほう助等の入管法違反に関わったりするケースもあるかもしれません。

在留特別許可のガイドライン

在留特別許可の判断基準について、法務省がガイドラインを掲載しています。

気になる方はまずはここをチェックしてください。

在留特別許可を得るためには

在留特別許可は前述の通りそのような名前の申請があるわけではなく退去強制手続きの中で行うものであり、なんといっても上記ガイドラインはあるとはいえ法務大臣の自由裁量で決定されるものですので、どうすれば良いかはなかなかわかるものではありません。

ただ、ガイドラインの存在によって以前よりは確実に方向性はわかりやすくなりました。

基本的にはガイドラインに沿って対応することが重要ですが、結局のところ在留特別許可は法務大臣の自由裁量という総合判断ですのでどの要素がどの程度影響するかはわかりません。

ガイドライン中の消極的な要素が存在している場合はそのことの一事をもって諦めてしまうのではなく、なにかフォロー出来るところはないかを検討する方がよいと思われます。

ガイドラインについておさえておきたいこと

上記の通り、具体的に「こうすべき」というものは存在しないものの、ガイドラインからある程度のことは推察することができます。
そこでガイドラインに沿う基本的な方向性についておさえておきましょう。

「出頭申告」であることの重要性

改訂版のガイドラインにおいて、自ら出頭して不法滞在であることを申告する「出頭申告」が積極要素であることが明記されました。

ガイドライン記載前から自ら出頭申告した場合に比較して、入管当局や警察による摘発を受けた場合は在留特別許可についてかなり厳しいものになるようであることは認識が共有されていたといってもよいでしょう。

自ら正直に申告し、事情を話して在留継続を求めるのならばある程度考慮するけれど、「バレなければ・・・」と考えていていざ摘発を受けたら「在留させてくれ」では考慮する気があまり起きないよ、といったところでしょうか。
(もちろん実際の不法滞在の状況はそんな簡単に区分できるものではありませんが・・・)

また、法務省の出頭申告のページには「出頭申告した場合には,仮放免の許可により,収容することなく手続を進めることが可能です。」と記載されています。
仮放免は刑事手続きにおける保釈の入管版のような感じですが、収容されているのといないのとでは当然ながら全く違います。もちろん出頭申告した場合には必ず仮放免の許可がなされるわけではないにせよ、可能性があることはとても重要です。

CAUTION

出頭申告した場合以外には仮放免の許可は認められないことには法律上なっていないのですが、実務上の運用ではほぼ出頭申告した場合以外には仮放免の許可は認められていないようです。

過去の許可の内訳を見ても、やはり出頭申告の方が数が多いことがわかります。
ただ、当局の摘発や警察による逮捕の場合であっても許可例がないわけではありません。

婚姻の内容、生活面については

ガイドラインによれば、「日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合」が積極的な要素となるとあります。
ただ、日本人(特別永住者)との婚姻さえ成立していればいい、というほど簡単な話ではありません。

配偶者ビザ取得の時も偽装婚と疑われないように丁寧な申請をする必要がありましたが、ここではそれ以上に厳しいものになります。なぜなら在留特別許可を得るためのかけこみの偽装婚はかなり多いと考えられているからです。

この点、すでに法律婚が成立していて配偶者ビザや永住者として生活していた場合はいわゆる「かけこみ婚」の場合ほど厳しくはないものの、在留特別許可が認められるには婚姻の実体面が重視され、婚姻期間が短い場合や同居期間が短いあるいは同居できていない場合には審査に消極的に働くことも考えられます。

いずれにせよ「この夫婦の日本での生活を保護すべきか否か」という視点での審査でもあることは常に考慮しておく必要があるでしょう。

POINT

法律婚でない内縁関係の場合に在留特別許可がなされる場合も皆無ではありません(その場合、法律婚ではなく配偶者ビザの要件を満たしていないため、定住者の在留資格が付与されます)が、非常に稀といえるでしょう。

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投稿者プロフィール

勝見 功一
勝見 功一申請取次行政書士
京都市上京区で申請取次行政書士をしています。
在留資格の情報を中心に、配偶者ビザ申請に役立つ情報の提供をしています。
よろしくお願いします。

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