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【2025年最新】経営管理ビザの会社設立|「発起人」と「設立時取締役」の違いを徹底解説

就労ビザ

経営管理ビザで会社を設立する際、多くの外国人起業家にとってわかりにくいのが「発起人(ほっきにん)」と「設立時取締役」の違いです。

この二つはいずれも会社設立時に登場しますが、役割・責任・登記の扱いは全く異なります。この違いを正しく理解していないと、資本金の払込で手続が止まったり、ビザ審査で経営への関与を十分に説明できなかったりと、時間とコストを無駄にしかねません。

このガイドでは会社法と経営管理ビザ審査の両方の視点から、両者の違いと、ビザ取得を成功させるための実務ポイントを分かりやすく解説します。


1.【役割・責任】発起人と設立時取締役の違い

まずは、それぞれの役割を明確に区別しましょう。


発起人 (Promoter) 設立時取締役 (Director at Incorporation)
役割 会社設立の企画者・仕掛け人
・定款の作成・認証
・資本金の出資と払込手続きの主宰
会社設立後の経営責任者
・事業の運営・業務執行
・法令遵守と経営判断の責任を負う
タイミング 会社設立のプロセスで活動 会社設立と同時に就任し、設立後から活動
役員就任 設立後に役員になる必要はない 必ず役員(取締役)として就任する
ポイント: 発起人は「設立のプロデューサー」、設立時取締役は「設立後のプレイヤー」と考えると分かりやすいです。同一人物が兼任することも可能ですが、役割は明確に異なります。ただし、経営管理ビザの申請の多くは申請者は「発起人」であり、「設立時代表取締役」でもあると考えておくとよいでしょう。なぜなら経営管理ビザの要件として、「出資(設立のプロデューサー)」と「実質的な経営者であること」の両方が必要だからです。

2.【登記・公開情報】誰の名前が登記簿に残るのか

発起人 設立時取締役(及び代表取締役)
定款への記載 ✅ 記載される 定款で選任することは可能
登記簿への記載 記載されない(原則) ✅ 記載される(公開情報)

重要設立時取締役の氏名と住所は、会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に記載され、誰でも閲覧できる公開情報となります。 将来のプライバシーや対外的な信用に関わるため、誰を取締役にするかは慎重に決定する必要があります。ただし、2024年10月1日から始まった「代表取締役等住所非表示措置」を利用することで登記簿に記載される住所は市区町村までとすることも可能になっています。


3.【手続きの簡略化】役員の選任と就任承諾の実務

設立時取締役の選任と就任承諾には、手続きを効率化できる重要なポイントがあります。


選任方法

設立時取締役は、以下のいずれかの方法で選任します。


  1. 発起人の決議による選任: 発起人が議決権の過半数で選任する一般的な方法。

  2. 定款による選任: 定款そのものに、設立時取締役となる人物を直接記載する方法。

就任承諾書の省略【重要】

原則として、取締役に就任する際は「就任承諾書」の提出が必要です。しかし、以下の条件を満たす場合、就任承諾書を省略できます。


  • 条件:


    1. 設立時取締役を定款で選任しており、

    2. その設立時取締役が発起人でもある場合。

この場合、発起人として定款に記名押印(または電子署名)した時点で、設立時取締役への就任を承諾したものとみなされ、別途「就任承諾書」を用意する必要がなくなります。


4.【資本金払込】誰の口座が使える?委任状は必要?

会社設立には、定款認証後に資本金を払い込む必要がありますが、この手続きには厳格なルールがあります。


原則:発起人の日本国内口座へ

資本金の払込先は、原則として発起人個人の日本国内の銀行口座です。海外の銀行口座への払込は認められません。


実務上の対応:発起人が国内口座を持たない場合

海外在住の発起人が日本の銀行口座を持っていない場合、実務上、設立時取締役の日本国内の個人口座を払込先として利用することが認められています。


必須書類:「委任状」

発起人以外の口座(設立時取締役の口座など)を利用する場合、「発起人が、資本金の受領権限を口座名義人(設立時取締役)に委任した」ことを証明する『委任状』の提出が登記申請時に必須となります。


この方法が認められるまでは日本在住の協力者の口座を利用するにはわずかな金額であっても協力者自身が出資し、発起人の一人となる必要がありました。そのため協力者となるには日本人か在留資格上出資行為を行っても問題ないと言える永住者や日本人の配偶者、定住者などが望ましいとされていました。

5.【経営管理ビザの視点】役割設計と審査のポイント

経営管理ビザの審査では、申請者が「事業の経営又は管理に実質的に従事している」ことが最も重要です。


  • 経営への関与を証明する: 申請者本人が「設立時取締役(特に代表取締役)」に就任することで、経営への主体的・継続的な関与を最も明確に示すことができます。

  • 違法な「名義借り」※は厳禁: 実質的な経営に関与しない人物を取締役にする「名義借り」は、事業の実態がないと見なされ、不許可の大きな原因となります。

  • 更新時の「活動説明書」との整合性: 2025年7月以降、ビザ更新時には「直近の活動説明書」の提出が必須となりました。設立時に定めた役員の役割と、更新時に説明する実際の経営活動(意思決定、資金繰りなど)に一貫性があることが求められます。

事業の実態がないにもかかわらず、あたかも運営されているかのように見せかけるための名義借りは違法ですが、いわゆる経営管理ビザの協力者の会社設立という正規の手続きを法規に則って進めるための便宜的な取締役就任(ちゃんとその旨を入管にも理由書などで説明することが重要です)は違法な名義借りとは異なることに注意が必要です。

6. よくある誤解と正しい知識(Q&A)

Q1. 発起人になれば、必ず取締役にもならないといけませんか?
A1. いいえ、必須ではありません。発起人としての役割を果たせば、設立後の役員にはならなくても問題ありません。ただし経営管理ビザ取得では経営者である必要があるため、取締役となる必要があります。この点、会社法上の話とビザ申請上の話をわけないとわかりにくいと思われます。

Q2. 就任承諾書は、必ず必要ですか?
A2. 原則として必要ですが、例外があります。設立時取締役を定款で選任し、その人が発起人でもある場合は、就任承諾書を省略できます。

Q3. 資本金は、必ず代表取締役になる人の口座に入れないといけませんか?
A3. いいえ。原則は「発起人」の口座です。もし発起人が日本に口座を持っていない場合は、発起人からの委任状があれば、設立時取締役の口座を利用できます。


まとめ:役割設計と証拠の整合性が成功のカギ

「発起人」と「設立時取締役」の違いは、単なる言葉の違いではなく、資本金の払込、登記、そして経営管理ビザの審査まで、会社設立の全てのプロセスに影響します。
払込、登記、公開情報、ビザ審査の説明責任まで直結する「骨格」です。最初に役割と証憑の整合を設計しておけば、設立・登記はもちろん、経営管理ビザの新規・更新もスムーズに進みます。迷う点があれば、個別の事情(在留状況・資金フロー・人選・事業実体)に合わせて最適なスキームを設計しましょう。

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この記事を書いた行政書士は
勝見 功一

はじめまして。京都市上京区でビザ申請手続きのお手伝いをさせていただいております申請取次行政書士の勝見です。
まだまだ若輩者ですが、持ち前のフットワークの良さを活かして迅速かつ誠実に対応させていただきます。初回の相談は無料ですのでまずはお気軽にお問い合わせ下さい。
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