2025年、新聞報道をきっかけに「経営管理ビザの資本金要件が3,000万円に引き上げられるかもしれない」という話題が広がり、既にビザを持つ経営者の間にも「自分も資本金を増額しなければ更新が通らなくなるのでは?」という不安が高まっています。
しかし、法務省・出入国在留管理庁の公式見解に基づけば、現時点で既存の経営管理ビザ所持者に“資本金増額”などの追加義務が課される可能性はきわめて低いのが現実です。一方で、2025年7月17日以降は更新申請に新たな説明資料が必要となるなど、必要書類や審査の厳格化傾向には注意が必要です。
「正しく恐れて、安心できる準備を」――本記事では、混乱しやすい”改正の影響”と、本当に注意すべき最新ルール、公式ガイドラインに沿った対応策をやさしく解説します。
➡️ 経営管理ビザの資本金要件引き上げ検討そのものについて知りたい方はこちら:[経営管理ビザの資本金要件、引き上げ検討へ|制度改正の背景と今後の対策を徹底解説を詳しく見る]資本金3,000万円案の“実際の影響”と法的運用上のポイント
資本金3,000万円案とは?今何が話題になっているのか
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2025年夏に一部報道や官公庁説明会で「経営管理ビザの資本金基準を3,000万円に引き上げる案」が報じられました。
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既存のビザ所持者の多くに「自分もすぐ資本金増額が必要?」「今後の更新で不許可になるのでは?」という不安が高まっています。
既存所持者への“遡及適用”は基本的にないと考えられる
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たとえ制度改正があっても、“新規申請者”への適用が原則と考えられ、すでに経営管理ビザで在留する経営者には適用はないと考えられています。
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こういった改正等があっても既に適法にビザを所持している方へ、「資本金の増額」などを一律義務化する例は極めて稀であるといえます。
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入管法改正の前例でも「既存許可者は従前どおり」とされたケースがほとんどであり、急な増資を求められること・突然取消や不許可になることは現実的ではありません。
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まだ議論の俎上に乗っただけなので当然ですが、法務省や出入国在留管理庁公式も、現時点で“既存ビザ保持者の更新条件として資本金増額を求める可能性がある”とは示していません。
2025年7月17日以降に本当に注意すべき「更新時新ルール」とは
「直近の経営・管理活動説明書」提出が必須に
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2025年7月17日から経営管理ビザの更新時に「直近の在留期間における事業内容・経営または管理活動の説明書」の提出が新たに義務化されました。
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これはビザ更新審査の厳格化の一環とも言え、事業の実体性・継続性を文章で説明する資料が必要になります。
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内容は「実際の業績・取引先・経営活動の流れ・主要な変更点・今後の事業計画」等を具体的に記載することが求められています。プチ事業計画書ないし事業報告書のようなイメージでしょうか。
審査の厳格化=“虚偽・実体のない事業”には注意
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今後は必要書類や説明責任がさらに増える可能性があり、事業の実体証明、経営や管理への深い関与が重視されます。
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「形だけの会社」や「基準未満の経営実績」は、審査で問題視される可能性が高くなっています。
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審査通過のためには、日々の実績を記録し、説明責任を果たせる資料整理が何より大切です。
よくある不安・疑問への明快な回答(Q&A)
Q. 今すぐ資本金3,000万円に増やさないと更新できなくなる?
A. おそらく必要ないと思われます。過去の例や法の一般原則からすると、必要となる可能性は極めて低いと考えるのが一般的です。
Q. 更新のために何を準備すればよい?
A. 2025年7月17日以降は“直近の在留期間における経営・管理活動説明書”の提出が必要です。日々の取引、事業の成果、今後の計画を具体的に記録する習慣づけが有効です。
Q. ますます厳しくなりそうな制度に不安がある…
A. 必要以上に心配する必要はありませんが、今後の省庁公式ガイドラインや発表には必ず目を通し、変更点には柔軟に対応しましょう。
まとめ
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資本金3,000万円案は既存の経営管理ビザ保持者に遡及適用される可能性は基本的にないと思われます。
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ビザ更新時には「直近の事業活動説明書」提出など、新ルールへの対応が求められます。
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不安な点・個別具体的な準備に迷う場合は、信頼できる申請取次行政書士などの専門家に早めに相談しましょう。
今後も入管庁・法務省の最新ガイドライン等を確認しながら、日本でのビジネスに安心して取り組めるよう情報発信を続けていきますのでぜひチェックしてください。
よもやま話:経営管理ビザ資本金改正案の“誕生背景”と“現実のバランス”
なぜ「3,000万円案」が出てきたのか?社会的背景と行政の狙い
2025年に浮上した経営管理ビザの資本金3,000万円案には、主に二つの背景があります。
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制度の信頼性向上と不正対策
近年、一部ながら実体のない会社設立や形式上の投資を利用した“偽装起業”によるビザ取得事例が報告されています。法務省や出入国在留管理庁はこうした事例への対応として、「資本金基準の引き上げ=ある程度の事業規模や資本力を求める」ことで、悪用リスクを抑えたいという意向があるようです。
また、経済安全保障や国際的信用維持の観点、現場審査官・一部有識者の「基準強化」要望も背景にあります。 -
「不正」を過度に強調する世論圧力も
一方で、実態としてはこのような“偽装”や不正取得事例は全体から見れば圧倒的に少数であるといわれています。多くの外国人起業家は真面目に事業に取り組んでおり、行政による公式の不正摘発数も限定的であり、事実よりも不安が先行し、結果的に行政側も厳格化に踏み切りやすくなる面は否定できない部分もあると言われています。
今後の議論の行方と制度のあり方
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官公庁としては不正防止と制度信頼の回復が主眼ですが、業界・識者・市民からは「起業のハードル上昇」「優秀な外国人が日本を敬遠するリスク」への懸念も出ています。
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実際の法改正にはパブリックコメントや業界ヒアリングを経て、“不正対策”と“まじめな起業家の機会確保”のバランスの良い着地点が模索される見通しです。
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万一改正・強化が行なわれても「既存ビザ保持者の保護」「過度に高い壁を設けない運用」が強く求められていくと思われます。
まとめ:「データに基づいた冷静な議論」と「公正な機会」がカギ
結局、経営管理ビザ制度の将来像にとって一番大事なのは、“現実”と“事実”を踏まえたバランス感覚を持つことと言われています。
不正なビザ取得は厳格に防ぐべきですが、その一方で起業・事業展開に意欲ある外国人が日本で夢を叶えやすい、“公平なチャンス”や受け入れ基盤を守ることも同じように日本の発展に重要と考えられるからです。
➡️ 経営管理ビザの会社設立について知りたい方はこちら:[経営管理ビザの会社設立完全ガイドを詳しく見る]
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