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配偶者ビザと別居:申請・更新の完全ガイド2024

配偶者ビザと別居 配偶者(結婚)ビザ


国際結婚カップルの生活形態は多様化しており、仕事や介護、教育など、様々な理由で別居を選択するケースが増えています。しかし、配偶者ビザの申請や更新において別居状態にあることは慎重な対応が必要な状況です。本記事では別居状態での配偶者ビザ申請・更新について、必要な準備から具体的な対応方法まで、実践的な情報をお伝えします。なお、配偶者ビザ申請の全体像についてはこちらをご覧ください。

配偶者ビザと別居の基本的理解

配偶者ビザ(正式名称:日本人の配偶者等)は、日本人と婚姻関係にある外国人に与えられる在留資格です。民法752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められており、入国管理局の審査要領でも「社会通念上の夫婦の共同生活を営むためには、特別な理由がない限り、同居して生活していることを要する」とされています。

法的根拠と実務上の取り扱いの変化

在留資格「日本人の配偶者等」の審査において、同居の有無は重要な判断要素の一つとされています。しかし、近年の判例では同居の有無は実態をの実態を判断する一要素に過ぎないとの見方が示されています。例えば京都地裁平成27年の判決では、「婚姻概念が多様化している今日、同居のみを特別扱いするのは相当ではない」との判断が示されました。
この判例などのポイントは、同居は婚姻関係の実態を判断する一要素に過ぎないため、たとえ同居していなくとも他に婚姻の実態を証明するだけの資料があれば婚姻関係の存在を認めてもいいということです。しかしその資料集めはなかなか簡単ではありません。

在留期間と審査基準

配偶者ビザの在留期間は6ヶ月、1年、3年、5年のいずれかが付与されます。別居状態での申請の場合、特に初回申請や在留期間の短い更新では、より慎重な審査が行われる傾向にあります。ただし、別居に合理的な理由があり、それを適切に証明できればより長期の在留期間が認められることもあります。

別居が認められる主なケースとその根拠

仕事や転勤による別居

最も一般的に認められる別居理由は仕事上の都合です。例えば、配偶者の一方が会社の転勤や海外駐在となるケースです。この場合、以下の要素が重要な判断材料となります:

• 転勤や単身赴任が会社の人事制度として確立していること
• 転勤期間が明確であること
• 定期的な面会や連絡が維持されていること
ただ、単純に会社から転勤の辞令が出ていることを証明するだけでは不十分と言えます。入管からすると、「ならついていけばいいのでは?」となるからです。転勤先で夫婦で生活することが難しい理由を説明することが望ましいと言えます。

学業継続による別居

教育機関での学業継続を理由とする別居も合理的な理由として認められることがあります。特に専門的な技術や知識の習得を目的とする場合、将来的な夫婦生活の基盤形成につながるという観点から、積極的に評価されることがあります。
ただ、これも単純に「学業継続しないといけないから」という説明だけでは不十分な可能性があります。別居して学業を継続する理由を説明することが望ましいと言えます。

出産や病気療養による里帰り、親族の介護などによる別居

体調不良や出産での入院や里帰りによる別居、体調不良の親族などの介護による別居も合理的な理由として認められることがあります。理由とするにあたっては、「診断書」などの証明書類を準備するようにします。
もちろんこの場合についても「なぜわざわざ里帰りして出産する必要があるのか」「他に面倒を見る人はいないのか」などの入管が持つであろう疑問については説明しておくことが望ましいです。

申請手続きと必要書類について

配偶者ビザの申請手続きは、提出書類の準備から審査完了まで通常1〜3ヶ月程度かかります。更新申請では通常2週間~1ヶ月程度かかります。別居状態での申請では通常の必要書類に加えて、別居に関する詳細な説明資料が必要となります。

基本的な必要書類

在留期間更新申請には以下の基本書類が必要です:
申請者(外国人配偶者)の書類 日本人配偶者の書類
• 在留資格更新申請書
• パスポート
• 写真
• 本国の結婚証明書と翻訳文
• 戸籍謄本
• 住民票
• 課税証明書
• 在職証明書
なお、配偶者ビザ更新申請必要書類全体についてはこちらをご覧ください。

別居の場合の追加書類

別居状態での在留期間更新申請では、以下の追加書類が特に重要となります:

• 別居理由を記載した理由書(別居の具体的な理由と経緯を説明)
• 別居を証明する書類(転勤辞令、在学証明書など)
• 日本人配偶者が生活費を支弁しているなど関係継続の証拠(送金記録、通信記録など)

申請を成功させるためのポイント

別居状態での更新申請を成功させるためには、特に以下の点に注意が必要です。まず、別居の理由を隠さず、正直に申告することが重要です。虚偽の申告は発覚した場合不許可となりますし、許可後であれば在留資格の取り消しや最悪の場合も想定されます。

また、住民票上の住所と実際の居住地が異なる場合も事実を隠さず申告する必要があります。実態調査で別居の事実が発覚した場合、虚偽申請として扱われる可能性があります。
ちゃんと理由を説明していれば許可された可能性が高い場合であっても、虚偽の申告を行ったことが発覚した時点で更新は不許可になりますし、最悪の場合日本に当分いられなくなることもありえます。虚偽申告は「バレなきゃなんとかなる」と考えることは絶対にやめておきましょう。

審査のポイントと対策

出入国在留管理庁は、特に以下の点を重視して審査を行います:

1. 別居の合理性:仕事、学業、介護など、社会通念上理解できる理由があるか
2. 婚姻関係の実態:別居中も夫婦としての関係が継続しているか
3. 将来の同居予定:具体的な同居計画があるか、逆に言えば別居はいつまでなのか

よくある質問と回答

別居期間と在留期間について

「別居期間に制限はありますか?」という質問をよく受けます。法律上、明確な期間制限は定められていませんのではっきりどのくらいかは言えませんが、一般的に3ヶ月程度を越えると更新時に明確な説明が必要となり、年以上の長期別居の場合は婚姻関係の実態がないと判断される可能性が高くなり、単身赴任などの合理的な理由とより詳細な説明と証拠の提出が求められるといえます。特に別居の終了時期がわからず将来の同居が不明確な場合は、在留期間が短く設定されたり更新自体が不許可となる傾向もあると言われています。

住民票の取り扱いについて

別居中の住民票の取り扱いも重要な問題です。法律上、実際の居住地に住民票を移すことが義務付けられています。たとえ配偶者ビザの取得や更新に不利になると考えても、虚偽の住所を届け出ることは違法となり、深刻な問題を引き起こす可能性があるので絶対に避けるべきと言えます。ばれないと思っていても意外なところから虚偽はバレるものなのです。

経済的関係の証明について

別居中の経済的な支援関係についても多くの質問が寄せられます。経済的な支援(生活費の仕送りなど)は婚姻関係の継続の有力な証明となるからです。しかし完全な経済的独立状態であってもそれだけを理由に申請が不許可となるわけではありません。ただし何らかの形で経済的な協力関係を示すことができれば、婚姻関係の実態を証明する有力な証拠となるため望ましいとは言えます。

専門家への相談について

相談が推奨されるケース

以下のような場合は、特に行政書士などの専門家への相談をお勧めします:

• 長期の別居が予想される場合
• 過去の申請で不許可となった経験がある場合
• 経済的な問題や他の複雑な事情がある場合
• 将来の同居計画が具体的に立てられない場合

まとめ

配偶者ビザの申請・更新において、別居状態は確かに慎重な対応が必要な状況です。しかし正当な理由があり、それを適切に証明できれば許可を得ることは十分に可能です。重要なのは以下の3点です:

1. 別居の理由を隠さず、正直に申告すること
2. 婚姻関係の実態を具体的な証拠で示すこと
3. 将来の同居計画を明確に説明すること
繰り返しになりますが、くれぐれも虚偽の申告は行わないようにしましょう。虚偽の申告はその申請のみならず、その後の日本在留すべてに悪影響を及ぼす可能性が高いからです。きちんとした申請を行った結果、その申請では思っていたほどの期間の更新ができなかったとしても、その後に悪影響がなければその後の日本在留においてリカバリーは可能だからです。

この記事を書いた行政書士は
勝見 功一

はじめまして。京都市上京区でビザ申請手続きのお手伝いをさせていただいております申請取次行政書士の勝見です。
まだまだ若輩者ですが、持ち前のフットワークの良さを活かして迅速かつ誠実に対応させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせ下さい。

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