日本での永住権取得を目指す外国人にとって、高度人材ポイント制度は大きなチャンスとなります。この制度を利用することで、通常10年必要な永住権申請までの期間を最短1年に短縮できる可能性があります。本記事では、高度人材ポイント制度の仕組みや計算方法、申請手続きについて、最新の制度に基づいて詳しく解説します。なお、永住権申請の概要についてはこちらをご覧ください。
永住権取得におけるポイント計算表の基本
高度人材ポイント制度は、外国人材の受け入れを促進するために2012年に導入された制度です。学歴、職歴、年収などの項目でポイントを計算し、合計70点以上で高度専門職の在留資格が付与されます。この制度により、通常10年必要な永住権申請までの期間を最短1年に短縮できる可能性があります。ポイント計算表については法務省のページを確認してください。高度人材ポイント制とは
高度人材ポイント制は、外国人材の活動内容を「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つに分類し、それぞれの特性に応じて評価を行う制度です。基本的に大学や企業などの団体に所属する形の「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」と、経営者層向けの「高度経営・管理活動」と考えていただくと良いでしょう。
主な評価項目:
– 学歴(最大30点)
– 職歴(最大25点)
– 年収(最大40点)
– 年齢(最大15点)
– 特別加算項目(日本語能力等)
ポイント計算表を見ていただくと、「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」の二つと、「高度経営・管理活動」では同じ評価項目でもポイントが違うことがあるのがわかると思います。今後はその点にも注意して読んでください。
ポイント計算表の見方と使い方
ポイント計算表は、以下の基本項目と特別加算項目で構成されています:基本項目の評価基準:
学歴、職歴、年収、年齢の4つの基本項目があり、それぞれの実績に応じて点数が付与されます。例えば:
– 学歴:博士号30点、修士号20点、学士号10点
– 職歴:10年以上20点、7年以上15点、5年以上10点
– 年収:1,000万円以上40点、800万円以上35点
特別加算項目:
基本項目に加えて、以下のような特別加算が可能です:
– 日本語能力(N1相当:15点、N2相当:10点)
– 日本の大学卒業(10点)
– イノベーション促進支援措置を受けている企業での就労(10-20点)
上で述べたように「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」の二つと「高度経営・管理活動」では同じ項目でもポイントが異なることが多く、「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」の間でも異なる部分や一方にのみ加算項目がある場合も存在するため注意が必要です。
必要なポイント数と在留期間の関係
高度人材ポイント制では、獲得したポイント数に応じて以下のような優遇措置が受けられます:ポイントと優遇措置の関係:
– 70点以上:3年での永住許可申請が可能
– 80点以上:1年での永住許可申請が可能
注意点:申請時点でのポイントだけでなく、過去の一定期間(70点以上の場合は3年間、80点以上の場合は1年間)のポイントも維持している必要があります。
ポイント計算表の評価項目と配点
高度人材ポイント制度では、「学術研究活動」「専門・技術活動」「経営・管理活動」の3分野それぞれについて、学歴、職歴、年収などの項目でポイントを計算します。各項目の配点は活動分野によって異なり、最も重視される項目に高いポイントが配分されています。基本項目の配点:
学歴は博士号で30点、修士号で20点、学士号で10点が付与されます。職歴は10年以上で25点、7年以上で20点、5年以上で15点となります。年収は1,000万円以上で40点から段階的に評価されます。
学歴・研究実績の評価方法
高度人材ポイント制における学歴・研究実績の評価は、以下のように行われます:学歴の評価:博士号取得で30点、修士号で20点、学士号で10点が付与されます。日本の大学だけでなく海外の大学でもポイントは獲得できますが、日本の大学で学位を取得した場合は、追加で10点が加算されます。
博士号取得で30点獲得できるのは「学術研究活動」「専門・技術活動」の場合であり、「経営・管理活動」では20点しか獲得できません。ただ、日本の大学で学位を取得した場合の追加10点や複数分野の博士・修士を持っている場合の追加5点「経営・管理活動」でも獲得できます。また、MBAやMOTを有している場合は「専門・技術活動」「経営・管理活動」で追加5点獲得できます。「学術研究活動」のみその加点が存在しないのは経済活動を目的としたものではないからと思われます。
研究実績の評価:研究論文の発表や特許の取得なども重要な評価項目です。査読付き論文の発表や特許の取得は、それぞれ15点から25点程度が付与されます。「専門・技術活動」は15点、「学術研究活動」は基本20点で2つ以上該当する場合に25点となります。「高度経営・管理活動」は経営者の分野であるため、この加算はありません。
職歴・年収の計算方法
職歴と年収は以下のように評価されます:職歴によるポイント:
実務経験年数に応じて以下のポイントが付与されます:
– 10年以上:20点(「専門・技術活動」のみ対象)
– 7年以上10年未満:15点
– 5年以上7年未満:10点
– 3年以上5年未満:5点
「経営・管理活動」は他よりもそれぞれ5点高いポイントを獲得できます。経営者としての経験を重視しているということでしょう。また、実務経験とは、申請時点の業務と同じ内容の業務を指し、別の業務に従事していた年数を加算することはできないことに注意が必要です。
年収によるポイント:年齢区分によって基準が異なることに注意が必要です:
– 29歳以下:400万円から加算開始
– 30~34歳:500万円から加算開始
– 35~39歳:600万円から加算開始
– 40歳以上:800万円から加算開始
最高額の1,000万円以上で40点が付与されます。なお、年収が300万円未満の場合は他の項目の合計が70点以上で必要なポイントをクリアしていても「学術研究活動」を除き高度人材として認定されません。
年収においては「経営・管理活動」のみ基準も獲得できるポイントも全く異なります。
特別加算項目と評価基準
高度人材ポイント制には、基本項目に加えて特別加算項目があります。これらの項目で追加ポイントを獲得することで、より高いポイントを目指すことができます:主な特別加算項目:
– 日本語能力(N1相当:15点、N2相当:10点)
– 日本の大学・大学院卒業(10点)
– イノベーション促進支援措置を受けている企業での就労(大企業:10点、中小企業:20点)
– 特定の研究開発事業への従事(10点)
特別加算項目は組み合わせによって重複できない場合があります。例えば、日本の大学卒業者の場合、N1相当の場合は両方の加算が認められますが、N2による加算は認められません。つまりN1かN2であるかで最大15点の差がつく可能性があるのです。
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よくある計算ミス
高度人材ポイント制度での計算ミスを防ぐため、以下の点に特に注意が必要です:主な注意点:
– 年収の計算における非課税手当の混同
– 特別加算項目の重複計算
– 職歴の期間計算の誤り
– 必要な証明書類の期限切れ
特に年収の計算では、以下の点に注意が必要です:
– 基本給与と賞与は含められる
– 通勤手当や住宅手当などの非課税手当は含められない
– 残業代などの不確定な収入は含められない
住宅手当は課税対象の場合は含めることができます。
高度専門職の種類とポイント計算
高度専門職1号と2号の違い
高度専門職の在留資格は、1号と2号で大きく異なる特徴があります。高度専門職1号は、在留期間が5年間付与され、複合的な在留活動が認められます。一方、高度専門職2号は、より広範な優遇措置を受けることができます。高度専門職2号の主な優遇措置:
– 在留期間が無期限となる(在留カードの更新は必要)
– 就労に関するほぼすべての活動が可能
– 高度専門職1号と同様の優遇措置も継続
各職種における評価のポイント
高度人材ポイント制では職種によって評価基準が異なります。研究者や技術者、経営者など、それぞれの職種の特性に応じた評価項目が設定されています。例えば研究職では学術論文や特許の実績が重視され、経営職では投資額などが評価されます。職種別の主な評価ポイント:
研究職は研究実績、技術職は専門性、経営職は投資規模や地位など、職種の特性に応じた評価基準が設けられています。これにより、それぞれの分野で優れた実績や能力を持つ人材を適切に評価することが可能となっています。
永住権申請時のポイント計算実務
高度人材ポイント制を利用した永住権申請では、申請時点でのポイントだけでなく、過去の一定期間のポイントも重要となります:ポイント要件:
– 80点以上の場合:申請時と1年前の時点で80点以上を維持
– 70点以上の場合:申請時と3年前の時点で70点以上を維持
これらの要件を満たすことで、通常10年必要な永住権申請の期間を大幅に短縮することができます。
必要書類と証明方法
高度人材ポイント制による永住権申請には、通常の永住申請よりも多くの書類が必要となります。特に以下の書類の準備が重要です:基本的な必要書類:
– 永住許可申請書と写真
– 理由書(永住許可を必要とする理由)
– 世帯全員の住民票
– 職業を証明する資料
– 所得・納税証明資料
高度人材特有の必要書類:
高度人材ポイント計算の根拠となる以下の資料が必要です:
– 学歴証明(卒業証書、学位記など)
– 職歴証明(在職証明書など)
– 年収証明(源泉徴収票など)
– 日本語能力証明(日本語能力試験の証明書など)
自己評価の方法
高度人材ポイントの自己評価は、以下の手順で行います:まず、自分の活動が以下のどの分野に該当するかを確認します:
– 高度学術研究活動
– 高度専門・技術活動
– 高度経営・管理活動
その上で、学歴、職歴、年収などの各項目について、証明可能な範囲で点数を計算します。特に年収が300万円未満の場合は、高度学術研究活動を除き他の項目の合計が70点以上でも高度人材として認定されない点に注意が必要です。
よくある計算ミス
高度人材ポイント制度での計算ミスを防ぐため、以下の点に特に注意が必要です:主な注意点:最も多いのが年収の計算ミスです。年収には基本給与のほか、賞与も含めることができますが、通勤手当などの非課税手当は含めることができません。また、残業手当など不確定な収入も含めることはできません。
その他の注意点:
職歴の計算では、大学での研究期間や学生時代のアルバイト経験は含めることができません。実務経験として認められるのは、正社員としての申請時点の業務と同じ内容の業務での就業期間のみです。
職歴の計算では、大学での研究期間や学生時代のアルバイト経験は含めることができません。実務経験として認められるのは、正社員としての申請時点の業務と同じ内容の業務での就業期間のみです。
ポイント制による永住権取得のメリット
高度人材ポイント制度を利用することで、以下のような大きなメリットがあります:永住権申請までの期間が大幅に短縮されます。通常は10年の在留期間が必要ですが、ポイントが70点以上で3年、80点以上であれば最短1年で申請が可能となります。
また、在留期間中は複数の在留資格に該当する活動が認められ、配偶者の就労制限も緩和されるなど、様々な優遇措置を受けることができます。
主な優遇措置:
– 在留期間5年の付与
– 複数の在留資格活動の許可
– 配偶者の就労制限緩和
– 一定条件下での親の帯同許可
➡️ 高度専門職ビザんの転職時の注意点と手続き方法について知りたい方はこちら:[高度専門職ビザ|転職時の注意点と手続き方法]
在留期間短縮のメリット
高度人材ポイント制度を利用することで、以下のような大きなメリットがあります:通常、永住権申請には10年の在留期間が必要ですが、高度人材として認定されることで、この期間を大幅に短縮することができます。70点以上で3年、80点以上であれば最短1年での申請が可能となります。
短縮による具体的なメリット:早期の永住権取得により、安定した生活基盤を築くことができます。また、就労制限がなくなり、より柔軟なキャリア形成が可能となります。
高度専門職特有の優遇措置
高度専門職として認定されると、在留期間の短縮以外にも様々な優遇措置を受けることができます:主な優遇措置:
– 複数の在留資格活動の許可
– 在留期間5年の付与
– 配偶者の就労制限緩和
– 一定条件下での親の帯同許可
– 家事使用人の帯同許可
これらの優遇措置により、より充実した日本での生活を送ることが可能となります。
家族帯同の特例
高度専門職の在留資格を持つ外国人には、家族に関する優遇措置も設けられています。通常の就労ビザと比べて、以下のような特別な措置があります:家族に関する優遇措置:高度専門職の配偶者は高度専門職外国人と同居を続ける及び日本人と同等額以上の報酬を受けることの条件を満たすだけで「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」又は「興行」に該当する活動をすることができ、一定の条件を満たせば親の帯同も認められます。また、家事使用人の帯同も可能です。これにより、家族で安定した生活基盤を築くことができます。
親の帯同条件:申請人またはその配偶者が扶養する7歳未満の子の養育を行う必要がある場合や、申請人またはその配偶者の介護を要する場合に限り、親の帯同が認められます。
高度専門職としての永住権申請のポイント
高度専門職として永住権を申請する際は、申請時のポイント数だけでなく、過去の一定期間のポイント維持が重要です。80点以上の場合は1年間、70点以上の場合は3年間、継続してポイントを維持している必要があります。また、年齢や年収によってポイントが変動する可能性もあるため、申請のタイミングを慎重に検討する必要があります。大げさではなく、年齢が1年違うだけでポイントが大幅に変動する場合があることに注意が必要です。申請時の重要事項:ポイント計算の根拠となる各種証明書類は、すべて発行日から3ヶ月以内のものが必要です。特に海外での学歴や職歴がある場合は、翻訳や認証の手続きに時間がかかることを考慮しましょう。
申請時の注意事項
永住権申請時には以下の点に特に注意が必要です:主な注意点:
– 証明書類はすべて3ヶ月以内に発行されたもの
– 海外の証明書は日本語訳が必要
– 年収証明は永住の申請の課税証明書・納税証明書、高度専門職の疎明資料の両方が必要
– 学歴・職歴証明は日本のものは原本、海外のものはできるだけ原本が望ましいが、入手が難しい場合はコピーも可
また、申請時のポイント数が基準を満たしていても、過去の一定期間のポイント維持が証明できない場合は申請が認められない可能性があります。
専門家に相談すべきケース
以下のような場合は、専門家への相談を推奨します:– 海外での学歴や職歴が多い場合
– 複数の職歴や資格がある場合
– 年収の計算が複雑な場合
– 特別加算項目の適用可否が不明確な場合
専門家に相談することで、ポイント計算の最適化や必要書類の準備について、適切なアドバイスを受けることができます。
申請後の留意点
申請後も以下の点に注意が必要です:申請後の注意事項:
– 審査期間中はポイント計算の基準となる状況(職務内容、年収等)を維持
– 追加資料の要請があった場合は速やかに対応
– 在留期限が迫っている場合は在留期間更新も必要
審査には通常数ヶ月かかるため、その間の在留資格や就労状況の管理も重要です。
まとめ:高度人材としての永住権取得
高度人材ポイント制を利用した永住権取得には、以下の点が重要です:重要なポイント:
– 70点以上で3年、80点以上で1年での申請が可能
– 学歴、職歴、年収などの評価項目でポイントを獲得
– 特別加算項目の活用で効率的にポイントを獲得
– 申請時と一定期間前のポイント維持が必要
高度専門職としての永住権取得は、通常の永住権申請と比べて大幅な在留期間の短縮が可能です。ただし、ポイント計算や必要書類の準備は複雑なため、専門家への相談を検討することをお勧めします。適切な準備と手続きにより、最短での永住権取得を目指しましょう。
➡️ 永住権・永住ビザ申請の必要書類について知りたい方はこちら:[永住権・永住ビザ取得に必要な資料]
➡️ 行政書士かつみ法務事務所の永住権申請サポートについて知りたい方はこちら:[【失敗しない】京都の永住権申請を詳しく見る]
当事務所の初回無料相談について知りたい方は、以下のページをご覧ください。
➡️ 行政書士かつみ法務事務所の初回無料相談について知りたい方はこちら:[ビザ申請手続き無料相談を詳しく見る]
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