行政書士かつみ法務事務所
075-441-3307

平日 9:00~17:00(土日祝対応あり)

メールは365日24時間受付  無料相談は土日祝対応

京都ビザ申請相談室
余白

経営管理ビザのための事業計画書の書き方

外国人起業家や経営者が日本でビジネスを始めるためには経営管理ビザの申請が必要です。このビザを取得するためには事業計画書の作成が欠かせません。事業計画書は単なる添付書類ではなく、ビザの可否を大きく左右する最重要書類となります。

事業計画書ではビジネスの概要や市場分析、自社のサービスとその強み、強みを生かすためのマーケティング戦略、取引体制、資金計画などを明確に記述する必要があります。経営管理ビザの申請に成功するためには、事業計画書の書き方に注意が必要です。適切なビジネス計画を立て、ビザ申請書とともに提出することが重要です。これにより、在留資格の取得につながり、日本でのビジネス展開が可能となります。経営管理ビザのための事業計画書は、ビジネスの成長と成功に向けて重要なステップとなります。

本記事では経営管理ビザ取得を目指す外国人起業家のために、審査で評価される事業計画書の書き方、盛り込むべき具体的な内容、そして作成における注意点を、申請取次行政書士が詳しく解説します。

経営管理ビザとは?事業計画書の重要性

経営管理ビザは、外国人が日本で企業の経営者や管理者として活動するための在留資格です。以前は「投資・経営ビザ」と呼ばれていましたが、日本経済の活性化を目的として、より多くの外国人材による起業や事業参画を促すために制度が改定されました。

事業計画書がビザ審査で重視される理由

過去には形式的な要件を満たすだけの内容で申請し、実際には事業活動が行われない「ペーパーカンパニー」の事例の増加などの問題も発生しました。これを受けて入国管理局は、申請者のビジネスが「本当に日本で継続して行われるのか」「安定的に経営できるのか」をより厳しく確認するようになりました。

この実在性、安定性、継続性を示すための客観的な根拠となるのが事業計画書です。入管の審査は原則として書面で行われるため、事業計画書だけで「このビジネスは信頼できる」と審査官に納得させられるかどうかが、許可取得の鍵を握ります。経営管理ビザのための事業計画書は単なる書類選びではなく、自身のビジネスに対する深い理解とビジョンを示す重要なツールと言えます。その他の経営管理ビザの必要書類の詳細はこちらをご覧ください

一般的な事業計画書との違い

融資や投資を目的とした一般的な事業計画書が主に「収益性」や「市場性」を重視するのに対し、経営管理ビザのための事業計画書は以下の点が特に重視されることが特徴的です。

  • ビジネスの実在性: 実際に事業を開始する準備が整っているか。
  • 資本金の正当な形成過程: 資本金がどのように準備されたか。
  • 事業の継続性・実行可能性: 長期的に安定した経営が見込めるか、黒字化の見込みがあるか。
  • 申請者の経営能力: 申請者が事業を運営する能力があるか。

【最重要】経営管理ビザ取得の3大要件と最新動向

経営管理ビザの審査では申請者が日本で安定的かつ継続的に事業を運営できるかどうかが厳しく見られます。特に重要となるのが以下の3つの要件です。

1. 事業所の確保

事業を運営するための独立した物理的な事業所(オフィス、店舗など)が日本国内に確保されている必要があります

  • 認められる事業所: 専用の入口や壁で仕切られた個室、独立した店舗など、事業活動に専念できる空間。
  • 認められにくい事業所: 自宅兼事務所(生活空間と明確に区別されていない場合)、バーチャルオフィス、短期間のレンタルスペース。
  • 証明書類: 事業所の賃貸借契約書、不動産登記事項証明書など。

2. 事業の規模

事業が一定の規模を満たしていることを証明する必要があります。これは以下のいずれかの方法で示します。

  • 資本金500万円以上: 事業の元手となる資本金が500万円以上であること。この資本金の出所(どのように形成したか)を明確に説明する必要があります。
    • 【重要】資本金要件厳格化の動き: 2025年6月、複数のメディアが、政府が経営管理ビザの「資本金500万円」要件の引き上げを検討していると報じました。これは、ビザの目的外利用(例:事業実態のないペーパーカンパニー設立)を抑制し、国際的な投資家ビザ水準に合わせる目的があるとされています。具体的な引き上げ額は未定ですが、今後、単に金額が上がるだけでなく、資金の出所証明がより一層厳しく見られ、事業計画の質もこれまで以上に厳しく審査される可能性があります
  • 常勤職員2名以上の雇用: 日本に居住する常勤職員(日本人、永住者など)を2名以上雇用すること。

多くの場合、事業開始時点での職員雇用は難しい場合があるため、資本金500万円の要件を満たすのが一般的です。

3. 事業の安定性・継続性

審査で最も重視されるのが、その事業が将来にわたって安定的に継続していけるかという点です。これを客観的に示すために「事業計画書」の提出が不可欠です。

事業計画書に盛り込むべき内容

  • 事業内容: どのようなサービスや商品を、誰に、どのように提供するのか。
  • 市場分析: 競合の状況や市場の将来性を分析し、自社の強みを明確にする。
  • 人員計画: 役員構成や従業員の採用計画。
  • 財務計画: 具体的な売上予測、経費計算、利益計画をまとめた詳細な損益計算。

単に「儲かります」というだけでなく、計画の実現可能性を具体的なデータや分析で裏付けることが、審査官の信頼を得るための鍵となります。

クリックで電話できます。ご相談はこちらから無料相談電話番号

経営管理ビザの事業計画書に必須の構成要素

重要:事業計画書に決まった書式はありませんが、以下の要素を網羅し、明確かつ具体的に記述することが求められます。

1. 事業の概要

目的・ビジョン・ミッション

  • なぜ日本でこの事業を始めるのか
  • どのような社会貢献を目指すのか
  • 自分のビジネスについての情熱や理念を明確に表現

事業内容

  • 提供する商品やサービス、その特徴
  • ターゲット顧客を簡潔にまとめる
  • 自身のビジネスの全体像と目標を第三者にも分かりやすく示す

ポイント:経営者の能力として「自身のビジネスの全体像や目標を読み手に伝える能力」も評価されます。

2. 市場分析

ターゲット市場

  • 日本市場の規模、ターゲット顧客のニーズや購買行動を深く分析
  • 自社の商品・サービスがどのように価値を提供するのかを具体的に記述
  • 市場の成長率、業界の現状と動向

競合分析

  • 競合他社の状況を把握し、自社の「強み」や「差別化ポイント」を明確化
  • SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)の活用も有効
  • 具体的な数値やデータを用いて客観的な分析結果を示す

3. マーケティング戦略

販売戦略

  • どのようなチャネル(店舗、オンライン、代理店など)で販売するか
  • 仕入れルートやサービスの調達方法
  • 取引先の会社名、住所、電話番号、担当者名、年間取引予定額

プロモーション

  • 顧客への認知度を高めるための具体的な方法(SEO、ネット広告、SNSなど)
  • IT業や貿易業など、事業内容が分かりにくい場合は、ウェブサイトの準備とその具体的な内容を裏付け資料として用意

4. 組織体制

組織図・役員構成

  • 事業を運営する体制を明確にし、主要なスタッフの役割や経歴を紹介
  • 日本人の雇用計画がある場合は具体的に記載すると高評価

申請者の経験

  • これまでのビジネス経験や専門知識、日本語能力
  • 新事業にどのように活かされるかを具体的に示す
  • 最終学歴から現在までの職歴、経営や管理に関する経験

注意:経営管理ビザは「経営者」または「管理者」のためのビザであり、単純労働を行うためのものではないことを理解し、業務内容を明確にすることが重要です。

5. 資金計画

初期投資・資金調達

  • 事業開始に必要な初期費用(設備費、賃料など)
  • 資金の調達方法、特に資本金500万円以上の出所の透明性を詳細に記述
  • 創業資金、資金調達方法の明確化

収支予測

  • 具体的な売上見込み、費用(固定費、変動費)、利益目標を数値で示す
  • 初年度からの黒字化見込みを示すことが重要
  • 商品単価×販売数で計算し、その根拠を具体的に説明
  • 3〜5年の収支予測、キャッシュフロー予測

役員報酬

  • 役員報酬は最低限月額20万円以上が推奨
  • 申請者の生活費を確保できるだけの合理的な報酬計画

6. リスク分析と対策

  • 想定されるリスクとその対応策を記載
  • リスクを認識し対策を講じていることで、計画の信頼性が高まる
  • 事業が長期的に継続できるかを示す

審査で評価される事業計画書作成のポイントと注意点

1. 明確性と具体性

抽象的な表現は避け、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」を具体的に記述します。売上目標や費用などは、できる限り具体的な数値で示し、その根拠を明確にしましょう。

項目 悪い例 良い例
売上予測 「たくさん売れる予定です」 「商品単価5,000円×月間販売数100個=月売上50万円」
市場規模 「大きな市場があります」 「経済産業省データによると、当該市場は年間〇〇億円規模」
販売方法 「オンラインで販売します」 「自社ECサイト(URL記載)とAmazonで販売、月間アクセス数〇〇件見込み」

2. 日本市場への深い理解と適合性

日本の消費者の嗜好、商習慣、法規制などを踏まえた計画を立て、日本市場に合わせた戦略であることを示します。現地調査の結果や具体的な提携先の情報などを盛り込むと、計画の現実性が高まります。

  • 消費者行動の分析:日本の消費者の購買パターンや価格帯の調査結果
  • 競合分析:同業他社の価格設定、サービス内容、市場シェア
  • 法規制の理解:業界特有の許認可や規制への対応計画
  • 商習慣への配慮:決済方法、配送システム、アフターサービス等

3. 事業の安定性と継続性

入管が最も重視するのは、ビジネスが安定して継続できるかという点です。収支計画では無理のない範囲で黒字化の見込みを示し、リスク管理策についても言及することで、計画の堅実性を示します。

継続性を示すポイント:

  • 黒字化計画とその根拠
  • 複数の収益源の確保
  • リスク要因とその対策
  • 3〜5年の中長期計画

4. 日本語での正確な作成

事業計画書は、日本の入管に提出する書類であるため、正確な日本語で、簡潔に内容をまとめることが求められます。

日本語作成のポイント:

  • 誤字脱字を避け、読みやすい文体で記載
  • 専門用語や業界用語は必要に応じて解説を加える
  • 平易な日本語で、誰が読んでも理解できるよう配慮
  • 日本語に不安がある場合は、専門家のサポートを検討

5. 裏付け資料の準備

事業計画書の内容を補強するため、具体的な裏付け資料を添付することが非常に有効です。これにより、事業の実在性や計画の信頼性を高めることができます。

資料の種類 具体例 効果
契約書 取引先との契約書や覚書 実際のビジネス関係を証明
見積書・カタログ 商品の仕入れや販売に関する見積書 収益予測の根拠を示す
市場調査資料 マーケットリサーチ結果や統計データ 市場規模や需要を証明
商品写真 実際の商品やサービスの写真 事業内容の理解促進

6. 適切なボリュームと構成

事業計画書の分量は、内容の充実度と読みやすさのバランスが重要です(実際はケースによるので、あくまでも目安と考えてください)。

項目 推奨内容
分量 A4用紙で10枚前後、最低3,000字以上
構成 目次を付けて構成を明確にする
視覚的工夫 図表やグラフを使用、商品写真を掲載
表紙 商品やサービスの写真を掲載した表紙を作成

申請後の審査プロセスと追加資料対応

審査期間と流れ

事業計画書を含む全ての書類を提出した後、入管による審査が開始されます。審査期間は通常2〜4ヶ月程度ですが、地域や時期により変動することがあります。

審査の流れ:

  1. 書類受付・審査開始
  2. 書面審査(事業計画書の詳細確認)
  3. 追加資料要求(必要に応じて)
  4. 最終審査・結果通知

資料提出通知書(追加資料要求)への対応

審査の過程で、入管から追加資料の提出や、事業内容に関する質問が求められることがあります。この際、要求された内容と期限を正確に把握し、迅速かつ的確に対応することが、スムーズなビザ取得につながります。

追加資料が求められる主なケース:

  • 資料が不足している場合
  • 審査の中でより詳細な書類で確認したい事項がある場合
  • 疑いがあるところがあり、明確にするために書類を求める場合

追加資料対応の重要ポイント

  • 提出期限の厳守:指定された期限内に必ず提出する
  • 入管の意図を理解:なぜその資料を求められたのかを考える
  • 完全な回答:求められた内容に対して漏れなく対応する
  • 追加説明の添付:必要に応じて補足説明書を作成する

対応方法の確認事項:

  • 「役所等で取得する書類なのか?」
  • 「文章を作成して説明しないといけない書類なのか?」
  • 「会社で取得する書類か?」

特別な注意が必要なケース

知人・親族の招聘の場合

審査が厳しくなる可能性のあるケース:

知人を会社へ招聘するために経営管理ビザを申請する場合は審査が厳しくなる可能性が高いです。特に親戚や家族を招く場合、偽装による入国が疑われる可能性があるため注意が必要です。なぜかというと、日本には特に親を呼ぶことができる在留資格がほぼ無いに等しい状況であるため、親を呼ぶための便宜として利用されることも多いからです。

厳しくチェックされる項目:

  • 事業や経営の経験・学歴
  • 起業する目的や内容の具体性
  • 日本語の理解度
  • 事業の実態性

まとめ

経営管理ビザのための事業計画書は、日本であなたのビジネスを成功させるための「設計図」であると同時に、入管に「あなたのビジネスは日本にとって有益であり、安定して継続できる」ことを証明する重要なツールです。

成功する事業計画書の5つの要素:

  1. 具体性:数値とデータに基づいた説得力のある内容
  2. 実現可能性:無理のない現実的な計画
  3. 継続性:長期的な事業運営の見通し
  4. 適合性:日本市場への深い理解
  5. 信頼性:裏付け資料による証明

事業計画書の作成は大変な作業ですが、単なる面倒な手続きと捉えるのではなく、自身のビジネスへの理解を深め、将来のビジョンを明確にする機会と捉えることが、良い事業計画書を作成し、ひいてはビザ取得、そして日本での事業成功への道を開く鍵となります。

この記事の書き手は申請取次行政書士勝見功一

行政書士かつみ法務事務所のビザ申請+会社設立サポート

経営管理ビザ取得と会社設立をサポート

行政書士かつみ法務事務所では経営管理ビザ申請と会社設立のサポートを行っています。
当事務所のビザ申請サポートではビザ申請のサポートはもちろん、会社設立と会社運営に必要な許認可の取得、許可後の様々な疑問にも対応しています。

また、ビザ申請サポートは書類作成・収集に申請取次も行うフルサポートコース、書類作成のみのコースをご用意しております。
平日役所に行くのは難しい、あるいは全て専門家に依頼したいという方はフルサポートコースを、ある程度自分で準備して、必要なところだけサポートしてほしいという方は書類作成コースをご利用ください。

また、土日祝・出張対応も可能な初回無料相談も行っておりますので是非ご利用ください。無料相談の詳細は、こちらをご覧ください

また、ビザ申請サポートの報酬額についてはこちらをご覧ください。

➡️ 行政書士かつみ法務事務所のビザ申請+会社設立サポート詳細について知りたい方はこちら:[経営管理ビザ・会社設立【京都】を詳しく見る]

ビザの各種手続き、ご相談ください
  • ビザの各種手続き、ご相談ください
  • お電話は075-441-3307
  • メールフォームはこちら

このページの先頭に戻る