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日本で事業を展開する外国人経営者にとって、永住権の取得は安定した事業継続のための重要なステップです。経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)から永住権を取得するためには、一般的なルートと高度人材としてのルートの2つの選択肢があります。本記事では2024年冬時点の最新情報に基づき、それぞれのルートにおける要件や手続きを詳しく解説します。永住権取得により、在留期間を気にすることなく事業に専念でき、さらに生活面での安定性も得られます。特に事業実績が好調で日本での長期的な経営基盤の確立を目指す方にとって、永住権取得は大きなメリットとなります。以下、経営管理ビザから永住権取得までの道のりを、実務的な観点から解説していきます。なお永住申請の概要についてはこちらをご覧ください。経営・管理ビザの概要についてはこちらをご覧ください。
経営管理ビザは、日本において事業の経営・管理に従事する外国人に付与される在留資格です。出入国在留管理庁の定める要件として、以下が挙げられます:
経営管理ビザの在留期間について:
注意:実際の在留期間は申請時の事業計画や経営状況などに基づき個別に判断されます。4ヶ月のビザを選択した場合は4ヶ月の間に会社設立や事業所や事業そのものの準備を行う必要があります。スタートアップビザによる場合もありますが、ここでは詳しい説明は省きます。
永住権取得のメリットには以下があります:
ただし、永住権は無条件で維持できるものではありません。法令順守や納税義務の履行が求められ、長期の海外滞在には再入国許可が必要です。
一般的な申請ルートでは、以下の基本要件を満たす必要があります:
項目 | 要件詳細 |
---|---|
在留期間 | 通算10年以上の在留 |
素行要件 | 納税、社会保険加入等のコンプライアンス |
生計要件 | 安定した事業収入の証明 |
高度人材ポイント制を活用する場合は、要件が緩和される可能性があります。詳細は後述します。
経営管理ビザから永住権申請を行う場合の在留期間要件について、法務省の永住許可に関するガイドラインでは以下のように定められています:
ただし、配偶者が日本人・永住者・特別永住者の場合は、要件が緩和される場合があります。また継続性の判断において、短期の海外出張等は通算在留期間に含まれると考えられますが、どのくらいの期間であるかに注意が必要です。
永住権申請時には、事業の安定性と継続性を証明する必要があります。これは永住権においては「独立生計要件」を満たす事が必要になりますが、経営管理ビザからの申請においては会社の経営状況がこれを左右すると思われるからです:
特に直近2年間の経営状況については重視される傾向と言え、債務超過状態ではかなり厳しい状況と言え、赤字が続いている場合も申請が困難になる可能性があります。
他の永住申請と同様に個人としての課税証明書・納税証明書や税務署の納税証明書はもちろん必要ですが、さらにコンプライアンスの観点から、会社の申告や納税状況、健康保険・厚生年金保険料の支払いも重要視されます:
確認項目 | 必要書類 | 注意点 |
---|---|---|
申告・納税状況 | 法人の確定申告書の写し | |
社会保険 | 健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し) |
未納や滞納がある場合は、申請前に必ず解消しておく必要があります。
永住許可申請に必要な書類は、出入国在留管理庁が定める基準に基づき、以下のものが求められます:
海外から取得する書類を除きすべての書類は申請時から3ヶ月以内に発行されたものが必要です。
事業実績を証明するために、以下の書類が必要となります:
証明項目 | 必要書類 |
---|---|
会社の現況 | ・登記事項証明書 ・会社案内・パンフレットなど |
事業実績 | ・決算報告書 ・確定申告書(法人・個人) |
申請手続きは以下の流れで進められます:
注意:申請から許可までの標準処理期間は6ヶ月程度ですが、案件によって前後する場合があります。申請中に在留期間が満了する場合は、別途在留期間更新許可申請が必要です。
出入国在留管理庁の高度人材ポイント制を活用することで、通常の永住許可申請よりも短期間での申請が可能となります。
ポイント合計 | 必要在留期間 | 備考 |
---|---|---|
70点以上 | 3年 | 申請時と3年前の時点で70点以上を維持 |
80点以上 | 1年 | 申請時と1年前の時点で80点以上を維持 |
「経営・管理活動」にのみ該当する加算項目などもあり、計算する上で注意が必要です。詳細は出入国在留管理庁の高度人材ポイント計算表を確認し、不明点は出入国在留管理庁などに確認するようにしましょう。
経営管理ビザ保持者が高度人材として認定される際の特徴的な評価ポイントとしては経営管理に関する専門職学位(MBA,MOT)を保有していることや、取締役などの地位に因っての加算がある事、年収での加算ポイントの多さなどに特徴があります。イノベーション促進支援措置を受けていることによる加算もあります。
カテゴリー | リスク要因 | 対策・留意点 |
---|---|---|
財務面 | ・直近2年間の赤字決算 ・税金の未納・滞納 ・売上の著しい変動 | ・経営改善計画の策定 ・税理士との相談 ・収益構造の見直し |
法令順守 | ・社会保険未加入 ・労働基準法違反 ・入管法違反歴 | ・コンプライアンス体制の整備 ・専門家による法務チェック ・是正計画の実行 |
事業継続性 | ・従業員の頻繁な入れ替わり ・事業規模の縮小 ・取引先の減少 | ・人材定着施策の実施 ・事業計画の見直し ・取引先の多様化 |
特に2024年の入管法改正によって永住権取り消し事由が追加され、故意による納税や初回保険料滞納による取り消しが可能となったことに注意が必要です。経営状況の悪化時には対応が必要となる可能性があります。
項目 | 具体的な注意点 | 推奨される対応 |
---|---|---|
事業の維持 | ・安定した経営の継続 ・従業員の適切な雇用維持 | ・定期的な経営状況の確認 ・事業計画の更新 |
コンプライアンス | ・法令違反の防止 ・各種届出の適時実施 | ・専門家による定期チェック ・社内規定の整備 |
記録管理 | ・経営関連書類の保管 ・税務関係書類の管理 | ・文書管理システムの導入 ・定期的なバックアップ |
海外渡航に関する重要な注意点は以下の通りです: