技術・人文知識・国際業務の申請手続きは、申請者の状況や企業の規模によって必要書類や審査のポイントが異なります。2024年現在、審査期間は新規申請で約50日、変更申請で約40日程度とされていますが、申請時期や案件により変動があります。本記事では、申請の種類別に必要な手続きと書類について、実務的な観点から詳しく解説します。
申請の種類と基本的な流れ
技術・人文知識・国際業務の申請には、大きく分けて在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請の3種類があります。申請者の状況に応じて適切な申請方法を選択する必要があります。出入国在留管理庁のページはこちら。
在留資格認定証明書交付申請
海外から直接採用する場合の申請方法です。企業の代表者や担当者が申請者本人に代わって日本国内で申請を行い、取得した在留資格認定証明書を外国人本人に送付します。その後、本人が在外日本公館で在留資格認定証明書でビザを申請する流れとなります。
在留資格変更許可申請
既に日本に滞在している外国人が現在の在留資格から技術・人文知識・国際業務への変更を希望する場合の申請方法です。特に留学生や就職活動の特定活動ビザの方の就職時に多く利用されます。
在留期間更新許可申請
既に技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ外国人の方が在留期間の更新を希望する場合の申請方法です。在留期間満了日の3ヶ月前から申請が可能です。
それぞれの申請における審査期間
申請時期や案件により変動がありますが、一般的な審査期間は以下の通りです。ただ、カテゴリーや時期によりかなり差が出ることもあります:
申請種類 | 標準処理期間 |
---|---|
在留資格認定証明書交付申請 | 1~3ヶ月 |
在留資格変更許可申請 | 2~3週間 |
在留期間更新許可申請 | 2~3週間 |
企業区分による必要書類の違い
企業の規模や実績によって、申請時に必要な書類は大きく異なります。企業はカテゴリー1からカテゴリー4までの4つに分類され、カテゴリーが上位であるほど提出書類は簡素化されます。
カテゴリー1(上場企業、国・地方公共団体、独立行政法人など)の場合
必要書類:
- 申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 四季報の写しまたは上場を証明する書類
- 申請人の学歴証明書(実務経験で申請する場合は実務経験を証明する資料)
カテゴリー2(源泉徴収税額1,000万円以上の企業)の場合
カテゴリー1の書類に加えて:
- 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
カテゴリー3(源泉徴収税額1,000万円未満の企業)の場合
カテゴリー2の書類に加えて:
- 法人登記事項証明書
- 会社案内やパンフレット
- 雇用契約書など
- 直近年度の決算書コピー(新規事業の場合は事業計画書など)
カテゴリー4(新設会社や個人事業等)の場合
カテゴリー3と基本的に同様
重要:カテゴリーの判定は、前年の源泉徴収税額等によって行われます。また、新設会社の場合は原則としてカテゴリー4として扱われ、より詳細な審査が行われます。
申請者本人に関する書類
申請者本人に関する書類は学歴や職務経験を証明する重要な書類です。特に学歴と従事予定の業務との関連性を示すことが重要となります。
学歴証明に関する書類
大学または専門学校の卒業証明書と成績証明書が必要です。海外の学校の場合は、日本語の翻訳を添付する必要があります(英語の場合は不要であることが多い)。
職歴証明に関する書類
実務経験による申請の場合は在職証明書が必要です。在職証明書には、職務内容、雇用期間、職位などの詳細な記載が求められます。
その他の証明書類
- パスポートのコピー(写真ページ。変更申請や更新申請時はオンライン申請を除き、在留カードと共に原本提示)
- 在留カード(既に日本に在留している場合)
- 課税証明書、納税証明書
企業が準備すべき書類
企業側の書類は会社の安定性と事業の継続性を証明するものが中心となります。特に雇用理由書では、外国人材を採用する必要性を具体的に説明することが重要です。
会社の実態を証明する書類(カテゴリー別)
カテゴリー | 必要書類 | 備考 |
---|---|---|
カテゴリー1 |
- 四季報の写し - 上場企業証明書 - 特殊法人の設立許可書(該当する場合) |
|
カテゴリー2 |
- 前年分の源泉徴収票等法定調書合計表(1,000万円以上) |
以前は1500万でしたが、緩和されています |
カテゴリー3 |
- 法人登記事項証明書 - 前年分の源泉徴収票等法定調書合計表 - 決算報告書(直近1年分) - 事業内容説明書 |
|
カテゴリー4 |
- 事業計画書(新設事業などの場合) - 法人登記事項証明書 - 前年分の源泉徴収票等法定調書合計表 - 決算報告書(直近1年分) - 事業内容説明書 |
雇用条件を証明する書類(カテゴリー3・4必須)
- 必須書類:
- 雇用契約書の写しなどの労働条件を明示する文書
事業内容説明書類(カテゴリー3・4必須)
- 会社案内パンフレット
- 主要取引先3社以上のリスト
- 組織図(申請者の配置明記)
- 製品カタログ/サービス説明書
※基本的には会社案内資料と理由書への業務説明といったところです。
提出書類作成の注意点
特に重要なポイント:
- 雇用契約書の職務内容は専門性・技術性がわかるように記載が望ましい
- 給与条件は日本人従業員と同等以上であることを証明。最低賃金以下は論外
- 翻訳文書には翻訳者の署名を明記すること
オンライン申請システムの使用
2024年より本格的に運用が開始されたオンライン申請システムでは、従来の窓口申請と比べて手続きの効率化が図られています。事前の利用者登録が必要な事に注意を要します。
申請における重要なポイント
申請手続きは、準備段階、申請段階、審査段階の3段階に分かれます。各段階で適切な対応が求められます。申請時には、特に学歴と職務内容の関連性について慎重な確認が必要です。技術・人文知識・国際業務の在留資格では、大学や専門学校で学んだ知識を活かせる専門性のある業務であることが重要な審査ポイントとなります。
申請前の準備と確認事項
申請前には以下の事項を確認する必要があります:
- 申請資格の確認(学歴要件、実務経験要件)
- 必要書類の準備状況確認
- 申請時期の検討(在留期限との関係)
書類作成時の注意事項
雇用契約書や職務内容説明書、雇用理由書では、具体的な業務内容を明確に記載することが望ましいです。特に以下の点に注意が必要です:
- 職務内容が専門的・技術的分野に該当することを具体的に説明
- 学歴・職歴と従事予定業務との関連性を明確に記載
- 給与額が日本人と同等以上であることを示す
よくある不備と対策
申請書類の不備による審査遅延を防ぐため、以下の点に特に注意が必要です:
特に注意が必要な不備:
- 写真規格の不一致(サイズ、使いまわし等)
- 署名の漏れ
- 在留カードの有効期限切れ
申請後の注意点
申請後は、追加資料の要請に迅速に対応できるよう準備しておくことが重要です。特に以下の点に注意が必要です。
- 追加資料要請への迅速な対応
- 在留カード受取手続きの準備
- 各種届出義務の確認
審査のポイント
入国管理局での審査では、以下の点が重視されます:
- 職務の専門性・技術性の具体的な説明
- 学歴・職歴と業務との関連性
- 報酬額の妥当性を含めた会社の受入体制
不許可となった場合の対応
不許可となった場合はその理由を確認し、必要に応じて以下の対応を検討します:
- 不許可理由に対する具体的な改善策の検討
- 職務内容の見直しや追加説明資料の準備
- 必要に応じて専門家への相談
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