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上陸拒否とは、文字通り外国人の入国・上陸を拒否することですが、入国管理局ホームページによれば、以下の類型の外国人が日本への入国を拒否されることになります。
① 保健・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者
② 反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者
③ 我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者
④ 我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸を認めることが好ましくない者
⑤ 相互主義に基づき上陸を認めない者
上記のような類型がありますが、ここでは実際に関係する方が多いであろう事由に絞って説明していきます。
実務上多いと思われるのは以下の3つの上陸拒否事由だと思われます。
① 日本または日本以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役または禁錮に処せられたことのある者
法令違反で1年以上の懲役または禁錮刑に処せられた場合です。そんなに該当する場合がなさそうにも思えるのですが、日本以外の国でのものも対象となること、執行猶予期間を無事終了した者も含まれることから、この上陸拒否事由に該当するケースはそれなりにあるのです。
② 日本から退去強制された者で、出国した日から5年(2回以上退去強制された人は10年)を経過していない者
退去強制された者は、現実に出国した日より5年間上陸拒否となります。退去強制令書が発布された日ではなく、執行された日から5年間であることに注意が必要です。また、リピーター(過去に日本から強制送還された経験あるいは出国命令制度を利用して出国した経験のある者)の上陸拒否期間は10年です。
③ 出国命令を受けて出国した人で、出国した日から1年を経過していない者
出国命令制度により出国した者の上陸拒否期間は1年となっています。
①に当てはまるケースも実際はそれほど珍しいわけではありません。
「1年以上の懲役または禁錮に処せられた」は刑の言い渡しあれば足り、例えば懲役1年の判決を受けたが刑期が短縮され、8ヵ月程で刑を終えた場合であっても、また執行猶予がつき、それを無事に過ごした後であってもあてはまるのです。日本以外で判決を受けた場合も同様です。
①に該当する場合、上陸拒否期間は永久であり、基本的には日本に入国することは不可能になります。
②については様々な場合が存在しますが、多く見られるのが短期滞在のまま不法残留した場合や偽装結婚が発覚した場合などです。この場合、①にも該当するということがなければ上陸拒否期間は5年、リピーターの場合は10年となります。
③についてですが退去強制手続きに入った場合、一部の退去強制事由については出国命令制度の適用があります(ここでは退去強制と出国命令制度の詳細な記述は省きます)。出国命令制度が適用され、自主的に帰国した場合、上陸拒否期間は1年と、比較的短期間となります。
出国命令での帰国が多く見られるのが、適法な就労ビザで入国したがその後自己都合などで退職し、退職後特に就職活動をせずにフリーターをしていて在留資格を取り消されたりするケースなどです。
②③に該当する場合、それぞれ1年ないし5年(10年)が経過すれば上陸拒否ではなくなります。そのため②③の場合は期間の経過を待つのがまず考えられることです。
ただ注意が必要なのは、期間が経過して上陸拒否ではなくなったからといって、上陸が認められたわけではないということです。以前に退去強制等になる事由に該当していたことは当然に把握されていますので、審査が通常よりも厳しくなることは覚悟が必要となるでしょう。
①の場合や②③でも上陸拒否期間中に入国したい場合は上陸特別許可、上陸の拒否の特例を利用する必要があります。
これらは、日本人と結婚しているなどの人道上考慮すべき特別の理由がある場合には、法務大臣によって入国を特別に許可することができる制度です。
ただし、「特別の理由がある場合に」上陸拒否事由該当者に許可を与える制度ですから、通常の申請などよりも格段に困難を伴う申請であることは留意すべきです(上陸特別許可や上陸の拒否の特例については別に詳しく説明します)。