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在留資格については指定された在留期間が満了するまでは日本に在留できる…と考えるのが自然なことだといえますが、場合によってはそれが取り消されることがあり得ます。その制度が「在留資格取消制度可」です。
在留資格の取消しは、日本に在留する外国人が偽りその他不正の手段により上陸許可の証印等を受けた場合や、在留資格に基づく本来の活動を一定期間行わないで在留していた場合などにされるものです。
在留資格の取消しが行われるのは、ざっくりと分けると以下のような類型になります。
3つの類型中最も悪質な一番上の類型の中でも、上陸拒否事由に該当しているのに該当していないと嘘をついたパターンと在留資格該当性がない(偽装婚等)のに在留許可を受けるパターンは在留資格取消しの中でも最も悪質であるため、入管の調査の結果在留資格取消事由が判明した場合在留資格が取り消され、直ちに退去強制の手続がとられることになります。
また2番目の類型には平成28年改正で新たな類型が追加されました。「当該在留資格に係る活動を行っておらず、かつ他の活動を行い又は行おうとして在留している」場合です。典型例としては技能実習性が正当な理由なく実習先から無断でいなくなり、遠隔地で働きながら新生活を始めたような場合が挙げられています。
この類型に該当して在留資格が取り消され、かつ逃亡を疑うに足りる相当の理由があるとされた場合も直ちに退去強制の手続がとられることになります。
それ以外の類型については入管に指定された出国猶予期間内に日本から自主的に出国すれば適法な出国となるので上陸拒否事由には該当しません。
逆に指定された出国猶予期間内に日本から自主的に出国しない場合は退去強制の対象となるとともに刑事罰の対象にもなってしまいます。
在留資格取消制度の中で、退去強制の対象となるような類型は適法に日本に滞在する方にはあまり関係のないものでしょう。
ここでは適法に日本に滞在する方がこの制度で注意すべきポイントを説明します。
まずは住居地届出義務を怠らないことです。これは当然といえるでしょう。実際のところ、入管は入管法上の義務違反をとても嫌います。たとえ取消対象とならなくともあまり良い事はないですので入管法上の義務は必ず果たすようにしてください。
次が最重要なポイントです。2番目の「在留資格活動を継続して行わなかった」場合ですが、離婚協議中で別居している、会社を退職して求職活動中であるなど、通常ありうる様々な状況が考えられるので、制度の対象となることへの不安を感じておられる方もいるのではないでしょうか。これについては以下の内容をおさえてください。
① まずは「状況的にやむをえず、そもそも取消対象に該当していない」とされるのはどのような場合かを押さえましょう。これは次に記載する「正当な理由がある場合」と違ってそもそも問題とすることすら必要とされない場合です。
この場合の例としては、日本人配偶者や当該外国人が単身赴任中である場合や長期入院中である場合などが挙げられます。
② 次に「正当な理由がある場合」とされる場合です。
この場合の例としては、本国の親族の傷病により長期間の出国をしている場合や、離婚調停や訴訟中の場合、また就労に関しては具体的な就職活動を行っている場合などは「正当な理由がある場合」とされます。
また、取り消すことが「できる」であり、「取り消す」とはなっていないこと、つまり該当していたら必ず取り消されるというわけではないということも押さえておいてください。
2019年8月追記
法務省より平成30年の在留資格取消件数が発表されました。
配偶者ビザについては昨年度よりは増加しているものの、ここ何年かでそれほど件数に変化があるわけではありませんが、やはり留学の増加がとりわけ目を引きます(172件から412件へ)。
留学の取消の内容を見てみると、退学などで学校を除籍された後にアルバイトをしていたことが発覚した場合が記載されていますが、留学生の在留資格取消の典型的な例だと言えるでしょう。
留学の在留資格については取得段階においても昨年度から厳格化されたと言われており、学校側にも「以前はこんな書類は必要ではなかったのに・・・」という戸惑いの声もあるようです。
学生として来日して実際は不法就労を行う例が後を絶たないという状況がいまの留学を取り巻く厳しい状況につながっているようですが、この傾向はしばらく続きそうですので留学で在留する方は取消の対象となる状況に陥らないよう注意が必要と思われます。