技術・人文知識・国際業務ビザの更新は、転職の有無によって必要書類が異なります。転職を伴う場合審査が厳しくなる傾向があり、変更許可申請と同様の準備が求められます。本記事では、技術・人文知識・国際業務の在留資格更新について、転職なしの場合と転職ありの場合に分けて、更新手続きの流れや注意点を詳しく解説します。
技術・人文知識・国際業務ビザの更新申請を行う際、在留期間満了日の3ヶ月前から申請が可能です。申請は管轄する地方出入国在留管理局で行われ、通常2週間から1ヶ月程度で審査結果が出ます。ただし、書類不備や転職を伴う場合には審査期間が延びることがあるため、十分な余裕を持って準備することが重要です。
在留期間更新の基本フロー
技術・人文知識・国際業務ビザの更新に関する基本的な流れを理解することは、転職や在留期間の更新を円滑に進める上で重要です。この在留資格の更新手続きは、在留期間満了日の3ヶ月前から申請可能となります。申請は管轄する地方出入国在留管理局で行われ、通常2週間から1ヶ月程度で審査結果が出されます。
ただし、書類不備や転職を伴う場合には審査期間が延びることがあるため、十分な余裕を持って準備を進めることが賢明です。特に転職を伴う更新の場合、新しい職場での業務内容が技術・人文知識・国際業務ビザの範囲内であることを証明する必要があり、より詳細な書類の提出が求められます。
更新可能な時期
在留期間満了日の3ヶ月前から当日まで更新申請が可能です。技術・人文知識・国際業務ビザの更新を円滑に進めるには早めの準備が重要です。また、満了日直前の申請は避けることをおすすめします。なぜなら不許可となった場合に再申請が間に合わないリスクがあるからです。転職を考えている場合も更新時期を意識しておくことが大切です。在留期限までに申請の結果が出なかった場合でも、申請結果が出るまでか在留期限日の2ヶ月後までは適法に在留できますのでその点は心配ないですが、できる範囲で早期に申請を行うことをお勧めします。特に転職を伴う更新の場合は、書類準備に時間がかかる可能性があるため、余裕を持って手続きを進めましょう。技術・人文知識・国際業務の分野で働く外国人の方々にとって、スムーズな更新プロセスは安定した就労継続につながります。
共通して必要な書類
転職の有無に関わらず、技術・人文知識・国際業務ビザの更新申請時に必要となる共通の書類は以下の通りです:
- 在留期間更新許可申請書:出入国在留管理庁の公式サイトからダウンロード可能です。正確に記入することが重要です。
- 住民税課税証明書・納税証明書:居住地の市区町村役所で発行を受けます。これらは適切な納税状況や給与の支払いを証明する重要な書類です。
- パスポートおよび在留カード:原本を提出。
- 写真:縦4cm×横3cm(最近3ヶ月以内に撮影)のものが必要です。背景は無地で、正面を向いた顔写真を用意してください。
これらの書類は技術・人文知識・国際業務ビザの更新申請において基本となるものです。転職を伴う場合でも、これらの書類は必要となります。特に住民税の課税証明書と納税証明書は、申請者の経済状況と納税義務の履行、そして就職時に示された給与が実際に支払われているかを示す重要な書類となります。
転職なしの場合の更新手続き
転職がない場合、技術・人文知識・国際業務の在留資格更新手続きは比較的簡単です。素行や勤務態度に問題がなく、給与水準や納税状況が適切であれば通常通り更新されます。ただし、転職なしの場合でも、更新申請時には十分な注意が必要です。
特に技術・人文知識・国際業務の在留資格更新において転職がない場合でも、雇用する会社側の状況に注意が必要です。
会社側で準備する書類
転職なしの場合、会社側で用意する主な書類は以下の通りです。これらの書類は、技術・人文知識・国際業務ビザの更新を円滑に進めるために重要です:
- 在職証明書:現在の雇用状況を証明するもの。転職せずに同じ会社で働き続けていることや雇用状況を示す重要な書類です。
- 前年分の法定調書合計表:税務署受付印または受付メール付きが必要でしたが2025年より押印が廃止されました。
- 決算書(貸借対照表・損益計算書):最新年度分。会社の財務状況を示す書類で、特に中小企業の場合は重要視されます。赤字や債務超過は要注意です。
転職がない場合でも注意すべき点はあります。雇用する会社側が赤字が続いていたり、債務超過である場合です。この場合はその点についてのフォローの書類が必要になります。これは技術・人文知識・国際業務ビザの更新において、雇用する会社の安定性が申請者の給与が支払われるかの観点から審査の対象となるためです。
また、基本的に雇用理由書の添付も望ましいと言えます。この書類では、外国人従業員を継続して雇用する必要性や、その従業員の業務内容が技術・人文知識・国際業務の範疇に入ることを説明します。転職がない場合でも会社側と密に連携し、必要書類を漏れなく準備することが重要です。
転職を伴う場合の更新手続き
転職を伴う場合の技術・人文知識・国際業務ビザの更新手続きは、あらかじめ就労資格証明書を取得している場合を除き、新しい雇用先での業務内容が現在の在留資格範囲内であることを証明する必要があるため、変更許可申請とほぼ同様の書類が必要となります。この際、新しい職場での具体的な業務内容や、それが申請者の専門性とどのように関連しているかを明確に説明することが求められます。転職時の更新では、前職の退職の証明も必要になるため、準備すべき書類が増えることに注意が必要です。
転職を伴う更新では、退職理由も審査の対象となる可能性があります。特に短期間での転職の場合はその理由を示す理由書を添付することが望ましいです。
追加で必要な書類
転職ありの場合に追加で求められる主な書類は以下の通りです:
- 雇用契約書または労働条件通知書:新しい雇用条件を示すもの。給与、勤務時間、職務内容などが明記されている必要があります。
- 所属機関変更届出の写し:提出済みの場合。
- 退職証明書:前職からの退職を証明する書類。退職日や在職期間が明記されているものを用意します。
- 最終学歴証明書:卒業証明書および成績証明書(特に専門学校卒業者の場合)。これらは技術・人文知識・国際業務の資格に関連する学歴を証明するために重要です。
- 新雇用先の会社概要:新しい勤務先の事業内容や規模を示す資料。パンフレットや会社案内などが該当します。
- 新雇用先の登記事項証明書:新しい勤務先の法人登記情報を証明する書類。会社の存在と事業内容を確認するために用いられます。
これらの書類は転職後の新しい就労環境が技術・人文知識・国際業務ビザの要件を満たしていることを証明するために必要です。特に、新しい職務が申請者の専門性や経験と合致していることを示すことが重要です。また、更新・転職の際には、これらの書類を準備する時間を考慮し、十分な余裕を持って申請することをお勧めします。
更新審査で重視されるポイント
技術・人文知識・国際業務ビザの更新審査では、複数の重要なポイントが精査されます。転職を伴う場合や転職せずに更新する場合でも、これらの点に注意が必要です。下記ポイントを意識しながら、技術・人文知識・国際業務ビザの更新に向けて適切な準備を行うことが重要です。転職を考えている場合はこれらの基準を満たす新しい職場を選ぶことも、スムーズな更新につながります。
収入水準と納税状況
技術・人文知識・国際業務ビザの更新審査では、収入水準と納税状況が重要な判断基準となります。給与水準については日本人従業員と同等以上であることが求められます。これは外国人労働者の権利を保護し、適切な待遇を確保するためです。
また、納税状況の確認も厳密に行われます。住民税の未納がないかどうかは特に注目される点です。さらに、給与の支払いが最初の申請時に添付した書類通りに確実に行われていたかどうかも確認されます。これらを証明するため、過去1年分の課税証明書・納税証明書の提出が必要となります。
転職を伴う更新の場合、新しい雇用先での収入水準も審査の対象となります。技術・人文知識・国際業務の分野での専門性に見合った給与であるかどうかが判断されます。低すぎる給与水準は不許可の理由となる可能性があるため注意が必要です。
勤務実態と事業所の信頼性
特に中小企業(カテゴリー3・4)の場合、事業継続性や経営状況について厳しく審査されます。最新年度の決算報告書を提出する際に、複数年度にわたる赤字であったり、債務超過である場合はフォローのための資料を添付することで信頼性を示す必要があります。
技術・人文知知識・国際業務の在留資格を持つ外国人を雇用する企業は安定した経営基盤を持ち、適切な労働環境を提供していることを示す必要があります。特に、新規設立の企業や小規模企業の場合、事業計画書や財務状況の詳細な説明が求められることがあります。
転職時の特別注意事項
技術・人文知識・国際業務ビザの転職時には更新手続きにおいて特別な注意が必要です。転職を伴う場合、実質的に在留資格変更許可申請と同様の扱いとなるため、より詳細な書類準備が求められます。まず、新しい雇用先での業務内容が現在の在留資格の範囲内であることを証明する必要があります。これは、転職後も技術・人文知識・国際業務の分野で働くことを示すためです。また、新たな雇用契約書や労働条件通知書の提出も求められます。
転職に伴う更新では、前職からの退職証明書も重要な書類となります。これは、前の雇用が適切に終了したことを示すためです。
特に注意が必要なのは、新しい雇用先が中小企業やスタートアップ企業の場合です。これらの企業では、事業の安定性や将来性について、より詳細な審査が行われる傾向があります。そのため、新会社の事業計画書や財務状況を示す資料などの追加書類が求められることもあります。
また、転職後の給与水準にも注意が必要です。技術・人文知識・国際業務ビザの更新では、日本人と同等以上の給与水準が求められるため、転職先での給与が適切な水準であることを示す必要があります。
さらに、転職に伴い職務内容が大きく変わる場合は、新しい職務と自身の専門性や経験との関連性を説明する資料も準備しておくと良いでしょう。これは、在留資格の趣旨に合致した就労であることを示すために重要です。
新会社の信頼性確認
新しい雇用先がカテゴリー3または4(中小企業や新設会社)である場合、技術・人文知識・国際業務の在留資格更新時に、事業実態や経営状況について追加資料を求められることがあります。具体的には、新設会社の事業計画書などが必要となる場合があります。新設会社でない場合でも、新規事業についての雇用である場合は事業計画書等を求められる場合もあります。
転職を伴う更新申請では、新会社の信頼性が重要な審査ポイントとなります。特に、技術・人文知識・国際業務の分野で活動する外国人材を雇用する企業の場合、その事業の安定性や将来性が厳しく審査される傾向といえます。
フリーランス活動と請負契約
技術・人文知識・国際業務ビザなど一般的には雇用を前提としていると思われるビザについても、雇用契約ではなく業務委託契約や請負であったとしても取得すること自体は可能とされています。契約形態について雇用契約しか認めないとされていないからです。ただし、ビザの更新や転職に際しては、契約の内容などが厳しく審査されることには注意が必要で、現実的に通常の雇用契約の場合よりかなりハードルが高いことは否定できません。
特に収入についての契約書の記載はかなり重要と言えるでしょう。技術・人文知識・国際業務ビザの更新や転職の際には、フリーランスや請負契約の場合、安定した収入が見込めることを示す必要があります。また、業務内容が在留資格に合致していることを明確に示すことも重要です。
不許可事例と再申請対策
技術・人文知識・国際業務ビザの更新が不許可となるケースはそれほど多くはありませんが、稀というわけでもありません。不許可となった場合、再申請の可能性はありますが、適切な対策を講じる必要があります。
不許可事例としてよくあるのは、転職時の職務内容と申請者の専門性が一致していないケースや新しい雇用先での給与が十分でないと判断される場合が多いようです。不許可となった場合の再申請対策としては、まず不許可理由を正確に把握することが重要です。不許可通知には理由が記載されているため、それに基づいて改善策を講じる必要があります。
主な不許可理由
- 収入不足:給与水準が低い場合。技術・人文知識・国際業務の在留資格更新において、日本人と同等以上の給与水準が求められます。
- 職務内容不一致:専攻分野と業務内容に関連性がないと判断された場合。技術・人文知識・国際業務ビザの更新や転職時には、学歴や職歴と新しい職務との整合性が重要です。
- 雇用企業の経営状況悪化:特に中小企業での技術・人文知識・国際業務ビザ更新時に、雇用先の経営状況が著しく悪化している場合。
再申請時のポイント
不許可通知を受け取った場合不許可理由を慎重に確認し、それに対応した改善策を講じた上で再申請することが重要です。例えば、学歴と職務の関連性がないと判断された場合は、新たに関連性を説明する詳細な理由書を提出するなど、技術・人文知識・国際業務の在留資格更新における審査基準を満たすよう努めます。基本的に不許可理由への対応を記載した再申請用の理由書は作成が望ましいです。
実務的なQ&A
Q: 転職活動中に失業した場合どうすればいいですか?
A: 失業後も求職活動を行うことはもちろん可能です。ただし、在留資格の活動(技術・人文知識・国際業務ビザの就労活動)を3ヶ月行わないと、在留資格取消しとなる可能性があります。あくまでも可能性ですので実際に取り消しになるかはまた別の話になります。
Q: 副業は可能ですか?
A: 資格外活動許可を取得すれば副業も可能ですが、留学生などと異なり、「個別許可」が必要であるなどハードルは上がります。
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