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配偶者ビザ更新時の理由書の重要性と具体的な作成法の解説

配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の更新申請において、収入基準を満たせないことに不安を感じている方は少なくありません。実際、年間収入が200万円を下回る世帯やパートタイム就労しかできない状況にある方々から多くの相談が寄せられています。

しかし収入基準を満たしていない場合でも、適切な理由書とその裏付け資料の提出により在留資格の更新が認められるケースは数多く存在します。本記事では入国管理局での審査ポイントを踏まえながら、効果的な理由書の作成方法と申請を成功に導くための具体的な考え方をご紹介します。

また、配偶者ビザ申請の概要についてはこちらを、配偶者ビザの有効期間と更新手続きについてはこちらをご覧ください。

配偶者ビザ更新における理由書の重要性

在留資格「日本人の配偶者等」の更新において理由書は単なる補足資料ではなく、申請者の状況を包括的に説明する重要な文書です。特に一般的な審査基準を満たしていない場合、理由書の内容が更新許可の判断を大きく左右する可能性があります。

理由書が必要となる具体的な状況

理由書の提出が求められる主なケースについて具体的に解説します。収入基準の未達は最も一般的な理由の一つですが、それ以外にも婚姻関係自体に疑問を持たれる場合や同居が疑われる場合など様々な状況で理由書の提出が推奨されます。

収入に関する課題

世帯の年間収入が200万円に満たないあるいは生活保護を下回る場合、その背景にある具体的な事情を説明する必要がでてきます。例えば育児や介護との両立でパートタイム勤務を選択している場合、その状況が一時的なものであることや、将来的な収入改善の見通しを具体的に示すことが重要です。

就労状況の変化

転職を繰り返している場合や安定した職に就いていない状況にある場合、その経緯と今後の就労計画について詳細な説明が必要となります。特にスキルアップのための学習や資格取得など、具体的な改善への取り組みを示すことが効果的です。

特殊な生活状況

夫婦が一時的に別居している場合や、健康上の理由で就労が制限されている場合なども、その状況と今後の見通しについて明確な説明が求められます。医療機関からの診断書や、別居が必要な合理的理由を示す資料なども併せて提出することで理由書の内容に説得力を持たせ、状況の理解を促すことができます。

効果的な理由書作成のポイント

理由書は現在の状況説明だけでなく、将来に向けた具体的な改善計画を含める必要があります。以下の要素を含めることで、より説得力のある理由書となります:

現状の詳細な説明

収入や就労状況について具体的な数字や事実に基づいて説明します。例えば、「現在の月収は12万円で、週20時間のパートタイム勤務をしている」といった具体的な情報を含めることが重要です。

生活基盤の安定性の証明

収入が基準を下回る場合でも、預貯金の保有状況や、家族からの支援体制、住居費の負担状況など、生活の安定性を示す要素を具体的に説明します。特に家賃や公共料金の支払いに滞りがないことなど、具体的な事実を示すことが効果的です。

改善に向けた具体的な行動計画

将来の収入改善や生活安定化に向けた具体的な計画を、時期や目標を明確にして記載します。例えば、「2025年4月からの保育園入園に合わせてフルタイム勤務に移行し、月収を20万円に増加させる計画である」といった具体的な見通しを示すことが重要です。具体的な記載が難しい場合を除き、できるだけ具体的な記載を心がけるのが望ましいといえます。

収入基準を満たさない場合の具体的な対応戦略

収入基準の正しい理解

入国管理局が定める収入基準について多くの申請者が必要以上に不安を抱えていると思われます。実際には世帯の総収入が基準額(約200万円とする意見有り)を下回る場合でも、総合的な生活基盤の安定性が認められれば在留資格の更新が許可されるケースは少なくありません。

地域による収入基準の違い

収入基準は地域の生活水準に応じて実質的に判断されます。例えば地方都市では東京などの大都市圏と比べて、より柔軟な判断がなされる傾向にあるとも言われます。また、持ち家の場合や生活費が比較的低く抑えられる地域では、基準額を下回る収入でも十分な生活基盤があると認められやすくなります。

経済基盤を証明する効果的な方法

預貯金による補完

収入が基準を下回る場合、預貯金残高で経済的な安定性を示すことが有効です。具体的にはある程度の期間(半年分以上~1年等)の生活費に相当する預貯金があることを証明できれば、一時的な収入不足を補完する要素として評価される可能性があります。通帳のコピーに加え、定期預金証書なども有効な証明となります。

家族からの支援体制

両親や親族からの経済的支援がある場合、その具体的な内容と継続性を示すことが重要です。支援者の課税証明書・納税証明書などの収入証明や預貯金残高証明に加え、支援の意思を示す文書(経済的支援確約書など)を提出することで、より確実な生活基盤があることを証明できます。

生活費の最適化状況

住居費や公共料金などの固定費を適切に管理していることを示すことも重要です。例えば、家賃が収入の30%以下に抑えられている場合や、光熱費の節約に努めている実績があれば、それらを具体的な数字とともに説明します。公共料金の支払い履歴や家賃の支払い記録なども有効な証明となります。

収入改善に向けた具体的なプラン

段階的な収入増加計画

現実的な収入改善計画を具体的な時期と数値目標とともに示すことが説得力を増します。例えば、以下のような段階的な計画を示すことが考えられますが、どこまで計画を作成したりするかは状況によるでしょう:

時期 目標 具体的な行動
3ヶ月以内 勤務時間の拡大 週20時間から30時間へ増加
6ヶ月以内 資格取得 介護職員初任者研修の修了
1年以内 フルタイム転換 正社員としての就職

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効果的な理由書の具体的な作成方法

理由書の基本構成と記載方法

効果的な理由書は論理的な構成と具体的な事実に基づく説明が重要です。入国管理局の審査官が求める情報を明確かつ簡潔に伝えることができるかがポイントになります。いかに内容が充実していても、長すぎたりすると伝えたいことがぼやけたり伝わりにくくなることがあります。

基本的な文書構成

理由書は以下の要素を含む形で作成します:

宛先:法務大臣 殿

理由書

令和○年○月○日

1. 現在の状況説明
2. 収入が基準を下回っている理由
3. 生活維持の方法
4. 今後の改善計画
5. 結びの言葉

住所:○○○○
氏名:○○○○ 印

効果的な表現方法と避けておきたい表現

推奨される表現 避けておきたい表現
「2025年4月からフルタイム勤務に移行予定です」 「いずれフルタイムで働きたいと思います」
「月額○○円の収入増加を見込んでいます」 「収入は増えると思います」
「○○の資格取得に向けて学習中です」 「スキルアップを考えています」

具体的な数値や時期を示す表現を使用し、難しい場合を除きあいまいな表現はできるだけ避けることで、計画の実現可能性を示すことができます。

理由書を補強する添付書類の準備と提出方法

添付書類の重要性について

理由書の内容を裏付ける添付書類は申請の信頼性を高める重要な要素です。書類は単に提出するだけでなく、理由書の内容と整合性のある形で準備し、必要に応じて補足説明を加えることで、より説得力のある申請となります。

基本的な添付書類の準備

収入関連書類

収入を証明する書類は直近の状況を正確に反映したものを提出することが重要です。具体的には以下の書類を準備します(通常の必要書類である課税証明書・納税証明書を出していること前提):

給与所得者の場合:

源泉徴収票や直近3ヶ月分の給与明細書を提出します。給与明細書には基本給や諸手当の内訳が明確に記載されているものが望ましいです。また、賞与がある場合は、その支給明細書も添付するとよいでしょう。特に転職などの後はまだ課税証明書・納税証明書に反映されていないため、これらの書類の提出が重要になります。

自営業者の場合:

確定申告書の写しと、直近の収支内訳書または所得税青色申告決算書を提出します。特に事業の継続性や安定性を示すため、過去2年分の資料があれば望ましいでしょう。

資産・貯蓄関連書類

経済的な基盤の安定性を示すため、以下の資料を準備します:

預貯金通帳のコピー:

通帳の表紙と直近6ヶ月分の取引履歴ページをコピーします。定期的な入出金パターンが確認できるページを重点的に準備することで、安定した生活基盤があることを示すことができます。

資産証明書:

不動産の登記事項証明や、有価証券の残高証明など、預貯金以外の資産がある場合はそれらの証明書も有効な補強資料となります。

状況に応じた追加書類

育児・介護による就労制限がある場合

育児や介護により就労時間が制限されている場合は、その状況を証明する以下の書類が重要です:

  • 母子手帳のコピー

    子どもの年齢や予防接種スケジュールなど、育児に関する具体的な状況を示すページ

  • 保育園の入園申請書または通園証明書

    保育サービスの利用状況や今後の予定を示す資料

  • 介護保険証や診断書

    介護が必要な家族の状況を示す公的書類

書類の整理と提出方法

提出書類は以下のように整理すると審査官が確認しやすくなります。ただ、必要ということではありません:

書類の順序

理由書を先頭に置き、続いて収入関係、資産関係、その他証明書類の順で整理します。各書類の先頭にインデックスを付けることで、審査官が必要な書類を素早く確認できるようになります。

補足説明メモの添付

必要に応じて、各書類の要点を簡潔にまとめた補足説明メモを添付します。特に、複数の収入源がある場合や、複雑な資産状況がある場合は、その全体像を把握しやすい形で説明を加えます。

申請時の注意点とよくある質問

申請時の重要な確認事項

在留資格の更新申請は原則として書面審査により行われます。提出書類の内容について、入管から電話等で確認が入る場合があるため、提出書類の内容については夫婦間で認識を合わせておくことが重要です。

書類提出前の確認ポイント

提出書類の整合性

夫婦間で交際期間や同居開始時期などの重要な事実関係について、認識の相違がないか確認しておくことが重要です。書類の内容に食い違いがある場合、婚姻の実態について疑義が生じる可能性があります。

収入状況の説明

特に収入が基準を下回る場合は、その理由と今後の改善計画について、具体的な数字や時期を含めた説明ができるよう準備しておきましょう。

よくある質問と回答

在留期限の3ヶ月前から申請可能とありますが、いつ申請するのが最適でしょうか?

在留期限の2ヶ月前までに申請することをお勧めします。これは審査に要する標準的な期間を考慮したものです。ただし在留期限内に申請していれば、審査結果が出るまでは特例期間として日本での在留が認められます。とはいえ万が一の更新不許可に備える意味もあり、早めの準備と申請をおすすめします。

収入基準を満たさない場合、どのような点が重視されますか?

預貯金残高、資産状況、家族からの支援体制など、総合的な生活基盤の安定性が評価されます。また、現在の収入が一時的な事情によるものか、また将来的な改善計画が具体的であるかという点も重要となります。

提出書類の翻訳は必要ですか?

日本語や英語以外の言語で作成された書類には、日本語訳の添付が必要です。翻訳者の氏名と連絡先を明記することで自身で翻訳したものでも構いません

更新後の留意点と将来に向けて

次回の更新に向けた準備

在留資格の更新が認められた後も継続的な生活基盤の安定化に向けた取り組みが重要です。特に収入面での改善を目指す場合は、計画的な準備を進めることをお勧めします。

重要書類の管理と記録

日常的な書類管理

  • 給与明細書(毎月の保管)
  • 社会保険料の納付記録
  • 住居費の支払い記録
  • 預貯金通帳の記録

生活基盤安定化への取り組み

次回の更新をより円滑に進めるため、以下のような点に注意を払いましょう:

収入の安定化

可能な範囲で就労時間の拡大や、より条件の良い就職先への転職を検討します。ただし頻繁な転職は避け、安定した就労履歴を築くことが重要です。

社会保険等への加入

就労時間や収入に応じて、社会保険や国民健康保険等への加入を適切に行います。保険料の納付を滞りなく行うことで、生活基盤の安定性を示すことができます。

預貯金の計画的な積立

可能な範囲で定期的な預貯金を行い、経済的な基盤を強化します。特に収入が基準を下回る場合は、預貯金残高で補完することが有効です。

配偶者ビザ更新の理由書作成まとめ

収入基準を満たさない場合でも適切な理由書と必要書類の提出により、配偶者ビザの更新は十分に可能です。以下のポイントを押さえて申請準備を進めましょう。

申請成功のための重要ポイント

理由書の作成

現状と今後の改善計画を具体的な数字や時期を含めて明確に説明します。特に収入が基準を下回る理由については、一時的な状況であることを示すことが重要です。

補完資料の準備

預貯金証明、資産状況証明、家族からの支援証明など、総合的な生活基盤の安定性を示す資料を漏れなく準備します。

書類の整理

全ての提出書類は理由書の内容と整合性を持たせ、審査官が理解しやすいよう論理的に整理することが望ましいです。

申請時の確認事項

提出前の最終確認

  • 必要書類が全て揃っているか
  • 書類の有効期限は十分か
  • 記載内容に誤りや矛盾がないか
  • コピーが必要な書類は適切にコピーされているか

配偶者ビザの更新は夫婦の生活基盤を総合的に評価して判断されます。一時的に収入が基準を下回る場合でもその状況が改善される見込みがあり、他の面で生活の安定性が示せれば更新可能性はでてくるでしょう。本記事で解説した内容を参考に、余裕を持って申請の準備を進めていただければと思います。

この記事の書き手は申請取次行政書士勝見功一

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