行政書士かつみ法務事務所
075-441-3307

平日 9:00~17:00(土日祝対応あり)

メールは365日24時間受付  無料相談は土日祝対応

京都ビザ申請相談室
余白

永住権許可申請に必要な身元保証人の要件や責任について

日本での永住権取得は多くの外国人の方にとって目標の一つです。しかしその目標を実現するためには、いくつかの重要な要件を満たす必要があります。その中でも重要なのが「身元保証人」の確保です。身元保証人は、申請者が日本社会に適応し、法令を遵守することを保証する役割を果たしているといえます。ここでは、永住権取得における身元保証人の重要性と、その具体的な要件や負う責任などについて詳しく解説します。身元保証人について理解することで、永住権取得のプロセスをスムーズに進めることができるでしょう。 帰化、永住権申請の手続きに関するご相談はこちらまで

身元保証人の重要性

日本の永住権申請において身元保証人は非常に重要な役割を果たします。永住権申請者が日本社会に順調に適応し、安定した生活を送ることができるかどうかを判断するための重要な要素の一つだからです。身元保証人は申請者の日本での生活や行動を保証する立場にあり、申請の信頼性を高める重要な要素となります。

身元保証人が果たす役割

身元保証人が果たす役割を考えるにはまず、身元保証書において永住権申請者の何を保証すると書いてあるのかを見ると良いでしょう。永住許可申請専用の身元保証書にはこう書かれています。

私は上記の者の永住許可申請に当たり、本人が本邦に在留中、本邦の法令を遵守し、公的義務を適正に履行するため、必要な支援を行うことを保証いたします。 出入国在留管理庁HPより引用

なお以前の身元保証書は滞在費や帰国の旅費、それと法令の遵守の保証と記載されていました。一見お金の負担のような項目が消えたように思えますが、「公的義務を適正に履行する」というもっと広い範囲を保証するように変わっていると考えるべきでしょう。

後程詳しく説明しますが、この身元保証人の保証責任は民事における借金の連帯保証人などとは異なり、法務大臣に身元保証書で約束する保証事項について身元保証人に対する法的な強制力はない、いわゆる道義的責任にとどまるとされています

道義的責任にとどまる、法的責任がないのならばなぜ必要とされるのかですが、永住権申請者の日本社会への適応状況を客観的に示す役割があると考えられています。
つまり申請者が日本社会に適応し、法律を遵守する良好な市民であることを証明して経済的困難に陥った場合に支援できるような人物との関係をこれまでの日本での生活で築くことができ、身元保証人とすることができている…という申請者の信頼性や公的義務を履行していくことの裏付けを果たす役割を担っているのが身元保証人ということなのです。

永住許可申請に身元保証人が必要な理由

出入国在留管理庁の出入国審査・在留審査Q&Aによれば身元保証人の責任は保証事項についての道義的責任にとどまることは上記の通りですが、それではなぜ永住権申請に身元保証人が必要とされているのでしょうか。
法務省や出入国在留管理庁のHPなどにはそれについて触れているものは見当たらないようです。

しかしその保証範囲などからその趣旨は、身元保証人の存在は申請者が日本社会に信頼できる人間関係を構築していること及び申請者が日本の文化や社会規範を理解し受け入れていることを示す重要な指標であること、一方で法的責任を負うわけではないとはいえ、身元保証人の存在により申請者自身にも一定の責任感と義務感を付与することができること、身元保証人が申請者に対する監督責任を負うことで、申請者の行動を抑制し、責任ある行動を促す効果が期待できることなどであると考えられているようです。

これらの理由から永住権申請においては、身元保証人の存在が欠かせない要件となっているのです。

クリックで電話できます。ご相談はこちらから無料相談電話番号

身元保証人の要件

永住権申請の身元保証人になれる要件についてですが、幾つかの要件があります。
まず身元保証人は、日本人か永住者のどちらかである必要があります。また、身元保証人は、安定した収入があることや、一定の資産を所有していることが求められます。さらに納税義務をきちんと果たしていることが必要です。納税義務については住民税の滞納がないかどうかのチェックと言う形です。

ただ永住権申請者とは違い、年収に具体的にいくらくらい必要などの要件はなく、年金生活であっても定期的な収入があれば問題ないと考えられているようです。
つまり額は多くなくても定期的な収入があり、納税などの義務をちゃんと果たしている日本人か永住者の方であれば問題なく身元保証人になっていただけるということです。

身元保証人の責任

身元保証人の責任についての記載は出入国在留管理庁の出入国審査・在留審査Q&Aにあり、こう記載されています

身元保証書の性格について、法務大臣に約束する保証事項について身元保証人に対する法的な強制力はなく、保証事項を履行しない場合でも当局からの約束の履行を指導するにとどまりますが、その場合、身元保証人として十分な責任が果たされないとして、それ以降の入国・在留申請において身元保証人としての適格性を欠くとされるなど社会的信用を失うことから、いわば道義的責任を課すものであるといえます。出入国審査・在留審査Q&Aより引用

上記の通り出入国在留管理庁が公式に「道義的責任を課すものである」としているため、「身元保証人となった申請者が何かやらかせば、自分にも何か法的な不利益があるのでは?」と不安に思われていた方はとりあえず安心していただくと良いと思います。

ただ、その一方で後半に気になる記載があるかもしれません。「社会的信用を失うこと」です。表現からすると何か世間一般の信用を失ってしまうかのようにも見えるのですが、その前の文言から読めばわかるように「入国・在留申請において身元保証人としての適格性を欠くとされる」つまりもう他の外国人の方の在留資格の申請において身元保証人になることはできない、と言うくらいの意味です。

身元保証人の具体的な提出書類

身元保証人の具体的な提出書類についてですが、2022年6月以降、身元保証人に関する資料が簡素化され、身元保証に関する資料については身元保証書と身元保証人の身分事項を明らかにする書類(運転免許証コピーやマイナンバーカードのコピー等)のみにより申請することが可能となりました。

それ以前は身元保証人についての課税証明書、住民票の写し、在籍証明書などの提出が必要であったため、大幅な簡素化と言えます。必要書類が少なくなることはそれだけでもメリットですが、身元保証人の書類の場合、身元保証人になってもらいやすくなるメリットがかなり大きいです。やはり他人に税関係の書類を渡すのはかなり抵抗のある方が多いのが実際のところですので。

日本人や永住者の配偶者の方が永住許可申請する場合は基本的に配偶者の方が身元保証人になるのでほぼ身元保証関係なく課税証明書などの書類は添付することになるのですが、技術人文国際知識業務ビザなどの就労ビザからの永住許可申請の場合、会社の上司の方などが身元保証人になることが多く、なかなかそういう方に身元保証書だけでなくそういった書類を用意してもらうのは気が引けるところがあったのです。

とはいえ先に述べた身元保証人が必要とされる理由について考えると、身元保証人の必要書類が簡素化された現在においてもできればそういった書類を添付して申請する方が望ましくはありますが。

身元保証人を依頼する際・見つからない時のポイント

身元保証人を依頼する際には、注意すべきポイントがいくつかあります。まず第一に、身元保証人となる方は、あなたの滞在目的や経済状況を正確に理解し、誠意を持ってサポートしてくれる信頼できる人であることが重要です。また、身元保証人になるためには一定の要件を満たす必要がありますので、要件についても確認しておきましょう。

ただ、ほぼ配偶者が身元保証人となる配偶者ビザ以外はなかなか身元保証人となってくれる方が見つからないことも珍しい事ではありません。しかし身元保証人が見つからない場合でも必ずしも諦める必要はありません。以下に身元保証人が見つからない場合の対処の仕方をいくつか提案します。

まずはベタですが、会社の上司や社会的に信用のある仕事についている知人に頼むことです。日本での就労経験がある場合、まずは現在の勤務先の上司や同僚に頼むことが一つの方法です。また、社会的に信用のある仕事についている知人に頼むことも考えられます。
さらに、依頼する際には相手に負担がかからないよう、事前にきちんと話し合いをすることが大切です。そのためにまず身元保証人の役割を理解してもらうように説明しましょう。日本人は「保証人」と聞くと、民事の連帯保証人のような「借金を背負う危険がある」とか「無理なお願いをされる」と言ったマイナスイメージがつきまといます。しかし、永住権申請の身元保証人の場合は先に述べた通り道義的責任を負う可能性があるだけにとどまり、金銭的な保証や負担は必要ないという点を理解してもらうことで、身元保証人を引き受けてもらいやすくなるかもしれません。身元保証人との信頼関係を築くためにもお互いの立場を理解し合い、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。以上のポイントを踏まえ、身元保証人を依頼する際には、相手との信頼関係を大切にし、きちんとした準備をすることが不可欠です。

まとめ

永住権の取得において、身元保証人は大変重要な役割を果たします。身元保証人は、永住権を申請する外国人が日本社会に信頼できる人間関係を構築していること及び申請者が日本の文化や社会規範を理解し受け入れていることを示す重要な指標であり、また永住許可申請者の行動を抑制し、責任ある行動を促す効果が期待できる存在といえるからです。
身元保証人となるためには一定の要件を満たす必要がある一方、道義的責任にとどまるとはいえ全く責任がないわけではないため、確保が難しい現実があります。普段からしっかりコミュニケーションをとり、地域社会になじんでおくことはそういう意味でもスムーズな申請を行うために重要だと言えるのです。

この記事の書き手は申請取次行政書士勝見功一
ビザの各種手続き、ご相談ください
  • ビザの各種手続き、ご相談ください
  • お電話は075-441-3307
  • メールフォームはこちら

このページの先頭に戻る