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特定技能は割高?「技人国ビザ」と採用コスト・手間を徹底比較|3年で100万円以上の差が出る理由

特定技能制度は人手不足分野での外国人採用を可能にする制度として注目されていますが、実際の運用コストは意外と高額であることは意外と知られていません。 特に登録支援機関への委託費用(月額2〜4万円が一般的)は毎月継続的に発生するため、3年間で100万円以上という無視できない金額になりえます。

一方、大卒またはN1レベルの日本語能力を持つ外国人材であれば、「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」ビザで採用できる可能性が高く、この場合の支援委託費はゼロ円です。

本記事では、特定技能と技人国の実際のコスト差を3年間のシミュレーションで可視化し、さらに「製造業でも技人国が取れる業務設計」の具体例を紹介します。

【試算】特定技能 vs 技人国|3年間のコスト比較シミュレーション

特定技能と技人国で同じ外国人を3年間雇用した場合の受入企業が負担するコスト総額を比較します。

前提条件

  • 国内在住の外国人(留学生または転職者)を採用

  • 人材紹介会社経由で採用(紹介手数料:特定技能20万円、技人国25万円)

  • 行政書士への申請代行費用を含む

  • 特定技能は登録支援機関に支援を全面委託(月額3万円と仮定)

  • 在留資格更新手数料は6,000円/回(2025年改定反映)

コスト比較表(3年間の総額)

項目 特定技能1号 技術・人文知識・国際業務
人材紹介手数料(初回) 200,000円 250,000円
在留資格申請費用(初回) 150,000円 150,000円
更新代行+印紙代 約17万円 (1年更新×2回+印紙代) 約6万円 (3年許可×1回+印紙代)
支援委託費(月額) 1,080,000円 (3万円×36ヶ月) 0円
定期届出・報告対応 自社対応 (または追加委託費) 日本人と同じ労務管理のみ
3年間の総額 約160万円 約46万円
差額 約114万円 (技人国の方が安い)

結論:1人あたり約114万円の差が出る可能性。10人採用なら1,140万円のコスト差になる場合もあります。 初期費用は技人国の方が若干高いケースもありますが、ランニングコスト(支援委託費)の有無が圧倒的な差を生む可能性があります。

「見えないコスト」の比較|総務・人事の工数負担

金額だけでなく、人事・総務担当者の業務負担(工数)にも大きな違いがあります。

特定技能の場合:専任担当者が必要

特定技能1号では、以下の支援・届出義務が課せられます。

  • 定期面談(3か月に1回)と四半期報告書の提出(14日以内)

  • 生活オリエンテーション(銀行口座、ゴミ出し、交通ルール等の説明)

  • 日本語学習の機会提供

  • 日本人との交流促進(地域行事への参加など)

  • 相談・苦情対応(24時間対応可能な体制が望ましい)

これらを自社で実施する場合、専任担当者(または兼務スタッフの月10時間以上の工数)が必要です。 登録支援機関に委託すれば工数は減りますが、その分、月額3万円前後のコストが発生します。

技人国の場合:日本人社員と同じ扱い

技人国ビザで採用した場合、特定技能のような支援義務は一切ありません。 労務管理は日本人社員と同様で、在留期限の管理(最長5年に1回の更新)のみ注意すればOKです。もちろん外国人社員であることによってある程度は特定技能の場合と同様の対応が必要になる場面もありますが、限定的と言えます。

結論:特定技能は「人事・総務の工数」が圧倒的に多く、中小企業では負担が大きい制度といえるでしょう。

【重要】製造・建設でも「技人国」が取れるケース

「うちは製造業だから、現場作業しかないので技人国は無理」と思い込んでいる企業が多いですが、実は担当業務設計次第で技人国ビザの許可が降ります。

NG例:単純作業のみ(技人国では不許可)

  • ライン作業のみ(組立、検品、梱包など)

  • 単純な運搬作業、清掃作業

  • 指示された通りに機械を操作するだけの業務

OK例:許可が降りる可能性のある例

ケース1:製造業での生産管理業務

  • 職務内容: 工場内で生産管理、工程管理、品質管理に従事。流れ作業ではなく、解析ソフトやシミュレーションソフト等を使用する業務。データ入力・分析、不良品の原因分析などを担当。

  • 許可のポイント: 単なる「現場作業」ではなく、大学で学んだ専門知識(工学・統計学など)を要する管理業務であることを立証できた。

ケース2:機械オペレーター(材料工学・構造力学の知識が必要)

  • 職務内容: 工場内でNC旋盤等の機械オペレーターとして勤務。ただし、材料工学や構造力学等の素養がないとプログラミングや調整ができない業務であり、それを立証できる資料(業務マニュアル、機械の仕様書等)を提出。

  • 許可のポイント: 「誰でもできる単純作業」ではなく、大学での専攻(工学部)と関連性のある専門業務であることを説明できた。

ケース3:技術開発業務(電機製品製造企業)

  • 職務内容: 工学部を卒業した者が、電機製品の製造を業務内容とする企業との契約に基づき、技術開発・試作業務に従事。

  • 許可のポイント: 製造業であっても、「開発」「設計」「品質保証」など、専門知識を要する部門であれば技人国で許可される可能性あり(説明や立証資料が重要)。

【実務提案】業務内容を「高度化」させるだけでビザ区分を変えられる

上記の事例から分かるように、現場作業だけでは技人国は難しいですが、以下のように担当業務を「高度化」させるだけで、技人国ビザの対象になり得る場合もあるのです。

業務設計のコツ

  1. 「作業」ではなく「管理・分析」を中心とする (例:ライン作業+品質データの入力・分析、工程改善の提案)

  2. 「通訳・指導」業務を兼務させる (例:実習生・他の外国人スタッフへの技術指導、母国語でのマニュアル作成)

  3. 「CAD・システム操作」等を含める (例:現場での寸法計測+CADでの図面修正、生産管理システムへのデータ入力・分析)

重要: これらの業務が「本人の大学での専攻」または「実務経験(10年以上)」と関連していることを説明できれば、技人国ビザの許可確率が大幅に上がります。

「特定技能ありき」で損をしないために

特定技能制度は有用ですが、すべての企業・すべての職種に最適とは限りません。 特に、以下に該当する場合は、まず技人国ビザの可能性の検討が望ましいと思われます。

技人国を優先すべきケース

  • 採用候補者が大卒(短大含む)または日本の専門学校卒(専門士)

  • 採用候補者が日本語能力試験N1またはN2を保有

  • 業務内容に「管理」「分析」「通訳・指導」などの要素をメインに含められる

  • 長く働いてほしい(永住権取得を見据えたキャリアパス設計が必要)

なお、特定技能と技人国の制度上の違いや変更要件については、以下の記事で詳しく解説しています。

👉 特定技能と技術・人文知識・国際業務の違いは?変更要件とメリット・デメリットを徹底解説

また、永住権を見据えた在留資格設計については、以下の記事もあわせてご参照ください。

👉 特定技能から永住権はいつ取れる?1号の期間カウントと「技人国・配偶者ビザ」への変更ルート

まとめ:まずは「技人国診断」から始めよう

特定技能と技人国のコスト差は、3年間で約114万円(1人あたり)にもなる場合も考えられます。 さらに、人事・総務の工数負担、外国人本人のキャリアパス(永住権取得の可否)も考慮すると、可能な限り技人国ビザで採用する方が、企業にも外国人本人にもメリットが大きい場合もかなりあると考えられます。

当事務所のサポート

  • 業務内容のコンサルティング:現在の職務内容から、技人国で許可が降りるかを診断

  • 業務設計のアドバイス:技人国の要件を満たすための業務フローの再設計アドバイス

  • 在留資格申請の代行:申請をサポート

「特定技能しか無理」と諦める前に、まずは当事務所にご相談ください。技人国ビザで採用できる可能性があるかもしれません。

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